2025年03月01日

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アルビオンの「エクシア」が成長軌道に 開発担当者に聞く

「エクシア」の商品開発を担当する佐藤氏(右)と伊藤氏

格別で特別な成長軌道に乗った――。アルビオンが手掛ける「EXCIA(エクシア)」シリーズが好調だ。新型コロナウイルス禍では一時的に苦戦したが、21年からはスキンケアが、昨年はベースメイクが、それぞれ売上げをけん引。スキンケアでは22年9月18日に発売した美容液「ダブルキー アドバンス セラム」や23年4月18日に発売した美白美容液「シリウス ブライト セラム」などが、ベースメイクでは昨年3月17日に発売したリキッドファンデーション「ベアヴィジョン ファンデーション」などが当たり、エクシアの売上げはコロナ禍前を超えた。今年3月18日にはスキンケア、ベースメイク、ポイントメイクに相次ぎ新商品を投入。勢いに弾みを付ける。特にポイントメイクは、アイブロウなど売れ行きの良い商品もあるが、シリーズの中では認知度が低く、伸び代は大きい。EXTRA(=格別)と「SPECIAL」(=特別)を掛け合わせた名を持つエクシアを、いかに飛躍させ、アルビオンにとって格別で特別な存在として際立たせるか。商品開発部商品開発グループの佐藤雅美係長と伊藤理恵氏に尋ねた。(取材は2月6日)

3月18日には「ブライトニング イマキュレート セラム」の6代目となる「ブライトニング イマキュレート セラム Z」が登場

――エクシアの現状を教えて下さい。

佐藤 まずエクシアはブランドでなくアルビオン内のシリーズと位置付けており、アルビオンブランドでは唯一、スキンケアからベースメイク、メイクアップまで総合的に展開しています。コロナ禍ではメイクアップをはじめ厳しい状況でしたが、現在は好調に推移しています。

――好調の要因は何ですか。

佐藤 スキンケアが21年以降、躍進しています。エクシアの代表格は2010年に初代を発売し、パワーアップを続けて現在5代目の美白美容液「ブライトニング イマキュレート セラム」で、スキンケアの売上げの約1割を占めますが、それを超える話題性を出せていませんでした。しかし、22年9月18日にリニューアル発売した1万6500円の美容液、ダブルキー アドバンス セラムがヒット。1万5000円(税抜き)は社内で「鬼門」の価格帯とされてきましたが、それも打破できました。23年4月18日に発売した同価格の美白美容液、シリウス ブライト セラムもスキンケアの躍進に寄与してくれました。

昨年はベースメイクが大きく貢献してくれました。具体的な商品名を挙げると、昨年3月17日に発売したリキッドファンデーション、ベアヴィジョン ファンデーションです。売れ行きが良いだけでなく、新しいお客様の開拓にもつながりました。品質はもちろんですが、価格戦略も奏功した印象です。8800円のベアヴィジョン ファンデーションは、エクシアシリーズでは求めやすい価格で、商品の平均価格が高騰する化粧品市場においても支持を得られました。昨年9月17日に発売したフェイスパウダー「セレスティアル ヴェール」も、複数の美容誌で2024年下半期の「ベストコスメ」にランクインしたり、「YouTube」で話題を集めたりしました。

エクシアの売上げはコロナ禍前を超えており、特に当社の販売現場もエクシアへの想いが強く、この10年間は拡販に注力してきました。それが実ったとも言えます。

――3月18日にはブライトニング イマキュレート セラムの6代目となる「ブライトニング イマキュレート セラム Z」が登場します。代表格の進化は、エクシアの躍進を加速させますね。

佐藤 ブライトニング イマキュレート セラムは、ずっと売上げを更新している稀有な例です。これまで美白研究のブレイクスルーや製剤の技術革新に合わせてリニューアルしてきましたが、今回も同様で、売上げが落ちているわけではありません。美白は大手が研究し尽くしている分野で、技術革新は難しくなっていますが、「(新商品として)出すべき」という新しい発見がありました。実は「なぜ、気付かなかったのだろう」という発見なのですが、美白研究がいわゆる「重箱の隅をつつく」ような状況下で、それを俯瞰的に捉え、シミ部位がとっている構造とその原因を見詰めて、異常を元に戻す、リセットするという新しいアプローチにたどり着きました。

社内でも「歴代最高の実感がある」と高く評価されており、美容家の反応も極めて良好です。前回のリニューアルよりも手応えがあり、120%の自信を持ってお客様に届けられます。(売上げを最大化するためには)販売の現場との連携が重要ですし、セミナーなどを通じて作り手としての想いを伝え、発売日を迎えたいです。

「エクシア」の新作は昨年12月11日の発表会で披露されたが、大勢で賑わい、関心の強さを窺わせた

――同日には美容液リキッドファンデーション「エバーラスター ファンデーション」も加わります。

佐藤 「軽やかなのに強い」や「付け立ての美しさが24時間続く」など、いわば「有り得ないを両立する」を詰め込みました。エクシアで「24時間」を謳うのは初めてで、リキッドファンデーションの最高峰と位置付けています。

美容液リキッドファンデーション「エバーラスター ファンデーション」

――同じく3月18日には、ポイントメイクにアイカラー「アイカラー ヴォロンテ」も導入します。著名なヘアメイクアップアーティスト、千吉良恵子氏とのコラボレーションでも熱視線を浴びていますね。

伊藤 エクシアはスキンケアとベースメイクがメインで、ポイントメイクは認知度が低いです。しかし、逆に言えば伸び代が大きい。もっと知ってほしいです。実は21年9月にリップカラーをリニューアルして「ルージュ フレーシュ」などを発売しましたが、コロナ禍で残念ながら「鳴かず飛ばず」でした。よって、あらためて「どんな顔になれるのか」を伝えていかなければならないと考えました。

その新たなコンセプトは「Allure Sheer(アリュール シアー)――魅する透明感――」です。アルビオンがスキンケアで大切にしている「透明感」から着想を得て、メイクでも透明感をつくりたい、内側の気品を透け出させる、そうした意図を込めました。当社のメイクブランド「エレガンス」とは違った存在感を目指します。

アイカラー ヴォロンテは、まずお客様に気にかけてもらうため、外観に鮮やかさのある、華やかな色味を採用しました。最近は多色のアイカラーが同業他社から出ていますが、同系色でまとめている印象です。独自性にもつながるのではないでしょうか。外観は鮮やかでも、均一な薄膜で、しっとり伸び広がるため、使いやすいです。

裏テーマとして、大人の女性に「メイクって楽しい」と思ってもらいたいというのもあります。大人の女性は無難な色に落ち着きやすいですが、ときめきや化粧品に魅せられる感覚を味わってほしいのです。昨年12月11日の発表会でも、参加者はワクワクして楽しんでいましたし、「どのパレットの色味も良いから選べない」という声が聞こえました。アイカラー ヴォロンテは千吉良氏とコラボした限定色を含めて7種類からなり、発表会では好みの色を投票してもらいましたが、数の差は小さかったです。エクシアで誰かと協業するのは初めてですが、千吉良氏には以前からパンフレットなどのメイクを依頼しており、当社への思い入れがあり、スムーズに進みました。

ちなみに、エクシアのポイントメイクアップではアイブロウが人気です。リピーターが多く、レフィルをかなり買ってくれています。総じて、商品の質を見極めて買ってくれる方が多いです。

アイカラー「アイカラー ヴォロンテ」

――個人的なイチオシはありますか。どれも自信作でしょうが、1つだけ挙げて下さい。

佐藤 4月18日に出る、洗い流し専用のボディトリートメント「ソルト&シュガースクラブ オイルトリートメント」です。ボディケアのカテゴリーは20年、21年と商品を投入しており、さらに拡充する形ですが、“隠れた名品”になるポテンシャルを秘めています。オイルの種類などにこだわっており、濃密でありながら洗い流す時にストレスがなく、充実した後肌に洗い上がることが特徴です。長い期間、開発に取り組んだ成果です。利便性も追求し、チューブから出してそのまま使えます。近年、高価格帯でもボディケアのカテゴリーは注目を集めていますが、エクシアとしてもっと盛り上げたいです。

洗い流し専用のボディトリートメント「ソルト&シュガースクラブ オイルトリートメント」

伊藤 エクシアのメイクアップは下地に名品が多いです。秋冬、春夏で1品ずつ揃えていますが、とりわけ秋冬はプロモーションを定期的に行っていないにもかかわらず、販売員が地道に紹介して売れ続けています。例えば「ラピダリスト メイクアップセラム」は、文字通り「肌を宝石のように磨き上げられる仕上がり」と社内でも人気です。もちろん、売上げも伸びています。

――エクシアの今後について、話せる範囲で教えて下さい。

佐藤 新たにエクシアの“顔”となるような独自性のある高級品を提供し、世の中で頭角を現していきます。新しいお客様との出会いを増やし、記憶も記録も残すことが目標です。

(聞き手:野間智朗)