日本SC協会、22年と23年に開業の大型商業施設を発表
一般社団法人日本ショッピングセンター協会は先ごろ、2022年に開業したSCおよび23年にオープン予定のSCを発表した。22年にオープンしたSCの数は36で、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて大きく落ち込んだ21年を12上回った。22年末のSCの総数は3168(速報値、22年に37の閉店などがあり、21年より1減)。新規開業の36のうち、立地は中心地域が7、周辺地域が29で、平均店舗面積は1万7247㎡、平均テナント数は48店舗だった。
オープンしたSCを地域別でみると、関東・甲信越が12で最も多く、次が近畿の8。中部の6、九州・沖縄の5と続き、北海道は3年連続でオープンがなかった。4万㎡を上回るSCは5つで、「スーパービバホーム一宮店」(3月開業、店舗面積は約4万4000㎡)、「三井ショッピングパークららぽーと福岡」(4月25日、約7万3100㎡)、「THE OUTLETS KITAKYUSHU」(4月28日、約4万8000㎡)、「イオンモール土岐」(10月7日、約4万9000㎡)、「三井ショッピングパークららぽーと堺」(11月8日、同約5万6200㎡)。
業種別のテナント数構成比は、漸減傾向が続いていた衣料品が21年より2.1ポイントアップし15.0%のシェアを確保。食物販は12.7%で、ここ5年の中で21年の14.9%に次いで高い。20%台後半のシェアだったその他物販は31.3%になり、拡大傾向にある。飲食は19.0%、サービスは22.1%だった。
22年1~11月までの月別の売上げ伸長と販売動向の推移は、2月を除いて前年を上回った。ただ、19年比では10月のみがプラス。1月は前年に緊急事態宣言下で売上げが落ち込んだ反動で11.0%増(19年比18.0%減)、2月は36都道府県のまん延防止等重点措置下での営業が響き4.4%減(同18.8%減)、3月はまん延防止等重点措置の解除や春休みになったことで来館者数が回復し、2.3%増(同15.9%減)だった。
4月は20年と21年に発令された緊急事態宣言とまん延防止等重点措置がなかったことで、12.6%増(同13.6%減)と大幅回復。5月の29.9%増(同11.3%減)の大幅増は、前年に発出されていた4都府県の緊急事態宣言と大都市中心のまん延防止等重点措置がなくなり外出機会が増加したことに加え、通常営業に戻したSCが多かった。
6月は全国的にコロナ禍に落ち着きがみられ、10.6%増(同13.4%減)。7月は中旬以降全国的にコロナ感染者が急増したことや悪天候の影響などで5.5%増(同10.7%減)。8月は緊急事態宣言などが発出されない3年ぶりの夏休みとなり、前年に比べて帰省客や旅行客の来館が増加し、15.8%増(同16.1%減)。9月は行政による行動制限がなかったことや、コロナの感染状況に落ち着きがみられたことで外出需要が高まり12.7%増(同18.6%減)。
10月はコロナ感染が落ち着き、行政による行動制限もなく、全国旅行支援による観光需要の高まり、前年より休日が1日多かったことなどで9.2%増、19年比でもプラス(同5.8%増)だった。11月は行政による行動制限がなく、前月に引き続き全国旅行支援による観光需要の高まりで2.3%増(同7.3%減)。
22年にオープンしたSCの特徴は、1つが地元行政と連携し、広場やホール、公益施設などを併設して地域の拠点となるまちづくりを目指した施設がみられたこと。最近は県や市などと包括連携協定や災害時の協定を結び、災害時に施設を避難所として開放したり、投票所を開設したりなどでインフラの役割を強めている。4月に開業した「イオンタウン旭」は、旭市と連携して推進する新しいまちとして商業施設、介護施設、居住施設を複合させた。旭市が設置、イオンタウンが指定管理者となり管理運営を担う公共施設「おひさまテラス」が設けられ、全19の専門店と共に子育てを通してまちの人々がつながり、共に育む多世代交流拠点を目指す。
10月に開業した「ふかや花園プレミアム・アウトレット」は「地域との共生」をテーマに、アトラクションやアート、地元の名店やグルメなどをコンテンツに加え、ショッピング以外でも楽しめる施設だ。プレミアム・アウトレットを運営する三菱地所・サイモンは、ふかや花園以外のプレミアム・アウトレットでもショッピング以外でも楽しめる路線を強めており、「御殿場プレミアム・アウトレット」(店舗面積は約6万1300㎡、店舗数は約290店)は、20年6月の第4期増設に合わせ有料遊園施設の設置、ヘリコプターによる周辺観光周遊、夏季(毎週土曜日)の花火大会、ペットにも優しい施設環境、プロのカメラマンによる思い出づくりサービスなどのコンテンツを追加。感動を生み出す施設づくりを本格化させている。
2つ目の特徴は、カルチャー、スポーツ、アミューズメントなど体験型エンターテインメント機能の充実による、リアルな場で過ごす楽しさの醸成。特に大型SCで目立った。4月に開業した地域創生型商業施設の「THE OUTLES KITAKYUSHU 」(総賃貸面積は約4万8000㎡)は科学館、英語体験施設、大型アミューズメントパーク、スポーツ施設など「学び」をテーマとしたエンターテインメント施設、店舗を充実させた。11月に開業した「三井ショッピングパーク ららぽーと堺」(店舗面積は約5万6200㎡、店舗数は212店)は、スポーツや音楽など本格的なイベントを開催できる屋内型スタジアムコートに加え、イベントを観ながら食事を楽しめるフードホールなど、複数の食ゾーン、広場などを設置した。
日本ショッピングセンター協会は、23年にオープンする予定のSCなど商業施設の数について、32と予測した。具体的には、1月31日に「住友不動産ショッピングシティ羽田エアポートガーデン」(デベロッパーは住友不動産)、3月は「東京ミッドタウン八重洲」(三井不動産)や「フォレストモール常陸太田」(フォレストプロパティ)など、4月は「ヨドバシ仙台第1ビル」(同ヨドバシホールディングス)、5月は「伊勢甚新友部スクエア」(伊勢甚本社)や「鹿児島中央駅西口複合ビル」(九州旅客鉄道)などだ。
そのほか、春には「THE OUTLES SHONAN HIRATSUKA」(イオンモール)、「イオンモール豊川」(同)、「三井ショッピングパークららぽーと門真、三井アウトレットパーク門真」(三井不動産)、「HAB@(下通GATEプロジェクトビル内商業施設部)」(パルコ)などがオープンを予定。7月は「虎ノ門・麻布台プロジェクト」(虎ノ門・麻布台地区市街地再開発組合、森ビル)や「ゆめタウン飯塚」(イズミ)など、秋には「札幌すすきの駅前複合開発計画」(東急不動産)、「イオンモール横浜西口」(イオンモール)、「京都高島屋S.C.」(高島屋、東神開発)、「イオンタウン松原」(イオンタウン)、「新長崎駅ビル」(九州旅客鉄道)などが開く計画だ。
(塚井明彦)