2024年11月22日

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キリンビール、クラフトビール「スプリングバレー」を新たな成長エンジンへ

14日の発表会の様子(左=代表取締役社長堀口英樹氏、右=常務執行役員マーケティング部長山形光晴氏)

キリンビールは今年度、強固なブランド体系の構築と新たな成長エンジンの育成に取り組む。「キリン一番搾り」シリーズを引き続き主軸に据えると同時に、クラフトビール「スプリングバレー」の拡販を強化。両シリーズ併せて年間で1000万人の飲用体験を創出する。スプリングバレーはアンバサダーに女優の吉永小百合さんを起用して幅広い年齢層へPRする。スプリングバレー 豊潤<496>をリニューアルして品質もブラッシュアップする。

ビール類市場はここ数年で減少が続き、今後も縮小が見込まれる。さらに2026年には酒税が発泡酒と一本化され、競争の激化は避けられない。今年は酒税改正も見据えた中期経営計画の始まりの年でもあるため、「第二の創業期」と位置付け、ビールの魅力化と市場の活性化を目指す。

「一番搾り」、「一番搾り 糖質ゼロ」などを擁するキリン一番搾りシリーズは、長年同社のフラッグシップブランドの役割を担っており、直近も売れ行きは好調。2021年度(1~12月)は缶商品の売上げが前年比22%増を達成した。一番搾り 糖質ゼロも過去10年で累計販売数が2.5億本を突破し、同社のビール商品では過去最速だという。今年度はさらなる成長のため、コマーシャルを大規模に展開し、キリンビール史上最大の500万本規模の飲用体験機会を創出する。販売数量はキリン一番搾り(缶)が前年比9.8%増、一番搾り糖質ゼロが同20.5%増を目指す。

他方で、新たな成長エンジンとして、スプリングバレーにも注力する。コロナ禍を機に「家飲みを充実させたい」というニーズが高まっており、クラフトビール市場は2021年1~11月で前年比約2倍に伸長した。昨年3月に発売したスプリングバレー 豊潤<496>はその約半数を占め、市場を牽引している。今後のビールの魅力化や市場の拡大を担う中核と定め、ブランドで販売数量前年比約1.5倍を目標に掲げる。

今月には、スプリングバレー 豊潤<496>をリニューアル。新たに希少な日本産ホップ「IBUKI」を採用し、豊潤さがありながら、より洗練された香りと味わいに仕上げた。パッケージは帯、英字、カナのロゴをより大きくし、ブランド名の識別性を強化。さらにブランド全体で、年間で500万人の飲用体験機会を設け、新客の獲得を図る。併せて約36億円を投資してPET容器の商品の製造を本格的に始め、缶商品の製造工場を増やし、供給体制も強化する。