2024年11月22日

パスワード

近鉄百貨店、ネット通販で生活必需品を強化

政府が発令した緊急事態宣言を受け、百貨店業界では店舗の臨時休業や生活必需品を扱う一部の売場での営業が続く。3月や4月の売上げは過去に例を見ないほど落ち込み、経営は厳しさを増しつつある。そうした中でも、地域住民の生活を支えるため、外出を自粛する人々の毎日に〝潤い〟を与えるため、さらには従業員を守るため、各社は食料品売場やインターネット通販を拠点に奮闘する。その現場を追う。第5回は近鉄百貨店だ。インターネット通販サイトで、生活必需品を拡充。外出を自粛する人々の生活を支える。

近鉄百貨店は5月12日時点で、東大阪店を除く全店舗が食料品売場のみの営業を続ける。地域のライフラインを全うする意向だが、外出を自粛する人々の需要が増えるとみて、ネット通販に注力。2月26日に開いた、生活必需品の特集「デイリー&ストック 暮らしの必需品」(以下、暮らしの必需品)を拡充するとともに、5月8日には自家需要に焦点を当てた「ご自宅お届け限定特別販売」を始めた。

暮らしの必需品は、主に「米・米加工品」、「ヘアケア」、「スキンケア」、「フィットネス・健康器具」、「備蓄品」、「医薬品・医薬部外品」、「掃除・洗濯・台所用品」、「衛生商品」など約300SKUをラインナップ。4月17日~5月31日は、1万円以上の買上げで送料がかからない(ネット通販の会員限定)。

ご自宅お届け限定特別販売は、中元商戦の一環でもあり、「和洋菓子」や「惣菜」、「塩干・漬物」、「ビール・酒」、「飲料」、「米・缶詰・即席・調味料」、「日用品」など200以上のSKUを揃える。5月8日~8月31日は、1万円以上の買上げで送料がかからない(ネット通販の会員限定)。

分かりやすい切り口の特集と多彩な品揃えに加え、送料無料をはじめとする特典が奏功。4月のネット通販は、買上げ客数が前年の約5倍、売上げが同じく約3倍と大きく伸びた。「マスクやトイレットペーパー、米、レトルトカレー、化粧品、ランドセル、母の日のギフトなどの売れ行きが良かった」(近鉄百貨店)という。

今後は「化粧品など、お客様の暮らしに必要な商品の取り扱いを増やしていく予定」(近鉄百貨店)だ。

11日には、三重県が商業施設の休業要請を一部緩和。近鉄百貨店は15日に四日市店の営業を再開する。新型コロナウイルスの感染者が減少していけば、他の地域でも店舗の営業の再開が視野に入るが、ネット通販も整備。新客や既存顧客の利便性を追求する。