2024年11月22日

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伊勢丹新宿、自主編集の「イセタン シード」好調 店内買い回りにも成果

イセタン リーフで9月1~14日行われる「KISS,TOKYO」とコラボしたポップアップの様子

伊勢丹新宿本店の雑貨の自主編集売場、「イセタン シード」と「イセタン リーフ」が好調だ。昨年9月にオープンし、下期(20年10月~21年3月)はコロナ禍にもかかわらず予算を達成。同店で年間買上げ額の多い客や35歳以下の支持を獲得し、当初の狙いとしていた各売場への送客でも成果を上げている。さらなる知名度の向上のため、9月1~14日は10代や20代の若年層にも人気の高い「KISS,TOKYO」とコラボレーションしたポップアップストアを開催する。

 

店舗全体の「ガイドマップ」になる売場へ

イセタン シードとイセタン リーフは本館1階に構え、通路を挟んで隣り合う。イセタン シードは「毎日が広がっていく、デイリーライフライブラリー」をコンセプトに、伊勢丹新宿本店の各階から普段使いのブランドを集積。約100~200ブランドを入れ替えながら揃え、常時約1300SKUの商品を取り扱う。イセタン シードは「旬な変化を楽しむタイミングコンセプトショップ」をテーマに、季節やオケージョンにおいて関心の高いアイテムをセレクトする。

以前は婦人雑貨やシーズン雑貨の売場だったが、「既存のお客様からの支持が低下し、新しいお客様との接点も持てなくなっていた」(小林嵩ISETAN Leaf/Seedバイヤー)という課題があった。また、同店全体について客から「広過ぎてどこに何があるのかがわからない」、「何か欲しいが、欲しいものが見付からない」という声も寄せられていた。

イセタン シードは伊勢丹新宿本店から食・コスメ・日用品・雑貨・書籍などを選び抜いて集めた

こうした課題を踏まえ、同店のガイドマップ、キュレーションとしての売場へとリニューアル。商品カテゴリーごとに分類していた売場から大きく変えた。イセタン シードは雑貨に加え食品や化粧品、タオルなど幅広いカテゴリーを取り扱い、食器と食品、タオルとバス用品、ギフトに添える手紙やポストカードと文房具など、一緒に使うような商品を並べて提案する。イセタン リーフはストールや帽子、傘といった従来のシーズン雑貨に限らず、例えば夏ならリゾートドレスや水着、サンダルといったように、各シーズンで関心を集める商品も揃える。

イセタン シードとイセタン リーフは伊勢丹新宿本店に馴染みのない客へ、どのような店であるかを知ってもらったり、何か買いたいが具体的に決まっていない客にアイデアを与えたりするような売場を目指した。さらに多くの商品を比較検討したい客には、各専門の売場へ積極的に誘導する。

こうしたコンセプトが支持され、売上げは好調に推移。20年度の下期はコロナ禍にもかかわらず、予算比105%を達成した。以前から扱う雑貨はダウントレンドだったものの、食品など新たに導入したカテゴリーがカバーした。特に消毒液などの衛生関連商品、女性向けサニタリー用品などが売れており、「今まで取り扱っていなかったが、お客様の関心が高まっている領域だった。そこに当店らしい感度の高いセレクトで商品を揃えたことが人気に繋がった」と小林氏は分析する。

予算を上回っただけでなく、伊勢丹新宿本店での年間買上げ額が上位の顧客と35歳以下の取り込みにも成功した。三越伊勢丹のハウスカードの利用データによると、同店で年間100万円以上を買上げる顧客による売上げが20年度の下期で前年同売場比で50%増、35歳以下が同205%増と高伸長。さらに、今まで婦人雑貨売場を利用していなかった客も獲得した。カードホルダーのうち、18~19年度に1階での買い物実績がなかった客が45%を占めたからだ。

狙っていた各売場への買い回りも生まれており、イセタン シードまたはリーフで買い物をしたカードホルダーの、他の売場での売上げは前年比で1.4倍となった。

多くの収穫を得たが、「伊勢丹新宿本店になじみのない方への知名度がまだ低い」(小林氏)ため、9月1日からイセタン リーフでKISS,TOKYOと協業したポップアップイベントを開催。認知度の向上や新客の流入を狙う。

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