住友不動産、羽田エアポートガーデンを全面開業
住友不動産は1月31日、羽田空港第3ターミナル直結の複合施設「羽田エアポートガーデン」を全面開業した。20年4月の開業が予定されていたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、2年以上遅れてのオープンとなった。
羽田エアポートガーデンは、住友不動産グループが総力を結集して開業にこぎ着けた。第3ターミナル(国際線)に直結する立地を最大限に生かし、国際線旅客などの利便性向上と国際交流や都市観光に資する賑わいの創出を併せ持つ拠点となり、世界に向けて魅力を発信する「HANEDA GLOBAL WINGS」の一翼を担う。
中核を担う施設が、全1717室からなる2つのエアポートホテル。全室リバービューのラグジュアリーホテル「住友不動産 ホテル ヴィラフォンテーヌ プレミア 羽田空港」(160室)と、幅広いニーズに対応可能なハイグレードホテルの「住友不動産 ホテル ヴィラフォンテーヌ グランド 羽田空港」(1557室)だ。
ホテル以外には、約80店舗からなる商業施設「住友不動産ショッピングシティ羽田エアポートガーデン」、空港直結の天望天然温泉を備えた温浴施設「天然温泉 泉天空の湯 羽田空港」、約1000人まで収容可能なイベントホールや会議室を備えた「ベルサール羽田空港」、羽田空港と日本各地を結ぶ「羽田エアポートガーデン バスターミナル」(全国30便から順次開始)で構成される。
開業前の1月25日には、開業式典と商業エリア特別内覧会が行われ、開業式典では住友不動産ヴィラフォンテーヌ社長桝井俊幸氏と国土交通省航空局長久保田雅晴氏が挨拶した。
まず、桝井社長が抱負を語った。
「新型コロナウイルス感染症の影響で3年近く開業を延期していました。国土交通省をはじめとした行政関係の皆様の協力を賜り、昨年12月にホテルヴィラフォンテーヌのプレミアとグランドの2つのホテルを先行開業でき、そして1月31日にはテナントをはじめ施設関係者の協力の下、全体開業を迎えます。羽田エアポートガーデンは、住友不動産グループが総力を結集してつくり上げた大規模複合施設です。2つのエアポートホテルが施設の中核となって、日本の玄関口にふさわしい規模と世界に誇る上質なおもてなしを提供します」
「また、空港跡地まちづくり推進計画に基づき、世界に向けて日本の魅力を発信する『HANEDA GLOBAL WINGS』として、羽田イノベーションシティや多摩川対岸のキングスカイフロントなど周辺地域とも連携しながら、空港の持つポテンシャルを最大限に活用すべく微力ながら尽力してまいります」
続いて久保田局長が期待を寄せた。
「2010年10月に羽田空港跡地まちづくり推進計画が策定され、羽田空港の24時間国際拠点空港化に伴って宿泊機能などの整備運営を求める方針が示され、これを契機に住友不動産グループが進めてきたプロジェクトが、羽田エアポートガーデンです。この3年間、新型コロナウイルスによって航空需要が激減しました。羽田エアポートガーデンもコロナで開業が遅れ、大変なご苦労があったと思われます」
「しかしながら、水際対策の緩和に伴い人々の行動と移動に制限がなくなり、国際線の旅客数も回復基調をたどっています。この年末年始の羽田空港の国際線はコロナ前の7割までに戻ってきたと聞いており、これからさらに訪日外国人が増えると思われます。空港は海外の方が最初に訪れる場所であり、そしてまた海外に戻られる時は最後に訪れる場所となります。日本の第一印象を決め、帰国してからも日本の印象を残す大切な場所なのです。それだけに、羽田エアポートガーデンはおもてなしの気持ちをもって質の高いサービスを提供していただけると確信しております」
特別内覧があった商業施設(店舗延床面積7536㎡)は、最大天井高が13メートルある吹き抜け空間の周りを中心として1~2階に配置。日本各地の名産品やご当地グルメなど、日本の文化、伝統、技術、味を発信する店舗が4つのゾーンで構成される。
1つ目が、古き良き日本の文化を今へ伝えるメイド・イン・ジャパンの銘品が並ぶ「ジャパンプロムナード」。日本の伝統を伝え続ける和雑貨の「くろちく」、京扇子や飾り扇子を扱う創業1718年の「白竹堂」、創業100年の日本の耐熱ガラス・家庭用品メーカーのブランドショップ「HARIO Satellite」、創業明治25年の老舗バッグメーカー「老舗ヤマト屋」など東京初出店も含めた5店舗からなる。
2つ目が、鳥居のような設えが特徴の参道に土産物から旅の必需品まで揃えた「羽田参道」。新潟県長岡市山古志地区の特産品を販売する「山古志本舗」、箸と器を中心としたテーブルウエアの店「si gu sa」、化粧筆専門店の「京都 六角館さくら堂」が東京初出店した。
3つ目が、旅先でオシャレを楽しめる服飾雑貨から旅行をサポートする快適アイテムなどが並ぶ、星空をイメージしたショッピング空間の「ハネダコレクション」。羽田エアポートガーデン限定商品取り扱い店舗や東京初など15店舗で構成する。
4つ目が、ご当地グルメの人気店が勢揃いした「ハネダフードセレクション」。「うなぎ四代目菊川」、「五代目 花山うどん」、「築地すし好 匠」、「しゃぶしゃぶ 但馬屋」など、日本のバラエティ豊かなグルメが楽しめるレストラン13店舗(カフェ1店舗含む)からなる。
4ゾーンのほかにも1~2階にショッピングエリアがあり、全国各地の人気スイーツや百貨店系菓子を集めた「TOBI・BITO SWEETS TOKYO」、北海道商品を販売する「北海道くらし百貨店」、食のセレクトショップ「紀ノ国屋」などの物販店、コンビニ、サービス店舗を集積。1階には約230席からなるフードコート「大江戸フードホール」も備え、東京の食材を豊富に使った海鮮重やラーメン、蕎麦、ステーキなどを楽しめる。
店舗数は4ゾーンに60、1~2階のショッピングエリアに13、合計で73。カテゴリー別では物販(雑貨・服飾雑貨・食物販)が53、飲食・軽飲食が17、サービスが3となっている。3年近い開業延期でテナント側の出店意欲の減退が懸念されたが、95%までのテナントが予定通り出店したもようだ。
村田尚之住友不動産商業マネジメント羽田統括部長は「ここはホテル、スパ、ショップ&レストラン、ホール、バスターミナルを備えたオールインワンホテル。多彩な店舗が集積された商業施設をはじめ、開放感のあるイベントステージやホールなどを有効活用して、出発前や到着後の利用はもちろん、羽田エアポートガーデンに目的を持ってこられるお客様も増やしていきたい」としている。
(塚井明彦)