あべのハルカス近鉄本店、惣菜と菓子の魅力化を加速
あべのハルカス近鉄本店が6~7月に改装した、ウイング館地下2階の食品売場の区画が好調だ。6月1日に「ニューミュンヘン」が、同26日に「イーション」が、7月3日に「うなぎ屋 ハレルヒ」が、それぞれオープン。いずれも売上げは目標を大きく超えている。10月初旬と来春にはタワー館地下1階の洋菓子売場のリニューアルを計画しており、2023年度(23年3月~24年2月)で売上げの約28%を占める食品の魅力を高め、全体の収益力向上につなげる。
食品の売上げは24年度も堅調だ。客数が新型コロナウイルス禍前の19年度を超えてきており、売上げも7月末までで前年比1%増。けん引役は菓子と惣菜だ。宮本雅弘副店長は「あべのハルカス近鉄本店のグランドオープンに先駆けて営業を始めた菓子売場は約11年が経ち、(ラインナップが)もう旬ではなく、お客様にとっては物足りないかもしれないが、来店の動機に最もなりやすい。儀礼ギフトがシュリンクする一方、手土産の需要は増えており、その受け皿でもある。惣菜も足元住民に向けて、キタやミナミにないモノを順次差し込んでおり、支持は厚い。強みである菓子と惣菜は、改装でより強くしていく」と、現状と方向性を説明する。
まず惣菜を新装し、6月にニューミュンヘンとイーション、7月にハレルヒが登場。「ニューミュンヘンは目標よりかなり良い数字で、限定商品だけでなく店装に青色を採り入れるなど、あべのハルカス近鉄本店用で出てくれたイーションも売上げは目標比で2倍。近鉄百貨店がプロデュースするハレルヒも売上げは目標を上回っており、リピーターも付いてきた。スタンプカードを配布しているが、1カ月で3回も買ってくれたお客様がいる」(宮本氏)と、滑り出しは上々だ。
異彩を放つのはハレルヒだ。百貨店がうなぎ専門店をプロデュースするのは珍しい。うなぎの名産地として知られる浜名湖産を使い、店頭で焼き上げる。タレも研究を重ねて独自につくり上げ、うな重用の米は店頭で炊くなど、全てにこだわり抜いた。皮目はパリッと、中はふんわりした関西風で、価格は「白焼」と「蒲焼」が3780円、うな重が2700~5800円。
実は、別のうなぎ専門店の退去に伴い、自社のプロデュースで穴を埋めた形だ。従前のショップの年商は億単位だったため、それを挽回するのは簡単ではないが、開店から約1カ月半の時点では視界良好。宮本氏は「従前のショップは3年目くらいに売上げが天井に達した。それくらいのスパンは見ている」と、腰を据えて育て上げる意向だ。
惣菜に続き、10月初旬と来春には菓子売場をてこ入れする。10月初旬には洋菓子のブランドが加わり、来春は「もう少し大きく変える」(宮本氏)。菓子売場では不二家と協業した「ペコリシャス」が順調で、他社とのコラボレーションも検討中だ。
(野間智朗)