2024年11月22日

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ミキハウス、抗菌・抗ウイルスの「ピュアベール」加工生地に反響

日本が深刻なマスク不足に陥った今年4月、抗菌・抗ウイルス加工を施した子供用マスクを発売した企業がある。ミキハウスブランドを展開する三起商行だ。今秋に発売する予定だったが、状況を踏まえて急きょ前倒した。6日に販売を開始すると、直後から注文や問い合わせが相次ぎ、当初の生産予定から大幅に増産し対応している。ミキハウスは子供のことを第一に考え、ものづくりでは品質にこだわり、店頭などでは出産を控えた親向けのセミナーを開催するなど、顧客へ「安心」を届けているが、コロナ禍でもその姿勢は変わらない。

抗菌・抗ウイルスの「ピュアベール」加工が施された生地は、2014年8月に発売された新生児用の肌着「天使のはぐ」シリーズで初めて登場した。ミキハウスが「小さな子供が細菌やウイルスに感染するリスクを安全な方法で軽減できないか」と考え、繊維メーカーのクラボウ(倉敷紡績)と協業して開発した。

ピュアベール加工は、固定化抗菌成分の「EtakⓇ(イータック)」を生地に固着させ、繊維上にある特定の細菌(13種類)の増殖や、特定の真菌(4種類)の発育を抑制し、特定のウイルス(8種類)の数を減少させる。イータックは広島大学大学院の二川浩樹教授が研究し、商品化した抗菌剤。口の中を洗浄するために開発された成分で、高い安全性が確認されている。

イータック自体の固定化力と、クラボウが開発した、繊維に成分を強固に定着させる技術によって、洗濯耐久性にも優れる。小さな子供用の製品は毎日の洗濯が欠かせないが、50回家庭洗濯をしても効果が継続することが実証されている。生地そのものの柔らかな風合いも持続する。

新生児用肌着の売上げは順調に推移し、ピュアベール加工生地を使用した商品は幼児用肌着、ボディシャツ、布団カバー、帽子など全89種類(7月7日時点)を販売するまでに展開を広げている。しかし、より注目が集まったのが今回の新型コロナだ。日本でも広がり始めた今年の2月から、店頭などでピュアベール商品の問い合わせが急増した。

 

■コロナの感染拡大に伴い、マスク発売を急きょ前倒し

マスクは子供でもつけやすいよう、素材や縫製にこだわった

ピュアベール加工生地を使用した子供用マスクは、今秋に発売する予定で計画を進めていた。しかし小さな子供がいる家族を取り巻く厳しい状況や、顧客からの問い合わせが増えたことを踏まえ、「少しでも安心に繋がる手伝いができれば」と考え、販売時期を急きょ早めた。

ミキハウスではマスクの企画は初めてだったため、会社の託児所で子供への装着テストを繰り返し、最適な形状や快適な付け心地も追求。安心、安全で付け心地のよい「ミキハウス 子ども用ガーゼマスク」(2枚入・1800円)が完成した。

4月6日の初回販売では、注文が殺到。その後の抽選販売でも予想を上回る応募があり、追加生産をして対応を続けている。抽選販売ではインターネットに不慣れな人も想定して、ネットだけでなく往復はがきも応募の手段に入れたが、はがきの数も予想以上に多かったという。ミキハウスの担当者は「親世代だけでなく、子供を心配する祖父母世代の気持ちが改めて伝わってきた」と喜ぶ。

 

■ネットでのライブ出産相談で 出産を控えた親をサポート

抗菌・抗ウイルスのピュアベール加工商品によって小さな子供の安全を守ると同時に、外出自粛や店舗の休業、出産準備セミナーの開催中止などで不安や不便を感じる人に向けたサービスも手掛ける。

ミキハウスでは2011年から、出産を控えたプレママ・プレパパを対象にしたセミナーを全国各地で開催しており、毎年約4000名が参加している。同時に、店頭でもベビーサロンやベビーラウンジなどゆったりとした空間で行う、ミキハウスの出産準備のスペシャリスト(子育てキャリアアドバイザー)による出産準備相談会も好評だ。しかし今年3月以降、外出自粛や市区町村のセミナー開催中止などで学ぶ機会を得られなかったプレママ・プレパパから、出産準備に不安を感じるという声が多く寄せられた。

そこで、プレママ・プレパパを対象にネットのライブ機能を使って出産の相談を受ける「出産準備ライブ相談」を4月27日に開始した。新生児用肌着や練習用おむつなどを詰合せたセットを購入すると参加できる。肌着の着せ方やおむつの替え方の練習はもちろん、出産準備のスペシャリストに抱えている不安を相談できるサービスで、受けた人からは「出産に不安を感じていたが、安心した」、「外出自粛が明けたら実際に店舗に買いに行きたい」という声が届いている。

さらに、外出自粛や店舗の臨時休業で買い物に行けない人のために電話で買い物をサポートする「ミキハウスショップダイヤル」も始めた。リアル店舗での対面接客と同じように、普段店舗で接客をしている経験豊富なミキハウスショップのスタッフが対応。衣服や靴のサイズ、ギフトや出産準備品の選び方といった悩みを相談できる。インターネットでの購入が苦手な人のため、その場で注文も受け付ける。

5月25日には全国で緊急事態宣言が解除され、店舗も徐々に営業を再開した。再開後、ギフトやベビー用品などを求めて多くの人が実店舗に足を運んでいる。今後も、子供や家族が安心して過ごせるような買い物環境、商品、サービスの提供を続ける。