2024年11月22日

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スキャンデックス、レ・クリントの新作「プリヴェッロ」を発表

来年6月に日本で発売予定の新作「プリヴェッロ」。職人の卓越した折りの技術で、美しく新しいシェードデザインを実現した

スキャンデックスは先ごろ、「LE KLINT(レ・クリント)」の新作「プリヴェッロ」と「ドーナツ」の新色「ドーナツ ブラス」、「ラメラ」の新色ブラックを初披露した。プリヴェッロは、紙製の円形のシェードを重ねた新しいデザインの照明。伝統的な美しい折り加工がされたケーキ型の構造で、インスタレーションのようなインテリアを楽しめる。ドーナツ ブラスは、コード部分のパイプとシェードの真ん中のプレートがブラス(真鍮)のタイプが登場。ラメラは、シェードの上下にあるリング部分がブラックのカラーが加わる。いずれも23年6月に日本で発売予定となる。

プリヴェッロは、フランス語で「祈り」を意味する「PLI」と、イタリア語で「階層」を意味する「LEVELLO」を合わせて名付けられた。デザイナーのクリスチャン・トロエルスは、中世ヨーロッパのシャンデリアにインスパイアを受け、そこに北欧のミニマリズムの要素を落とし込み、モダンなデザインを実現。デンマークの工房に在籍する折り職人の熟練した技術でシャンデリアを表現した。美しい折り加工がされた円形のケーキをゴールドのフレームが支える構造。内部のフレームはアーチ形で、下からみた時の美しさも計算されている。

シェードの素材は、FSC認証されたドイツ製の紙を使用している。ヨーロッパでは近年、環境問題への意識の高まりから紙素材に回帰する傾向がみられる。スキャンデックスの泉寛子マーケティングマネージャーは「照光の出方がプラスチックとは異なるというのもあり、紙素材を使用する動きが増えてきている」と話す。

サイズは4種類で、一般住宅に使える小さなものから、ホテルやレストランなど天井の高い空間に適したものまで揃える。カラーは、ノーマルに加え照明では珍しいグリーンのシェードも用意。本国でグリーンとブルーが候補に挙がり、市場の反応をみた結果グリーンが選ばれた。

「ドーナツ ブラス」は、レ・クリントの中で最も細かな折りが施されている。デンマークの工房に在籍する職人が一つ一つ手作業でつくり上げる。

ドーナツ ブラスは、既存のシルバーに新色のブラスが加わる。シェードの上下に取り付けられたブラスのプレートが反射して暖かい光が放たれる。コード部分のブラスのパイプもアクセントとなり、カジュアルさの中にもエレガントな印象を残す。レ・クリントの照明の中でシェードの折りが最も細かいのが特長の作品。

「ラメラ」は日本の提灯をイメージさせる、ポップなフォルムが印象的な作品

ラメラは、リング部分のカラーに新しくブラックが加わる。従来のシルバーとゴールドとは異なり、引き締まった色味が都会的で洗練された印象を与える。シェードの成形は折りではなく機械によるもので、1枚のシートに熱をかけて湾曲させる。ラメラはキノコの傘の裏にあるひだ部分の学術名で、連続する細かなひだが特徴的なフォルムをつくり出している。

「本国では、レ・クリントの名は知らなくても『ブラケットは知っている』という若者も多い」(泉氏)と言う。唯一無二のデザインは多くのファンを持つ

レ・クリントの代名詞ともされる「ブラケットランプ」は、今年で70周年を迎えた。1952年にエリック・ハンセンによりデザインされ、北欧の家庭では定番の照明とされる。シンプルな構造で伸縮を可能にした木製のアームと手織りのシェードは、機能とデザインの両方が楽しめる。唯一無二のデザインとして、日本でも改めて注目を浴びているシリーズとなる。

かつて電気が普及する前は、オイルランプやろうそくが明かりとして使われていた。しかしそれだけでは眩しく、必要なところに光が落ちてこない。「そのためにシェードを開発したのがレ クリントの始まり」(泉氏)。北欧の“必要なところに必要な明かりを”という照明文化を、日本でも発信していく。

(中林桂子)