2024年11月21日

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ミキハウス、高付加価値へまい進 最高級ラインが好調

商品の品質、販売環境共に最高級の水準を追求する(写真は輪島塗のお食い初めセット)

ミキハウスが、高付加価値の提供にまい進している。商品では最高級ライン「ミキハウス ゴールドレーベル」(以下、ゴールドレーベル)の拡販を続け、販売開始から2年が経った今も売上げは好調に推移している。稀少な素材を贅沢に使用し徹底的に高品質にこだわった商品や、日本の長い歴史の中で受け継がれてきた伝統・文化が生み出す職人の技術や知恵の詰まった商品を展開しており、2025年春には多くの職人が集まる能登半島で生産した、輪島塗のお食い初めセットなどが登場する。店舗も高級感のある環境の創出を強化し、ミキハウスだからできるものづくり、サービスの展開を続けている。

日本製にこだわる「ゴールドレーベル」がファン層を獲得

ゴールドレーベルは、創業当時から変わらない「子供のことを第一に考えたものづくり」を大切にしながら、世界的にも稀少で高品質な素材を使用。良いものを求める客のニーズに応えられる「本物」を感じられる商品づくりに注力している。

22年秋にスタートして以降、店舗だけでなく百貨店外商の持ち回り、顧客向けの特別招待会などを通じて拡販。売上げは順調に伸びており、稀少な素材を使うため生産数にも限りがある中、生産が追い付かない程、世界中の多くの人に選ばれている。

1点あたりの価格は数万~数百万円するが、好調な要因は「実際に商品を触っていただければ、品質の良さをご理解いただけるため」と担当者は話す。例えば、人気の高い「海島綿」はしっとりした肌触りの良さに加えて、放湿性や吸水性に優れ、耐久性もあり、実際に商品に触れ大人用も購入するケースが多い。現在は2人目の子供が生まれるなどで、リピート購入する客も増えており、着実にファン層を形成している。

今年の秋冬商品として展開している「ビキューナ×ベビーカシミヤ」シリーズはセーターが88万円(税抜き、以下同)、マントが150万円という高価格帯だが、空間を広く使った高級感のある展開方法や売場環境の改善がサービス向上に繋がり、販売開始から約1カ月ですでに注文や問い合わせが来ている。

職人の技が光る、繊細な刺繍が施されたシルク100%の「セレモニードレス」

来春夏シーズンは、優れた技術を持った職人が集まる能登地方で生産した輪島塗のお食い初め食器セットや、レースを使ったフォーマルウエアなどを発売する。

輪島塗は124もの工程を経て完成する分業制が特徴で、「お食い初めセット」(200万円)もその手法で製造されている。年数が経つにつれて木が乾燥して強度が増し、漆の色合いも変化するため、子供の成長とともに長く使用できる。

また、繊細さが必要とされるシルク100%でつくられたレースも輪島塗と同様に多くの職人の手で成り立っており、時間をかけ丁寧につくられた稀少価値の高い逸品となっている。

商品価値に見合った展開方法へ見直しを図るスキンケアシリーズ

同社は今後、商品の見せ方も強化を進める。アパレル以外で注力しているスキンケアシリーズはこれまで、ほかの商品に埋もれてしまい、商品そのものがなかなか周知されていなかった。そのような経緯から、売場のレイアウトや面積などの課題があるが、商品の魅力を引き出せるよう専用の什器や照明にもこだわり、ヒット商品として育てていく予定だ。

高級感あふれる店構えへ

商品の良質化と並行して、店装のリニューアルも進めている(写真は成都IFS店)

こうした高付加価値の追求はサービス面でも進めている。同社は海外に約100店舗を構えており、その多くは代理商による運営だが、最近は店長経験のある社員を派遣し、ディスプレイや展開方法などを指導している。世界規模でミキハウスをブランディングする上で、どこでも同じクオリティのサービスが受けられるよう均一化を図る。

店装や店の広さについても、空間を広々と使った高級感のあるショップへと移行している。近年、海外の店舗では新規出店や、改装のタイミングを迎えたショップなどで、大きな壁面で囲われた、ディスプレイウインドウのある店舗へと順次切り替えを進めている。まだ未実施だが、より客1人ひとりに寄り添ったパーソナルな接客をするため、店内への入場制限を設けることも検討している。

国内では昨年に東武百貨店池袋本店、阪急うめだ本店などのショップを拡大リニューアルしたが、さらに大型ショップを増やしていきたい考え。より商品の価値にふさわしい空間を創出することで、世界観や付加価値を打ち出していく方針だ。