2024年11月10日

パスワード

購読会員記事

コーセー、初のインナービューティーブランド

世界的に注目される「酵母プロテイン」や森永製菓の「パセノール」を採用するなど、配合する成分は厳選した

コーセーはウェルビーイングに照準を合わせた新しいブランド「ニューリズム」を立ち上げ、美しく健やかな毎日をサポートするプロテイン「イースト プロテイン アソートセット」(1品目1品種、ノープリントプライス)を9月20日に発売する。世界的に注目される「酵母プロテイン」を主原料に、森永製菓の健康素材「パセノール」などを配合した。メインターゲットは美容や健康に強い関心を持つ20~30代の女性で、オフィスをはじめ自宅、休日の外出先などでの使用を想定する。まずは直営店やインターネット通販サイト「メゾンコーセー」で取り扱う。同社にとって、いわゆる「インナービューティーブランド」は初となる。

コーセーは、2017年に社内ベンチャー制度「Link」を発足させており、ニューリズムも一般社団法人日本プロテイン協会が認定する「プロテインマイスター」の資格を有する経営企画部経営戦略室事業開発課の菅井蔵氏が「まだまだプロテインの情報は世の中に少ない。(肉体改造だけでなく)美容にも良いと1人でも多く知ってもらいたい」と起案した。

開発に際しては、菅井氏が自ら表参道で約100人にアンケート調査を実施。プロテインを継続して利用する女性が少ない理由を①効果を実感できない②どこの、何の情報を信じていいか分からない③パッケージがオシャレではない――などと分析し、それらの解消を目指した。①については、水に溶けやすい酵母プロテインを用いたり、1回分ごとの個包装にしたり、フレーバーを選べるようにしたり工夫を凝らした。②は女性が求める成分を採用し、商品紹介も詳細化。③はパッケージからプロテインを入れるボトルまでデザイン性を追求した。

酵母プロテインを主原料に選んだのは、栄養価が高いだけでなく、市販のプロテインの主流であるホエイ由来やソイ由来に比べて製造時の環境負荷が低いからだ。日本での認知度は低いものの、海外では「サステナブルなプロテイン」として注目を集める。

さらに、森永製菓のパセノールを使用。菅井氏は「様々な美容成分を検討したが、健康にも美容にも良く、目を付けた。(森永製菓が研究を重ねて生み出しただけに)安心して使えるのもポイント。脂肪燃焼促進、肌の潤いや弾力を守るなどのメリットもある」と話す。

20日に販売を開始するのは、14包のセット。「リッチ ココア」と「コーンスープ」が4包、「ほうじ茶 ラテ」と「パッションフルーツ」が3包で、150~180mLの水に溶いて飲む。コーンスープは同量の80~90度の湯で溶く。4種類のフレーバーは社内でのアンケートやテイスティングを踏まえて厳選した。フレーバーの追加やアソート以外の販売方法も検討中だ。ノープリントプライスだが、参考価格は5980円。

発売後は直営店での試飲などを通じ、購買意欲を喚起する。軌道に乗れば、プロテイン以外にもラインナップを広げていく。原谷美典取締役経営企画部長は「当社が手掛けるプロテインを『面白い』と思ってもらいたい。今後も“コーセーらしさ”をポイントに化粧品から医療、ウェルビーイングへと領域を拡大していく」と意気込み、田中健一経営企画部経営戦略室長は「化粧品に軸足を置きつつ提供価値を拡張し、新たな顧客づくりにつなげる」と狙いを明かした。

(野間智朗)