2024年11月23日

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アトレ亀戸、増床リニューアル 駅ビルの強み発揮

19ショップを集積し、1階を食のフロアに転換した

アトレ亀戸は9月12日、開業45年以来初となる増床リニューアルオープンをした。隣接する建物を取得・増築し、既存棟も改装を実施。増築棟と既存棟との一体感を強めた。1階を全面的に食のフロアに転換し、上層階には郵便局やクリニックなどのサービス店舗を誘致して機能性、利便性を向上。駅立地の強さを前面に打ち出した。店舗数は121にまで増やしている。今回の増床リニューアルによって若い年代層まで取り込み、売上げ(約130億円目標)、来館者数とも3割アップを目指す。

アトレ亀戸は2018年に売上高約100億円を計上し過去最高を達成したが、その後はコロナ禍により減少。しかしコロナ禍であっても商圏人口は増え続け、1km圏で7万人に達している。JR亀戸駅東口のサンストリート亀戸跡地にマンションを併設した複合型商業施設「カメイドクロック」が22年4月に開業したが、「ファミリーを主対象としているカメイドクロックとの競合は少なく、カメイドクロックができたことで駅周辺の居住者が増加している」(アトレ開発企画部課長金子友則氏)。

コロナ禍も沈静化したことから、隣接するビル(LIV亀戸)を取得し、解体・増築工事を進めてきた。それも「同ビルを単体で立ち上げるよりも、アトレ本館と接続し建物を正方形に近づけることで、L字型になっていて回遊しづらい現状を打破できると判断。アトレ本館も一部閉鎖して、物販を展開している1~6階までの増築棟とアトレ本館を接続した」(金子課長)。

増築棟の規模は地上8階建て、延床面積約2697㎡、店舗面積約1790㎡。全体の延床面積は約3万6000㎡(増床前約3万3100㎡)となった。店舗数は新規が20、リニューアルが29で、合わせて49店舗が一新。合計店舗数は121となった。

今回の増床リニューアルの大きなポイントは、①1階を全面改装して食のフロアにしたこと②隣接エリアの錦糸町にあって、亀戸に欠落している専門店を取り込んだこと③サービス関連を導入し、駅ビル立地として強みとしている機能性、利便性を向上させたこと――の3点がある。

①は、1階は前まで化粧品やバッグなど服飾の店舗があったが、19の食のショップを配置した。新規に加わったのが「一風堂」(ラーメン)、「カフェ 山と海と太陽」(カフェ・ファストフード)、「ぎんざ空也 空いろ」(和菓子)、「丸亀製麺」(うどん)、「カルディコーヒーファーム」(コーヒー豆・輸入食品)、「ゴンチャ」(ティーカフェ)、「スープストックトーキョー」(レストラン・カフェ)、「ミニワン/松蔵ポテト」(ベーカリー・スイーツ)、「ラ・メゾン アンソレイユターブル パティスリー」(洋菓子・ケーキ)の9店舗。リニューアル店舗も「ゴディバ」、「ビアードパパ」、「シェ・リュイ」など10店舗に上っている。

フロアの中央部にスイーツエリアを配し、増築部分となるバスロータリー側にはシェ・リュイ、スープストックトーキョー、「やなか珈琲」などのカフェ・ベーカリーを集積。コンコース沿いには、ぎんざ空也 空いろのような手土産需要に対応した店舗と、ゴンチャ、カフェ 山と海と太陽などのカフェや飲食店を配置した。

②については、一駅離れた錦糸町までわざわざ出ていく顧客がみられたことを踏まえ、亀戸に欠落していたショップを取り込み、加えて50代、60代以上の主要顧客に比べて集客が弱かった30代、40代層の取り込みを狙い、女性1人でも気兼ねなく入れてクイックに利用できる飲食店を導入した。1階食のフロアにオープンした一風堂、山と海と太陽、丸亀製麺、スープストックトーキョーなどである。また、30代、40代の取り込みに向けて“ちょっと贅沢な上質感ある日常”を打ち出し、2階に「AKOMEYA TOKYO」(食物販・生活雑貨)と「グレディブリリアン」(レディスファッション)、4階に「coca」(ファッション)などを誘致している。

2階に新規オープンしたレディスセレクトショップ「グレディブリリアン」

③の機能性、利便性を強化して駅立地の強みを出すため、サービス店舗を導入した。5階に「三井住友銀行」と「亀戸駅前郵便局」を、7階に「Welljule Clinic亀戸駅前院」(美容皮膚科・皮膚科)、8階に「CLINIC UP亀戸駅前院」(内科・内視鏡センター・小児科・皮膚科)がオープンしている。

(塚井明彦)