2025年03月31日

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春節の影響で、化粧品の増勢が続く

大手百貨店4社の2月売上高は、大丸松坂屋百貨店が4.2%増、阪急阪神百貨店が0.6%増、三越伊勢丹が0.3%増、高島屋が1.0%減となった。前年の閏年の反動に加え、気温の低い日が続いたことで、紳士・婦人服の春物の動きが鈍かった。春節(1日~4日)によるインバウンドの増加で、化粧品は好調を維持した。食料品は値上げの影響を受け、苦戦が続いている。

高島屋(国内百貨店子会社含む)の売上高前年比は1.0%減で、店頭に限ると2.3%減だった。免税売上高は11.4%増、免税を除いた店頭売上高は4.5%減を示した。店舗別では12店舗のうち、日本橋(8.1%増)、新宿(5.3%増)、玉川(3.8%増)の3店舗が増収だった。

主要5品目は全て減収となり、身の回り品0.2%減、食料品0.5%減、家庭用品0.9%減、衣料品1.8%減、雑貨2.2%減だった。品目別では、家電(13.1%増)、化粧品(9.8%増)が好調だった。紳士服・洋品(1.4%減)、婦人服・洋品(0.7%減)は、気温の低さから春物の動きが鈍く前年を下回った。法人事業(29.4%増)は受注が堅調に推移し、前年実績を超えた。クロスメディア事業(11.6%減)は、通販カタログの計画的な部数やページ数削減の影響で、前年実績を下回ったが、衣料品などのファッションが堅調に推移し想定を上回った。

三越伊勢丹(国内グループ百貨店含む)の売上高前年比は0.3%増で、26カ月連続プラスだった。銀座(8.8%増)、日本橋(6.9%増)、新宿(0.7%減)の旗艦店を中心に引き続き高付加価値商材が好調で、三越伊勢丹計は2.1%増。新宿本店は、上顧客向けイベントを1月(昨年は2月)に開催したことがマイナス要因となった。国内百貨店では札幌丸井三越(1.3%増)、静岡伊勢丹(1.3%増)、高松三越(0.4%増)がプラスだった。

主要5品目は雑貨(6.7%増)を除いた4品目がマイナスとなった。化粧品(12.1%増)、時計など美術・宝飾・貴金属(5.8%増)は好調が続いている。ラグジュアリーブランドやデザイナーズブランドのハンドバッグ・衣料品も堅調に推移した。春物では、気温が低い時期から着られるコートやブルゾン、ジャケットなどに動きがみられ、子供服・洋品(2.9%増)も伸長した。2月の春節期間が今年は4日間だったものの、免税売上げは前年実績を超えて推移した。国内百貨店の全体傾向と同様に、引き続き高付加価値商品への関心が高い。

大丸松坂屋百貨店(関係百貨店含む)の総額売上高は前年比4.2%増で、26カ月連続でプラスだった。関係百貨店を除いた店計は4.5%増、入店客数は0.6%増。免税売上高は36.2%増、客数50.8%増、客単価9.2%減、免税を除いた店頭売上高は1.1%減となった。店舗別では15店舗のうち9店舗がプラスで、札幌(11.2%増)、心斎橋(10.6%増)、梅田(8.1%増)、静岡(5.1%増)、東京(4.9%増)、高知大丸(4.7%増)の伸び率が高かった。

主要5品目は食料品(0.1%減)を除いた4品目がプラスだった。雑貨(11.7%増)は、訪日外国人客の増加に伴い、化粧品(25.1%増)の増勢が続いている。衣料品(3.1%増)の婦人服・洋品(4.6%増)は、平年より気温が低く春物衣料品の動きが鈍かったが、ラグジュアリーブランドが引き続き売上げをけん引した。紳士服・洋品(3.5%減)は、コートが大きく売上げを伸ばしたものの、スポーツ・ゴルフ用品などの不調が響いた。身の回り品(5.4%増)はインバウンド需要の高いアクセサリーが好調を維持したほか、手袋・マフラーなどの防寒アイテムが伸長した。食料品は、バレンタイン商戦が好調だった菓子(3.4%増)が売上げを伸ばしたが、食品値上げの影響を受けた生鮮(2.4%減)、惣菜(3.2%減)は苦戦が続いた。

阪急阪神百貨店の売上高前年比は0.6%増と31カ月連続プラス。阪急本店は3.8%増、阪神梅田本店は7.6%減、支店計は2.0%減だった。支店のうち阪神・にしのみや(12.3%増)、高槻阪急スクエア(2.7%増)の伸び率が高かった。

主要5品目では、家庭用品(0.7%減)、食料品(3.7%減)、身の回り品(4.5%減)の3品目がマイナスとなった。雑貨(12.9%増)は引き続き高い伸びを示した。紳士服・洋品(5.6%増)、子供服・洋品(5.1%増)が好調を維持した衣料品(0.5%増)もプラスだった。