2024年11月22日

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コロナ下の今だからこそ富裕層が走るハイリスクハイリターン投資

仮想通貨の急上昇は資産逃避

仮想通貨(暗号資産)が急騰している。特に2021年に入ってからの上げ幅は大きく、ビットコインを例に取れば1月に400万円台を超えたかと思えば、2月にはついに500万円を突破した。

「ここ最近、ビットコインを始めとする仮想通貨(暗号資産)が、“投機”から“投資”へと変化し、ポートフォリオを構成する1つの資産になってきた」

富裕層の資産運用をアドバイスしているプライベートバンカーたちは、このように口を揃る。きっかけは、新型コロナだ。「新型コロナ対策で各国が財政出動を積極化させており、法定通貨の信用が揺らぎ始めているからだろう」というのだ。「有事の金」同様に、仮想通貨も安全資産と位置付けられ、資産を逃避させる動きが加速しているというのだ。

確かに仮想通貨の上昇は新型コロナの蔓延と軌を一にしている。ビットコインで見れば、17年から18年にかけてバブルが崩壊し急落した後、しばらく低調だったが、コロナ禍が深刻化し始めた20年初旬から多少の上げ下げはあるものの上昇基調は続いている。「投資銀行が相次いでリポートを発表するなど、機関投資家も仮想通貨へ走っている。その様子を見た富裕層も『機関投資家が投資するなら大丈夫だろう』と考え、投資しているようだ」とプライベートバンカーは指摘する。

もちろん、全てを仮想通貨に振り向けているわけではなく数%程度ではあるが、それでも富裕層が保有する資産は大きく、市場に与える影響は少なくない。

リスク許容度を高めハイリターン投資へ

仮想通貨だけではない。富裕層はコロナ禍の中、運用姿勢自体を大きく変化させている。ある上場企業の創業メンバーで、自社株も含めて数十億円規模の資産を保有する男性は、「それまでは長期・分散投資一辺倒だったが、コロナをきっかけに短期運用に切り替えた」と明かす。

この男性は、それまで「年2〜3%程度の利回りがあれば生活するのに十分」として、米国債を始めとする債券を中心に運用してきた。ところが新型コロナをきっかけに「将来、何が起きてもおかしくないと考えるようになった。であれば稼げる内に稼いで、資産を殖やしておいた方がいいと考えが変わった」といい、運用姿勢を転換したという。

だからといって、株は折からの新型コロナ対策で既に高値をつけており、そこまで大きなリターンは得られない。そこで男性は「多少リスクが高くなってもハイリターンが得られる金融資産に投資しよう」と考え、様々な金融商品に短期投資するようにした。「コロナ禍で資金を寝かしておくのは逆にリスクだと思うようになった。そのため最近は、リスクの許容度を引き上げて、短期運用でハイリターンが得られるものに積極投資している」と明かす。

限られた富裕層が手掛ける「ランドバンキング」

とはいってもこの男性が投資しているのは、外国企業の社債やETFくらいがせいぜい。男性曰く「私などはまだかわいい方。すごい人はもっとリスクを取っている」。

例えば40代のIT系企業経営者が最近はまっているのは、「ランドバンキング」だ。不動産投資会社が、将来的に開発需要が見込まれる未開発の土地を購入し、個別に境界線が引かれていない共同持分という形で、投資家に公募を行う投資プロジェクトのこと。

不動産投資会社は、購入した土地に対する開発プランニングを行って不動産開発デベロッパーに土地を売却。その後、売却によって得た利益を投資家に償還する。開発前の土地が市場価格よりも安価に購入できるため、売却できれば非常に高いリターンが期待できるが、できなければ投資リターンが得られないなど、リスクはかなり高い。

この経営者は「情報が正しいかどうかの目利き力が求められるが、数千万円の土地が数億円になって、高いリターンを得ている。限られた人しか情報を得ることができない点が大きな魅力といえる」と明かす。

究極の「未上場株投資」

「自分自身が、先輩に投資してもらったおかげで会社を成長させることができたし、大きなリターンを出して報いてきた。確かに全ての出資先企業が成功するわけではないのでリスクは高いが、後輩たちを応援する意味も込めて積極的に投資している」

別の上場企業経営者が語るのは、「究極のハイリスク・ハイリターン投資」と言われる未上場株投資だ。10社に投資して1社でも成功すればいい方で、投資先が経営破綻などしてしまえば投資した資金は戻ってこない。一方で、投資した未上場企業が上場したり、企業に買収されたりすれば、たちまち投資額の10倍、100倍といったリターンが得られるからだ。

しかも最近は追い風が吹く。20年は新型コロナで出足が遅かったものの12月には27社が相次いで上場。07年以降、久しぶりに年間の上場企業数が100社を超えている。

「成功する会社かどうか、見極めることができるかどうかが全て。今後も上場する企業は増えそうで、コロナ禍の今こそ積極的に投資していきたい」

このように、富裕層はコロナ禍の今、チャンスとばかりに投資を積極化させている。法定通貨の信用力が下がりつつある中で、ハイリスクハイリターン投資は熱を帯びていく。