丸広百貨店の「ご当地フェア」に川徳が初参加、藤崎と3社で地域の名産品を販売
丸広百貨店川越店で25日、「宮城・岩手ご当地フェア」が始まった。丸広百貨店、藤崎、川徳の3百貨店が協業。藤崎と川徳がセレクトした宮城県や岩手県の名産品が並び、開店直後からメイン会場の「エンジョイスペース 1」は活況を呈した。岩手県の三本木工芸の「山葡萄かごバッグ」(29万1500円)がわずか数分で売れ、同じく岩手県でブランド豚「白金豚(はっきんとん)」を扱う高源精麦の菊池敬之食販部工場長が「午前中で売り切れてしまうかもしれない」と嬉しい悲鳴を上げるなど、とりわけ「ご当地フェア」では初登場の岩手県の名産品に対する関心の強さが目立った。
丸広百貨店は地方百貨店と組み、それぞれの地域の名産品を店舗とインターネット通販で相互に販売する「相互OMO」を2022年から推進。これまでに藤崎や天満屋、福屋、遠鉄百貨店らと、ご当地フェアを開いてきた。今回は新たに川徳が加わるとともに、初めて3社で協業した。
川徳の畠山勇営業戦略営業企画・管理マネージャーは「(川徳が)経営再建中の身で、既存の取り組みだけでは難しい。率直に良い取り組みだと思う。藤崎とは同じ東北地方の百貨店で、相乗効果があるのではないか。岩手県の名産品は当社が選定しており、一般的な『東北物産展』とは違った中身、テイストになる。バイヤーや担当者の想いも反映できる」と喜んだ。
実際、百貨店同士の協業は新たな価値を生み出す。高源精麦は丸広百貨店が20年以上に亘り東北物産展などへの出店を依頼し、全て断られてきたが、川徳の口添えで埼玉県内での催事に初登場。まさに“違った中身”だ。埼玉県は総務省の調査で豚肉の消費量が毎年上位に入るが、それだけに客の関心が強いのか、高源精麦では「白金豚バラしゃぶ」や白金豚の加工品などが次々に売れていった。
ご当地フェアでは通常、食品の売上げが約9割を占めるが、川徳が編集した岩手県の工芸品は好スタート。開店直後に約30万円の山葡萄かごバッグが売れ、及源鋳造の約3万円の鉄瓶を買い求める客もいた。
一方、通算3度目のご当地フェアとなる藤崎は過去の売れ筋を基に品揃えを修正。売上げの“2トップ”を誇る菓匠三全の「萩の月」や白謙かまぼこ店の「極上笹かまぼこ」をはじめ、客の支持が厚い商品は残しつつ、byJAPANが手掛ける海苔とナッツのおつまみ「BARATZ(バラッツ)」、ふじや千舟の「支倉焼」などを加えて新しさも打ち出した。
藤崎の三浦佳恵営業三部シニアマネージャー兼プランニング担当チームマネージャーは「ご当地フェアを川徳と一緒に開けたのは良い。点でなく面で東北地方を紹介できる。(会場の面積は広がっていないため)2社で運営すると、1社ずつの面積は減るが、接客などの効率は上がる」と変化による上積みに期待を寄せた。
初日の売上げは目標および前年をクリア(速報値)。前年は「宮城ご当地フェア」(9月27日~10月3日)との比較で、藤崎の単独から藤崎と川徳の2社に変わった結果、1社当たりの面積は縮んだものの、トータルの売上げは伸長した。
宮城・岩手ご当地フェアは10月1日までで、丸広百貨店は今後も地方百貨店との協業の輪を広げていく方針だ。
(野間智朗)