2024年11月22日

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春の買い替え需要を狙う 財布特集

阪急うめだ本店の財布売場は昨年9月の改装で、スマートアイテム売場へと変貌をとげた。売場面積約76㎡に524SKU以上のアイテムを集積。従来の財布だけでなく、スマートフォンケースなどの周辺アイテムを幅広く展開している。

【写真】年始に行ったラッキーカラーに焦点を当てたプロモーション

財布をはじめライフスタイルを彩るアイテムを集積したスマートアイテム売場

スマートアイテム売場では財布・スマホケースとも平常月には自家需要が高く、クリスマス・新年(春財布)にはギフト需要が高くなる傾向だ。客単価は財布が2万~3万円、スマホケースが9800~2万2000円程度。ラグジュアリー・コンテンポラリーバッグ売場に入るブランドショップの顧客が買い回りしていることが多い。

同店がスマートアイテム売場に舵を切ったのには、ここ数年の売上げ傾向の変化がある。財布売場での長財布のシェアが71%(2015年)から43%(2020年)まで減少、単価がダウンした。最近では、キャッシュレス化の影響でミニ財布や薄マチが主流であることも背景に、スマホケース・ミニバックが相対的に伸長している。中でもミニウォレットやハンズフリー対応のスマホケース、一帯型のレザーポーチが人気だ。ハンドバッグ協会によると「キャッシュレス化が進む傾向にはあるが、お金にまつわるアイテムが要らないわけではない。革製品関連のアイテム需要があることもデータとして出ている。例えば財布とスマートフォンケースが一体となった「SAIPHONE」(サイフォン)などユーザーの需要に合わせた多岐に渡る開発の余地がある」としている。

売場ではこれらのニーズに合わせた構成を手掛ける。コロナ下でのライフスタイルの変化でキャッシュレス化とデジタル化が進んだことからミニウォレットやハンズフリー対応の新アイテムを集積展開。一定の成果をあげた。

需要の変化に応じた品揃えの再編によってスマートアイテムの売上げを伸ばす一方で、財布の販促も仕掛ける。特に財布の売上げの一つのヤマとなる年末から年始にかけては力を入れる。クリスマスや新年は、買い上げの際に、アトリエでイニシャルが刻印できるカスタマイズサービスを提案した。

また、新年には開運関連のプロモーションを仕掛けた。金運上昇を願って新しい年に購入・使い始める財布は春財布と呼ばれ、お金でパンパンに「張る」が「春」に係ることから、たくさんお金が舞い込み縁起が良いとされている。さらに、1月16日は幸運を呼びこむといわれる、年に数回しかない「天赦日」と「一粒万倍日」が重なる吉日であったため、それに合わせてラッキーカラーを提案するイベントを行った。

1月13日から19日にかけて話題の占い師・ぷりあでぃす玲奈氏が監修した2021年のラッキーカラーに合わせて、1階のプロモーションスペースで最新のレザーグッズを紹介した。グリーンの金運アップを中心に、ライラック(全体運)、ピンク(対人運)、ネイビー(スキル)、ブルー(女性の魅力)、イエロー(健康運)などカラフルな財布が売場を彩った。

プロモーション期間中は「インスタなどで情報を集めて来店する熱心なお客様も多く、ぷりあでぃす玲奈氏監修の効果が最大限に発揮できた」(第一店舗グループ婦人服飾品商品統括部ハンドバッグ商品部バイヤー宇野美佐子氏)という。実際天赦日と一粒万倍日がかさなった開運日である1月16日は1月の他の週末の売上げと比べ7割増と活況を呈した。この開運日は3月末にも訪れるため、阪急うめだ本店では新年度のニーズと合わせて再び大きな売上げを狙っていく。

一方3月12日は語呂合わせで「サイフの日」とされている。バッグメーカーのスタイルが商標として登録していたが、6年前からエンドユーザーの財布への意識を高め、自家需要やギフトとしての需要に結びつけるべく、一般社団法人日本ハンドバッグ協会内に記念日告知委員会を設立、業界全体で財布市場を盛り上げる活動を始めた。3月12日は、「サイフの日」として、日本記念日協会にも登録している。

この日に合わせて毎年様々な取り組みをしているが、今年も懸賞企画を実施する。「ハンドバッグ協会」と検索すると出てくるページから応募すると商品券やオリジナル財布が当たる。

また財布の買い替えを促す施策にも取り組む。それが協賛店舗による「お財布引取りキャンペーン」で、不要になった財布を店舗に持ってくると引き取ってもらえ、神社で清祓(きよはらい)した後、環境を害さない方法で処理してくれる。「古い財布はあるけどゴミとして捨てるのは気が引ける」という消費者の声に対応した。財布引き取り時にはその店舗で使えるクーポン券を配布したりなど(店舗による)して買い替えを促している。

 


マルショウエンドウ 開運をテーマにした吉日アイテムを提案

マルショウエンドウはアート・ブランド「和マンハッタナーズ」から、「吉日」をテーマにしたアイテムを追加した。店頭では開運日として知られる天赦日や一粒万倍日に向けプロモーションを展開し、需要を喚起する。

猫が風神・雷神に扮したイラストが描かれた吉日パース

追加したのは財布4SKUとチャーム5SKU。財布「吉日パース」は 猫が風神・雷神に扮した「龍神とフーちゃんライちゃん」と、めでたいモチーフと猫を集めた「辰乗りの一富士二鷹三茄子四猫は七(ナナ)」という作品を使用した。それぞれの作品で長財布と折り畳み財布を展開する。本体は上質な牛革を使用した日本製。

財布を開くと、運が開けそうなゴールドがまぶしい。ファスナーの引き手にはラッキーモチーフである紫と金のタッセルを採用するなど、開運と猫のかわいらしさを全面に押し出した仕上がりとなっている。箱も縁起が良いとされるオレンジを採用した。大きく開きやすい小銭入れやたっぷり取った収納など財布としての機能も充実している。価格は1万7000円から2万2000円。

猫と縁起物の鯛を合わせた「猫たい」の吉日チャーム

「吉日チャーム」は財布やバッグに付けて楽しめる。「虎の面々」、「猫たい」、「梅松桜の三つ子は大活躍の図」、「万願成就」、「猫かむり 左」の5種類で、それぞれ猫を主役に鯛や虎など縁起の良いものを描いた。チェーンはゴールドで財布と合わせてもぴったりだ。価格は各3000円。

マルショウエンドウではシリーズ名の「吉日」にちなんだプロモーションも展開する。一粒の籾が万倍に実るという意味があり宝くじを買うのに良い日としても有名な「一粒万倍日」、何かを始めるのに良く日本の暦の上で最上の吉日である「天赦日」の2つが重なった2021年1月16日に向けキャンペーンを展開。新しい財布を使い始めるのに最適な日としてPRし、売上げのヤマを作った。3月31日には一粒万倍日、天赦日に加え「虎の日」が重なる最高の開運日が来るため、更なる拡販を狙う。

「和マンハッタナーズ」は、画家久下貴史氏が独自の創意と発想で築いてきた猫的世界作品にニッポンを融合させた新しい世界観の作品群を用いて、幸せ感に満ちた商品を提案するアート・ブランド。

 

プリンセストラヤ 取り組み続けるサステナブル活動のPRを強化

プリンセストラヤは21年SSの財布市場に、オリジナルブランド「ダコタ」、「フレームワーク」で、サスティナビリティに焦点を当てたアイテムを投入する。

フチの装飾が落ち着いた雰囲気の「ハーヴェスト」シリーズ

「ダコタ」からはイタリア製の牛革を使用した「ハーヴェスト」シリーズを出す。クラシカルなフチの装飾が落ち着いた雰囲気を演出する。イタリアンレザーは、使い込むほど艶が増してくる植物由来のタンニンなめしを採用している。ハーヴェストシリーズのみならずダコタの財布は「レザーワーキンググループ」の認証を受けた皮革を多くのアイテムで使用している。レザーワーキンググループは皮革製造工場において、持続可能で適切な環境ビジネスを行う事を目的とした国際団体。地球環境の保護と維持、工場の労働環境の充実を目標にガイドラインを定めており、認証を得るには厳しい基準をクリアする必要がある。ダコタは過去のアイテムでも、このレザーワーキンググループが認証したタンナーのレザーを多数使用してきた。また、一般消費者には誤解されやすいが、革製品で使用している牛革は、すべて食肉加工の過程で出る副産物を利用している。本来廃棄する部分を活用し製品にするというサステナブルな取り組みは今まで長年続けてきた部分だ。今後もそのサステナブル活動を継続するとともに「もっと消費者の方にそういった活動をしているという情報を提供していきたい」(商品部マーケティング課課長岡田卓也氏)としている。

グリーンの発色が美しい「フレームワーク」の「ノヴァ」シリーズ

オリジナルブランド「フレームワーク」でもサステナブルな商品を提案する。「ボンテ」シリーズはバイカラーのファスナーと丸いリングがポイント。ソフトなタッチ感のやぎ革がしっくりと手に馴染むボンテはリサイクルレザーを使用している。廃棄処分されてしまう皮革の破片を粉砕し再加工して作った素材で、経年変化も楽しめるなど革の風合いを残しつつ、サステナブルな社会に貢献することができる。

コロナ下で百貨店をはじめ店頭での売上げは苦戦が続く。だが同社の財布の1月の売上げは前年同程度を確保した。開運日関連の需要が大きいが、ECも健闘している。革製品は触って質感を確かめてほしいという思いはあるが、ECと実店舗とを連動させ、全体でのかさ上げを狙う。3月には再度開運日があると同時に財布の日も迫る。同社では様々な角度から消費者のニーズを捉えていく。