2024年11月22日

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東京駅周辺、虎ノ門、麻布台、浜松町・竹芝、品川駅周辺など、首都圏で進む高層ビル建設

東京で高層ビル建設が進んでいる。2019年は渋谷駅周辺再開発によって「渋谷スクランブルスクエア」や「渋谷フクラス」、「新生・渋谷パルコ」などに代表される渋谷での高層ビル開発が目立ったが、2020年以降は八重洲口や日本橋口などの東京駅周辺をはじめ、日本橋、虎ノ門エリア、麻布台エリア、浜松町・竹芝エリア、高輪ゲートウエイ駅を含む品川駅周辺エリアなどで再開発が動き出し、高さ200mを上回る超高層ビルの建設計画が挙がっている。

【写真】日本橋一丁目中地区第一種市街地再開発事業で建てられる高さ250m超高層ビル(左)と東京駅日本橋口前の常盤橋街区で開発が進む常盤橋タワー(右)

「Torch Tower(トーチタワー)」という名称が決まった高さ約390mのB棟

三菱地所は先頃、東京駅日本橋口前の常盤橋街区で開発している大手町二丁目常盤橋地区第一種市街地再開発事業の街区名称を発表した。決定した街区名称は「TOKYO TORCH(トウキョウ トーチ)」で、2021年6月の竣工に向けて工事が進んでいる高さ約212mのA棟(地上40階・地下5階、延床面積約14万6000㎡)が「常盤橋タワー」に、2027年度竣工予定の高さ約390mのB棟(地上63階・地下4階、延床面積約54万4000㎡)が「Torch Tower(トーチタワー)」という名称になった。追加的な都市再生貢献項目と都市計画変更手続きを加えたことでビルの高さ(国内最高峰の390m)やビルの大きさ(A・B・C・Dの4棟合わせて延床面積約74万㎡)だけでなく、都心で最高層となる。展望施設(トーチタワーの62階と屋上に整備)、約100室の国際ホテル、約2000室の大規模ホール、約7000㎡の大規模広場などが整備され、話題の多い大規模複合ビルとなる。

ポストコロナ時代におけるニューノーマルに対応して常盤橋タワーとトーチタワーの間に大規模広場、日本橋川沿いの親水空間、街区北側に拡大整備予定の常盤橋公園、トーチタワーの1階~8階に続く約2km空中散歩道(約5000㎡)とその終着地に広がる屋上庭園(約2500㎡)などを整備して屋外空間(総面積約2万㎡)を最大限に活用する計画。

トウキョウ トーチと同じ東京駅日本橋口に近い日本橋川沿いエリアに「(仮称)八重洲一丁目北地区第一種市街地再開発事業」として南街区に建つメインタワーは地上45階建て、高さ約235mの高層オフィスビルとなる。

東京駅八重洲口でも高さ200m超の高層ビルを建てる再開発事業が動き出している。八重洲口グランルーフ前にビルの鉄骨がたちあがっているのが「八重洲二丁目北地区第一種市街地再開発事業」で、A-1街区に2022年8月竣工予定の地上46階・地下4階、高さ約250mの超高層ビル(A-2街区には低層ビル建設)。同事業に隣接して建替え工事を進めている「ヤンマー東京ビル」も2022年8月に竣工を合わせている。

八重洲二丁目北地区と同じに高さ250mの超高層ビルを計画しているのが「東京駅前八重洲一丁目東B地区市街地再開発事業」。高さ250mとなるその新ビルは地上51階・地下4階。「八重洲二丁目中地区」で、東京駅八重洲口前に計画されている超高層ビルは地上46階・地下4階、高さが240mの規模。

東京駅の隣・日本橋でも再開発で超高層ビル建設が計画されている。三菱地所が丸の内エリア(大手町・丸の内・有楽町地区)で再開発を進めているのに対し、日本橋エリアで「日本橋再生計画」を推進しているのが三井不動産だ。前者の三菱地所は丸の内エリアでの2020年以降のまちづくりを「丸の内NEXTステージ」と位置づけ、“丸の内エリアを多様な就業者100万人が最適な時間に集まり、交流して価値を生み出す舞台”に変えていくことを目指している。ちなみに丸の内一丁目に開発された、タワー棟とアネックス棟(丸の内テラス)からなる「丸の内1-3計画」が丸の内NEXTステージ再開発計画第1弾となった。

後者の三井不動産は2004年のCOREDO日本橋の開業を皮切りに官民地域一体となった日本橋再生計画を打ち出し、“残しながら、蘇らせながら、創っていく”を開発コンセプトにしたミクストユースの再開発を進めている。「日本橋室町三井タワー」が竣工した2019年から日本橋再生計画が第3ステージに入った。第3ステージではGREATER日本橋を舞台にしたまちづくりが進められ、第3ステージの重点構想の一つになっている「豊かな水辺の再生」では敷地面積約6.7ha、施設の延床面積37万坪に及ぶ5つの再開発(日本橋室町一丁目地区、日本橋一丁目東地区、日本橋一丁目中地区、日本橋一丁目1・2番街区、八重洲一丁目北地区)が予定されている。

5つの再開発の中の一つである「日本橋一丁目中地区」はA街区・B街区・C街区からなる大規模川沿い再開発事業で、C街区に新設されるビルは地上52階・地下5階、高さが284mとなる日本橋で一番高い超高層ビルとなる。

三菱地所の丸の内エリア、三井不動産の日本橋エリアに対し、六本木エリア、虎ノ門エリア、麻布台エリアなど港区を舞台に活動しているのが森ビル。現在進行中にあるのが「虎ノ門ヒルズエリア」と「虎ノ門・麻布台エリア」のプロジェクト。虎ノ門ヒルズエリアについては2014年に開業した高さ247mの超高層複合タワー「虎ノ門ヒルズ森タワー」(地上52階・地下5階)を皮切りに、2020年1月には「虎ノ門ヒルズビジネスタワー」(地上36階・地下3階)が完成。来年以降も「虎ノ門ヒルズレジデンシャルタワー(地上54階・地下4階)が2021年1月に竣工予定。ビルの高さ220mは住宅棟としては日本一の高さになる模様。そして東京メトロ日比谷線・虎ノ門ヒルズ駅と一体開発される地上49階建て、高さ約265mの超高層タワー「(仮称)虎ノ門ヒルズステーションタワー」が2023年7月完成予定。これらのビルが完成すると虎ノ門エリアは区域面積7.5ha、延床面積約80万㎡のスケールになる。

2023年3月の竣工に向けて虎ノ門・麻布台プロジェクトも動き出している。同プロジェクトでは約8.1haの広大な計画区域に西棟・東棟・メインタワー・低層棟が建設される。住宅・オフィス・商業施設等が入るメインタワーは約330mの超高層ビル。西棟についても約270m、東棟も約240mの高さになる。4棟を合わせた延床面積は約86万400㎡。完成後の就業者数は約2万人、居住者数3500人が見込まれている。

JR浜松町駅前にある「世界貿易センタービルディング」は1970年に建設された日本における超高層ビルの草分け的存在。その規模は地上40階・地下3階、高さ152m。誕生して50年が経つ世界貿易センタービルディングは、再開発に伴い近々取り壊され建替えとなる。世界貿易センタービルディングがある浜松町駅のすぐ西側では「浜松町二丁目4地区A街区」で再開発が進んでおり、2棟の超高層ビルが建設される。2021年1月の完成に向けて200m近い高さ(約197m)で「世界貿易センタービルディング南館」(地上39階・地下3階、延床面積9万5239㎡)が建設され、現世界貿易センタービルディング本館の跡地にも南館建設後、地上37階建ての高層ビルが建つ予定。その他、浜松町駅西口地区の再開発は、住宅・オフィス・文化芸術ホールなどを整備する浜松町二丁目C地区の再開発も始動する。浜松町駅近くでは野村不動産などが浜松町ビルディングを含む再開発「(仮称)芝浦一丁目計画」で高さ200m以上のツインビルを計画している。

海岸に近い竹芝ではJRグループによる大規模複合施設「ウォーターズ竹芝」と、東急不動産・鹿島建設がオフィスタワーとレジデンスタワーからなる「東京ポートタワー竹芝」を。完成させている。同オフィスタワーは高さが200mを上回る地上40階建ての高層オフィスビルとなっている。


首都圏の高さ200m超の高層ビル

ビル名(開業年月)<事業者> ビルの規模など
六本木ヒルズ森タワー(2003年4月)〈森ビル〉 地上54階・地下6階、延床面積37万9408㎡,高さ238mの六本木ヒルズのメインタワー、年間4000万超の来街者、災害でも逃げ込める街を標榜し安全性の高さ強調
虎ノ門ヒルズ森タワー(2014年6月)〈森ビル〉 地上52階・地下5階、延床面積約24万4360㎡、高さ247m。虎ノ門ヒルズエリア開発の第1号となる超高層複合タワーで、約6000㎡のオープンスペースを配置
虎ノ門ヒルズレジデンシャルタワー(2021年竣工予定)〈森ビル〉 地上54階・地下4階、延床面積約12万1000㎡、高さ約220m。住宅を中心とした高層ビルで、レジデンス約550戸供給する
(仮称)虎ノ門ヒルズステーションタワー(2023年7月竣工予定)〈森ビル〉 東京メトロ日比谷線新駅・虎ノ門ヒルズと一体開発。ホテル・オフィス・商業施設などからなる多機能複合施設。地上49階建て、延床面積約25万5300㎡、高さ約265m
虎ノ門・麻布台エリア開発(2023年3月竣工予定)〈森ビル〉 8.1haの広大な計画区域に高さ約330mのメインタワー、同約270mの西棟、同約240mの東棟、低層棟からなり、緑化面積は約2万4000㎡におよぶ
東京ポートシティ竹芝オフィスタワー(2020年9月)〈東急不動産・鹿島建設〉 オフィスタワーとレジデンスタワーからなる総延床面積約20万㎡の大規模複合施設。うちオフィスタワーは地上40階・地下2階、高さ約208m,延床面積約18万2052㎡の規模。都市型スマートシティの実現へ
Otemachi One(2020年6月)〈三井物産・三井不動産〉 三井物産ビルとOtemachi Oneタワーからなる大規模複合開発(延床面積約35万7700㎡)。Otemachi Oneタワーは地上40階・地下5階、高さが約200m
渋谷スクランブルスクエア第Ⅰ期(東棟)(2020年11月)〈東急電鉄・東日本旅客鉄道・東京地下鉄〉 第1期の東棟は地上47階・地下7階、高さ約230m,延床面積約181,000㎡の大規模複合施設。渋谷上空229mに360度一望できる展望施設「渋谷スカイ」登場。第Ⅱ期が完成すると延床面積が約27万6000㎡になる
TOKYO TORCH(2027年度完成予定)〈三菱地所〉 東京駅日本橋口前に地上40階・地下5階、高さ約212mの「常盤橋タワー」(21年6月竣工予定)と地上63階・地下4階、高さ390mの「Torch Tower」(27年度竣工予定)などを開発。総延床面積約77万4000㎡、TOKYO TORCH全体で約2haの屋外空間を整備
八重洲二丁目北地区第一種市街地再開発事業(2022年8月竣工予定)〈三井不動産〉 東京駅前に開発されるオフィス・商業・ホテル・小学校・バスターミナル等のミクストユースによる大規模複合再開発。A-1街区に建つのは地上45階・地下4階、延床面積約28万3900㎡、最高高さ約250m
八重洲二丁目中地区第一種市街地再開発事業(2025年度竣工予定)〈八重洲二丁目中地区再開発準備組合〉 三井不動産・鹿島建設・ヒューリックが事業協力者になり、東京駅八重洲口前に地上46階・地下4階、延床面積約41万8000㎡、高さ240mの超高層ビルを建設。オフィス、居住・滞在施設、スクール等を整備
東京駅前八重洲一丁目東B地区市街地再開発事業(2025年竣工予定)〈東京駅前八重洲一丁目B地区市街地再開発組合〉 東京建物が地権者・組合員として事業に参画。B地区に建つ新ビルは地上51階・地下4階、高さ約250mの規模(延床面積約22万5200㎡)。事務所・店舗・バスターミナル・カンファレンス・医療施設等を整備
浜松町二丁目4地区A街区(南館21年竣工予定)〈世界貿易センタービルディング、JR東日本など4社共同事業〉 約2.1haの区域に2棟の超高層ビルを建設(総延床面積28万8000㎡。世界貿易センタービルディング南館は地上39階建て、本館跡には地上37階建てのビルが建設される。他に東京モノレール浜松町駅の建替え、バスターミナルの再整備など行われる
日本橋一丁目中地区第一種市街地再開発事業(建物竣工2025年度予定)〈日本橋一丁目中地区市街地再開発組合〉 日本橋エリアに建つ超高層複合ビル(延床面積約38万300㎡)。A街区・B街区・C街区からなり、C街区に建つ高層ビルは地上52階・地下5階、高さ284m。ホテル・オフィス・商業施設・住宅等からなる
歌舞伎町一丁目地区開発計画(2022年8月竣工予定)〈東急電鉄・東急レクリエーション〉 新宿歌舞伎町(新宿ミラノ座跡地等)に開発する地上48階・地下5階、高さ225mの高層複合ビルが建てられ、映画館・劇場・ライブホール・ホテルなどが入る
新宿駅西口地区開発計画(2029年度完成予定)〈小田急電鉄・東京地下鉄〉 JR新宿駅西口の小田急百貨店、新宿ミロードなどの敷地を利用して超高層ビルに建て替える計画。建物規模は地上48階建て、高さ約260m,延床面積約28万1700㎡。用途は商業施設、オフィス、駅施設など
西麻布三丁目北東地区第一種市街地再開発事業(2026年度工事竣工)〈野村不動産などが組合員として参画〉 六本木ヒルズに隣接する約1.6haの区域に高さ200mの超高層ビル(延床面積約9万6000㎡)と三寺社を開発・整備。超高層棟に住宅・事務所・商業・ホテルなどが整備される複合再開発
(仮称)芝浦一丁目計画(2030年頃の完成計画)〈野村不動産、JR東日本等による共同事業〉 浜松町ビルディング(東芝ビルディング)を含む整備計画。ホテル、オフィス等が入る地上46階・地下5階、高さ約235mのS棟と、オフィス、住宅等が入る地上47階・地下5階、高さ約235mのN棟が建てられる。S棟とN棟を合わせた総延床面積は約55万㎡
西新宿三丁目西地区第一種再開発事業(2029年度講じ竣工予定)〈野村不動産,住友商事等が事業協力者として参画〉 日本の分譲マンションにおいて最高層(235m)・最高階数(65階)・最大規模(約3200戸)の大規模再開発事業。A街区に建てられる北棟・南棟ともビルの高さが約235mになる
(仮称)八重洲一丁目北地区第一種市街地再開発事業(北街区2035年度、南街区2030年度竣工予定)〈東京建物が同再開発準備組に参画〉 東京駅日本橋口に近い日本橋川沿いエリアに開発される大規模施設。北街区と南街区からなり合計延床面積は約18万1500㎡。南街区に建つメインタワーは地上45階・地下5階、高さ約235mの超高層オフィスビルとなる。オフィスの他、店舗、宿泊施設、駐車場等が整備される