2024年11月22日

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軒並み大幅増収も、実質2~3割減の厳しさ続く

大手百貨店4社の4月売上高は、前年の緊急事態宣言の発令に伴い4月8日以降の臨時休業や営業時間短縮を実施していた反動で、いずれも前年実績を大幅に上回った。入店客数も回復基調に転じ、百貨店の強みであるラグジュアリーブランドや宝飾・時計など高額品がけん引した。ただ、コロナ禍前の前々年比(19年4月比)では2~3割減を強いられており、実質的な前年比では依然として厳しい状況が続いている。加えて東京、大阪、兵庫、京都の4都府県に3度目の緊急事態宣言が発出され、4月25日からの営業自粛の影響で、より厳しい環境に陥った。

4社の中で最も売上高伸長率が高い三越伊勢丹(国内百貨店含む)は252.6%増となり、前月(19.1%増)を大幅に上回る伸長率。前年の4月8日から全館休業していた首都圏5店舗に限ると374.1%増。このうち銀座が867.6%増と突出した伸長率だが、新宿も店頭に限ると681.7%増、同じく日本橋も557.3%増となる。新宿と日本橋の両基幹店では、宝飾・時計やラグジュアリーブランドのハンドバッグを中心に高額品の売れ行きが好調。食品では自宅での時間を充実させたいニーズの高まりから、牛肉やホールケーキなどが好調だった。また前年の4月8日~5月6日まで休業していた三越伊勢丹オンラインストアは母の日にギフト需要に加え、外出自粛傾向や月末の休業の影響もあり、前々年比で約2倍の売上げだった。前年比では3.5倍超の回復を遂げたとはいえ、コロナ禍前の前々年比では三越伊勢丹で約7割、グループ百貨店で約8割、国内百貨店合計で約8割の回復度にとどまっている。

阪急阪神百貨店の売上高前年比は213.6%増となり、前月(32.6%増)を大幅に上回る伸長率を遂げた。中でも322.9%増だった阪急本店がけん引した。ラグジュアリーでは春の主力アイテムおよびコーディネートアイテムが好調で、またブライダルリングなど100万円以上の高額品も好調だった。ただ阪急本店の前々年比では41%減となり、全店の前々年比は36%減、インバウンドを除いても29%減までの回復度に過ぎない。3度目の緊急事態宣言の発令に伴い対象エリアの店舗では食品売場以外を休業する営業体制に切り替え、再び来店客数、売上高共に低水準を強いられた。

大丸松坂屋百貨店(関係百貨店含む)は213.6%増。同じく前月(34.1%増)を大幅に上回る伸長率で、入店客数も205.6%増だった。大丸松坂屋の既存店計の国内売上高(法人・免税除く)は243%増だが、前々年比では27%減だった。店舗別では心斎橋(628.3%増)を筆頭に、東京(653.9%増)、神戸(399.0%増)、上野(398.7%増)などの大都市圏の伸長率が際立った。商品別では、ラグジュアリーブランド、高級時計や美術などの高額品が好調で、特に美術は前々年比でも3割増だった。紳士服・洋品の中でスポーツ・ゴルフが堅調だった。

髙島屋(国内百貨店子会社含む)は140.3%増となり、同じく前月の伸長率(26.6%増)を大幅に上回った。店頭に限ると187.8%増となり、免税売上高は1464.2%増まで復調した。同社もコロナ禍前の前々年比では店頭が27.3%減、免税が86.4%減となり、厳しい状況が続いた。店舗別では大阪(273.6%増)、横浜(358.0%増)、新宿(274.0%増)などの基幹店が軒並み高い伸長率を遂げた。またクロスメディア事業が12%増となり、前月(16.9%増)に続き2桁伸長したが、法人事業が前年の大口受注の反動で、18.7%減だった。