2025年1月 大手百貨店4社売上高
春節期間の前倒しで、高額品や化粧品が高伸
大手百貨店4社の1月売上高はいずれもプラスで、三越伊勢丹が12.8%増、大丸松坂屋百貨店が12.0%増、高島屋が6.3%増、阪急阪神百貨店が6.0%増となった。雑貨の化粧品、美術・宝飾・貴金属は、依然として増勢が続いている。衣料品の婦人服も引き続き好調で、コートなど防寒衣料の定価商品が売上げを伸ばした。食料品は、バレンタイン商戦で菓子が伸びたものの、全体では苦戦が続いた。春節期間が2週間前倒しになった影響で、訪日外国客数が増加しインバウンドの伸び率が高かった。
高島屋(国内百貨店子会社含む)の売上高前年比は6.3%で、店頭に限ると5.8%増、免税売上高は45.7%増、免税を除いた店頭売上高は0.9%を示した。店舗別では12店舗のうち7店舗が増収で、京都(18.4%増)、新宿(14.5%増)、日本橋(10.4%増)、大阪(7.1%増)、高崎(5.9%増)の伸び率が高かった。
主要5品目は食料品(1.0%減)を除いた4品目がプラスで、雑貨が8.6%増、身の回り品が5.6%増、衣料品が4.3%増、家庭用品が2.9%増だった。品目別では雑貨の化粧品(8.4%増)、美術・宝飾・貴金属(7.9%増)の好調が続く。法人事業(24.9%増)は受注が堅調に推移し、前年実績を超えた。クロスメディア事業(15.1%減)は、通販カタログの計画的な部数やページ数削減の影響で前年実績を下回ったが、衣料品などのファッションが堅調に推移し想定を上回った。
三越伊勢丹(国内グループ百貨店含む)の売上高前年比は12.8%増で、25カ月連続プラスとなった。銀座(26.9%増)、新宿(21.7%増)、日本橋(7.3%増)の旗艦店を中心に引き続き高付加価値商材が好調で、三越伊勢丹計は17.0%増だった。国内百貨店では札幌丸井三越(17.3%増)の伸び率が高かった。
主要5品目は家庭用品(0.4%減)を除いた4品目がプラスだった。雑貨(19.0%増)の美術・宝飾・貴金属(22.3%増)、化粧品(14.8%増)が高い伸びを示した。衣料品(14.7%増)も好調で、引き続き婦人・紳士共にコートやセーターなどが動いた。上顧客向けイベントでは、ジャケットや軽衣料などの春物も好調に推移した。身の回り品(14.6%増)のラグジュアリーブランドやデザイナーズブランドのハンドバッグ、財布も伸長した。免税売上げは、春節が2週間前倒しになったこともプラス要因となり、前年実績を大きく上回った。国内百貨店の全体傾向と同様に、引き続き高付加価値商品への関心が高い。
大丸松坂屋百貨店(関係百貨店含む)の総額売上高は前年比12.0%増で、25カ月連続でプラス。関係百貨店を除いた店計は11.9%増、入店客数は0.0%だった。免税売上高は87.0%増、客数65.8%増、客単価12.8%増、免税を除いた店頭売上高は0.9%となった。店舗別では15店舗のうち11店舗がプラスで、札幌(28.6%増)、心斎橋(27.7%増)、京都(8.7%増)、博多大丸(8.3%増)、東京(7.6%増)の伸び率が高かった。
主要5品目は食料品(0.2%減)を除いた4品目がプラスだった。雑貨(18.9%増)では、訪日外国人客の増加に伴い平均単価も上昇したことから、化粧品(24.7%増)が大きく売上げを伸ばした。美術・宝飾・貴金属(19.7%増)も伸長が継続している。衣料品(15.3%増)の婦人服・洋品(18.3%増)は、名古屋店の改装による売場面積の縮小の影響があったものの、プロパーのウールコートやラグジュアリーブランドが売上げをけん引した。紳士服・洋品は、スポーツ・ゴルフ用品などの不調によりマイナスだった。身の回り品(4.8%増)はインバウンド需要の高いアクセサリーのほか、ハンドバッグに動きがみられた。食料品(0.2%減)は、バレンタイン商戦が好調にスタートし菓子の売上げが伸びたが、生鮮食品や惣菜の不調が響いた。
阪急阪神百貨店の売上高前年比は6.0%増と30カ月連続プラス。阪急本店は12.3%増、阪神梅田本店は9.4%減、支店計は1.3%増だった。支店のうち阪神・にしのみや(10.1%増)、博多阪急(8.1%増)、都筑阪急(2.8%増)の伸び率が高かった。
主要5品目では、家庭用品(0.9%減)と食料品(2.2%減)がマイナスに転じた。雑貨(15.2%増)が好調に推移し、衣料品(6.6%増)と身の回り品(7.8%増)も堅調だった。