2024年11月23日

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7都府県の百貨店、臨時休業 緊急事態宣言に即応

4月7日(火)に政府から発令された新型コロナウイルス感染拡大による「緊急事態宣言」を受け、対象となる7都府県に立地する百貨店は、翌8日(水)から一斉に臨時休業体制に入った。実施期間は5月6日までを目途にした「当面の間」。全館を休業する百貨店と、経済産業省からの協力要請もあり、食品売場並びに一部テナントのみ時間を短縮して営業する百貨店に分かれた。いずれも「顧客と従業員の安全確保」を最優先した英断であろう。緊急事態宣言は他県に広がっており、10日(金)には愛知県と岐阜県が独自に発令し、該当する百貨店が11日(土)もしくは12日(日)から臨時休業に入った。県の自粛要請を受けて、週末に臨時休業した百貨店もあり、業界も緊急事態に突入した。

 

 4月8日より当面の期間 宣言解除を目安に再開へ 食品のみ短縮営業で

 

安倍晋三首相は、政府の新型コロナウイルス感染症対策本部で特別措置法に基づく緊急事態宣言を4月7日に発令した。対象は、東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県で、実施期間は同日から5月6日まで。

 

緊急事態宣言を受け、対象となる7都府県に立地する百貨店は速やかに対応した。発令日に臨時休業を発表し、翌8日(水)から一斉に実施した。宣言が発令される前日の6日夜に公表された東京都の対応策で、休業要請の範囲に百貨店が含まれていたこともあり、これに即応した格好。

 

臨時休業は、言うまでもなく「お客様と取引先を含めた全従業員の健康と安全確保」を第一義に、新型コロナウイルス感染拡大防止に少しでも貢献していくための英断だ。

 

ただ「臨時休業」といっても、全館を対象にする店舗と、食品フロア並びに一部テナントのみ営業する店舗に大別される。全館対象の臨時休業店舗は、三越伊勢丹の首都圏(小型店含む)、大丸松坂屋百貨店の対象エリアの店舗(一部除く)、松屋、京王百貨店、東急百貨店の一部店舗、阪急阪神百貨店の一部店舗である(左表参照)。小型店を除くと23店舗を数える。

 

対して食品フロア並びに一部テナントのみを営業しながら臨時休業している百貨店は、髙島屋、阪急阪神百貨店、そごう・西武、小田急百貨店、東武百貨店、東急百貨店(一部)、近鉄百貨店など18社で、その店舗数(小型店と一部SC除く)は73店舗を数える。8割近くの店舗が食品フロアのみ営業を続けている。

 

原則として全館臨時休業している大丸松坂屋では大丸須磨店と松坂屋高槻店で、東急百貨店では郊外立地の店舗や小型店で食品フロアのみ営業している。近隣居住者で日常的に「デパ地下」を利用している顧客も少なくなく、経済産業省からの食品の安定的な供給実施要請を受けた対応だ。

 

食品売場の営業時間は通常よりも短縮しており、店舗によって異なる。ただ営業中の食品フロアで休業しているショップが散見される。また阪急うめだ本店や阪神梅田本店のように平日のみの対応で土日は全館休業するケースもある。

 

消費マインドが冷え込み、巣ごもり消費が強まる中でも、誕生日などの「ハレの日」に細やかでも楽しく過ごしたい生活者ニーズもあろう。人の安全確保が最優先に違いないものの、難しい判断を迫られた「臨時休業体制」であろう。

 

 愛知や岐阜も発令 自粛営業、急拡大

 

7都府県の「緊急事態宣言」の発令後の4月10日(金)時点でも、新型コロナウイルス感染症は広がっている。7都府県以外で県独自の緊急事態宣言の発令、外出自粛要請が実施され、こうしたエリアに立地する百貨店では、臨時休業、営業時間の短縮期間の延長が相次いでいる。

 

4月10日には、愛知県と岐阜県が独自に「緊急事態宣言」を発令した。これに伴い両県の百貨店は相次いで臨時休業を決定した。

 

同日午後8時の時点では、ジェイアール名古屋髙島屋が4月12日(日)から当面の間の臨時休業を決めた。地下1階・2階の食品フロアと1階北ブロックデリシャスコートのみ時間を短縮して営業する(10時~18時)。岐阜髙島屋は翌11日(土)から臨時休業に入り、食品フロア(10時~17時)と別館(10時~19時)のみ営業する。

名鉄百貨店は本店(本館とメンズ館)と一宮店を12日から当面の間、臨時休業。両店とも食品フロアは営業を継続(10時~19時)し、一宮店は7階レストランも時間を短縮して営業する(11時~15時)。大丸松坂屋百貨店も、松坂屋名古屋店と豊田店を11日から当面の間、臨時休業。両店共に食品フロアは営業時間を短縮して営業する(10時~18時)。

 

京都でも府が緊急事態宣言の地域に指定するように政府に要請した動きに即応し、ジェイアール京都伊勢丹が4月10日に、12日から5月6日まで全館臨時休業すると発表。髙島屋京都店、大丸京都店は営業時間を短縮して対応しているが、臨時休業するショップが続々と出ており、11日と12日は多くの化粧品ショップが臨時休業した。

 

岡山、広島の百貨店でも7都府県の「緊急事態宣言」を受け、臨時休業や営業時間短縮の期間延長を実施した。天満屋は、岡山本店や倉敷店などで4月10日から営業時間をさらに1時間短縮(19時から18時閉店に)した上で、期間を5月6日まで延長。広島の福山店でも13日から5月6日まで同じく1時間短縮して営業する。

 

広島の百貨店では、県知事の週末(11日と12日)の外出自粛要請を受け、臨時休業を決めた。福屋は八丁堀本店と広島駅前店(両店共にクリニックや美容室など一部営業)、食品館フレッド、五日市福屋(食品のみ営業)、尾道福屋、小型店を臨時休業。13日(月)からは営業時間を短縮する(11時~18時)。広島三越は、両日を全館臨時休業。天満屋は広島緑井店、福山店(共に食品のみ営業)、福山ポートプラザ店、小型ショップで、同じく両日臨時休業した。

 

4月10日の午後には、東京都知事が緊急事態宣言に基づく休業要請対象施設を発表したが、当初含まる予定だった商業施設から百貨店が除かれた。しかしながら、人の健康と安全確保、感染症拡大防止の観点を重視し、三越伊勢丹、松屋、京王百貨店などは、同日に臨時休業の継続を決めた。

 

そごう・西武では西武池袋本店で感染者が9日に確認されため、急遽、11日、12日の2日間、食品フロアを含めて臨時休業。小田急百貨店では4月8日から5月6日まで平日に食品フロアのみ営業して土日の全館臨時休業を決めていた新宿店と町田店で、土日も食品のみの営業に変更した。

 

当面の間、新型コロナウイルスの猛威に振り回される。「アフターコロナショック」による環境変化をどのように捉えて、進化への好機にできるか。振り回されながらも、その準備に取り組む時期だ。