2024年11月22日

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森ビル、子供向けワークショップを開催 地球に優しい未来を考える

8月2日にセブン-イレブン・ジャパン協力による「人と地球に優しい未来のコンビニ」のワークショップを行った

森ビルが、次世代を担う子供達に学びの場を提供する「ヒルズ・ワークショップ フォー・キッズ2024」を開講した。今夏は六本木ヒルズと虎ノ門ヒルズに、麻布台ヒルズが加わり、3ヒルズ併せて開催したワークショップ数は過去最多となる91種、約300講座に上った。

今回は数ある講座の中から第1弾として、虎ノ門ヒルズで大企業の新規事業部門が集うインキュベーションセンター「ARCH Toranomon Hills」(以下、ARCH)が主催する「新規事業創出に挑戦!困りごとを解決する新しいサービスや商品を生み出そう!」のうち、8月2日に開催されたセブン-イレブン・ジャパン協力による「人と地球に優しい未来のコンビニ」のワークショップを取り上げる。


セブン-イレブン・ジャパンによる「人と地球に優しい未来のコンビニ」のワークショップが虎ノ門ヒルズビジネスタワー4階の「ARCH」で始まった。参加した小学生は16人(小学校4~6年生)で、時間は2時間。16人の小学生が4つの班に分かれ、まずは自分にニックネームをつけ、好きなコンビニ商品を挙げる自己紹介があり、セブン-イレブン・ジャパンからコンビニについての話とセブン-イレブンクイズの後、ワークショップがスタートした。

ワークショップのスケジュールは、各班ごとにテーマを設定。テーマから連想した未来を考え、未来の生活がどう変わるのか、生活するのに何が必要になるのか、コンビニにあったらいいなと思うものを導き出し、全員で考えたアイデアをまとめ上げ、ワークシートを完成させる。各自思いついたことを付箋に書き出し、ワークシートに貼っていくかたちで進められる。

2班メンバーの発表の様子

設定されたテーマは、1班が「人が150歳まで生きられるようになったら」、2班が「車がすべて自動運転になったら」、3班が「夏の平均気温が45℃になったら」、4班が「配達がすべてドローンになったら」。まず付箋を使う最初のワークは、「テーマから連想して未来の世界がどうなるのかを考え、思いついたことを書き出す」こと。

次に書き出すのは「テーマから連想した世界の姿から、みんなのくらし・生活がどう変わるのかを考える」こと。「人が150歳まで生きられるようになったら」がテーマの1班からは「ゴミが増え、ゴミ問題が起きる」「友達が多くなる」「いろんなものをコンビニで買えるようにする」「戦争が起きる」「骨折しやすくなる」「いろんな人と出会える機会が増える」などが挙がった。

「車がすべて自動運転になったら」がテーマの2班からは「渋滞が起きなくなる」「電車に乗らなくなる」「車の中で生活できるようになる」「車の中で遊べる」「事故が減ることで警察の出動が減る」「お酒に酔っている人でも乗れる」などが出た。

「夏の平均気温が45℃になったら」がテーマの3班からは、「家でだらだらしてしまう」「暑くて誰も学校へ行けないかも」「外に出なくなる」「世界的にみて人口が減ってしまう」「運動をしたくなくなる」「お金で困る人が多くなる」など。

「配達がすべてドローンになったら」がテーマの4班の場合は「一家族1台ドローンをもつようになる」「地震などの災害時でも配達可能」「給食がドローンで運ばれてくる」「ドローンの道路(専用コース)ができる」「引っ越しの荷物をドローンが全部運んでくれる」「学校で使う教材を家まで運んでくれる」などだ。

3班メンバーの発表の様子

続いて書き出したのは「連想した生活の中で必要になるもの・みんながもっと欲しがるものを考えること」。1班のメンバーは「車椅子が増える」「友達が多くなって疲れちゃう」「分身が欲しくなる」「病気になる人が増え医者がもっと必要になる」「働く人が少なくなってしまうので働くロボット」など。3班からは「パソコンやオンライン会議」「家中を冷房完備に」「電池が減らないスマホ」「暑くても溶けない冷たい食べ物」「太陽の強い陽射しを防ぐ機器」「コンビニへのウォーターサーバーの設置」などが挙がった。

この段階までワークが進むとメンバー間での会話が活発になり、各班にサポートでついたセブン-イレブンのスタッフ陣との話し合いも多くなってきた。

次は「連想したくらし、生活の中でみんなが生きるとして、コンビニにあったらいいなと思うアイデアの付箋に“いいねシール”を貼ること」。1班がいいねシールを貼った付箋は「働く人が少ないから働くためのロボット」や「自分の分身」など。全員が地球に優しい「羽」にこだわった2班が貼ったいいねシールは「100円で買える羽」「CO2を吸ってエネルギーに変える羽」「ナナチキが出てくる羽」「身近に羽が買えるコンビニ」「地球からCO2がなくなるまで飛び続ける羽」など。

3班の場合は「電池が減らない携帯」「溶けない冷たい食べ物」「涼しくなる服」「高速で光合成する植物を育てるキット」など。ドローンをテーマにしてきた4班からは「ドローンの充電器が売っている」「コンビニ弁当にドローンでの配達可のラベルが貼ってある」「ドローンの修理場がついている」「カーシェアのようにドローンが借りられる場所」など。

そして最後の仕事は「あったらいいなとコンビニを掛け合わせて新規事業を導き出すこと」。それを「考えたアイデア」として、班ごとにメンバー全員で発表した。1班が考えたアイデアは「いろいろなものをコンビニで買えるようにする」、2班は「100円の羽」、3班は「CO2すべてがかたまって捨てられるサステナブルゴミ箱」、4班は「モバイルドローンバッテリーをコンビニに設置する」となった。

4班メンバーの発表の様子

発表後、セブン-イレブン・ジャパン企画本部みらい事業創造部新規事業開発副総括マネジャーの大嶋健一氏が講評として、「4つの班とも我々が想像つかないようなアイデアを出し、そこにコンビニを絡めて地球環境を考えてくださいました。本日おそらく皆さんはこのワークショップで初めて出会ったのではないかと思いますが、夏休み中にここで一緒にワークができたことは素晴らしい経験になったのではないかと思っています。我々は本日皆さんから発表いただいた未来におけるコンビニエンスストアのあり方を持ち帰り、お客様から喜ばれるコンビニエンスストアをつくり上げられるように頑張ります。多くの気付きと感動を有難うございました」と述べた。

グローバルビジネスセンターをコンセプトとする虎ノ門ヒルズのビジネスタワーにあるARCHは、大企業の新規事業の創出をミッションとする部門に特化したインキュベーション施設で、大企業約120社、900名の新規事業担当者が集う。ワークショップの主催者である森ビルの八谷祥太氏は「ARCHで子供達に新規事業創出を体感してもらうのが今夏で3回目となる。子供達がここで体感した楽しさやワクワクを大人になっても忘れず、将来新しい事業を創出し、社会を豊かにすることに挑戦するきっかけなってくれれば最良」と語った。

小学生にとって新規事業を創出するワークショップは難しそうに思えたが、八谷氏は「実は新規事業に挑戦して新しいことを考えるのは大人よりも子供の方が得意。なぜなら大人のように『これはできないよ』というハードルがない。今日のセブン-イレブン・ジャパンのワークショップでも、非常に柔軟なアイデアが出ていた。その良い例が『車がすべて自動運転になったら』のテーマに対し、子供達は車には乗りたくないとしてCO2を出さない羽をつくるという全く新しい発想をした」と話す。子供達の声が自分達の業務に役立つことも多いため、企業からもワークショップの人気は高いという。

(塚井明彦)