2024年11月24日

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西武池袋本店、改装中は7階で“デパ地下”営業 地域の需要に応える

催事場にデパ地下ブランドがずらりと並ぶ

西武池袋本店は7階に、和洋菓子や惣菜などを販売する売場「デパナナ」を開いた。現在同店は全館規模の改装工事を行っており、地下1階の食品売場の仮営業売場に当たる。ブランド数は約70で、催事場のスペースに入る。同店の中でも特に利用の多い食品の販売を続けることで、顧客の需要に応える。

デパナナは8月2日にオープン。地下1階の食品売場が7月末で閉じ、改装工事に入ったのを受け移転した。なお、地下2階の生鮮食品売場「生鮮倶楽部」は現在(8月20日時点)も営業している。同店の全館改装は来年から順次オープンを予定しており、新たな食品売場のオープンまで7階での営業を予定する。

7階での営業を続けるのは「当店はターミナル駅直結の立地で、近隣にはスーパーが少ないため、地域の食品売場として長年利用していただいてきた。店舗の改装は半年以上掛かるため、その間もニーズに応えたい」と販売促進部売出計画担当担当課長の石井朋史氏は説明する。ギフトや手土産といったデパ地下が得意とするジャンルに加え、オフィスワーカーや駅の乗降客などによるデイリーユースも多いという。

昼はオフィスワーカーが弁当を買いに来ることも多く、しっかりと揃える

そのためカテゴリーは和洋菓子、惣菜、パンなどバランスよく揃え、ギフトや手土産向けの箱物、生菓子、弁当、量り売りの惣菜など満遍なく網羅した。ただ、地下1階では約200ブランドを扱っていたため、ブランド数は約3分の1に縮小したことになる。各ブランドに割り当てられたスペースも手狭なため、人気の高い商品を厳選して置いている。

集客のハードルとなるのが、池袋駅構内と直結していた地下1階と比べてアクセスが悪くなったことだ。さらに現在は改装で多くの売場が閉じているため、デパナナという存在や、アクセス方法の認知度拡大が肝要となってくる。これは「まず売場名をデパナナというキャッチーで分かりやすいものにすることで、7階で食品売場を営業しているということを知っていただく」と石井氏は語る。

池袋駅構内にも広告を出し、来店を促進する

さらに、ホームページや売場のシャッターなどで告知。池袋駅構内の柱の広告やデジタルサイネージでもPRし、存在を浸透させている。「現在どこの売場が営業していて、どこから行けるのか店内が複雑な状況になっている。お客様にとって分かりやすいシンプルな表現を重視し、試行錯誤を重ねている段階」(石井氏)。客からの問い合わせも多いため、それを参考に最適な表現を模索している。

異例の試みではあったが、2日のオープン以降、デパナナは連日客で賑わっている。「そもそも予想が立てづらかったが、想定より入っている」と石井氏は感触を述べる。客からは「(売場の営業を)やってくれていてよかった」という声も寄せられる。

すぐ近くには東武百貨店池袋本店という競合もある中で、改めて同店の需要の高さ、支持の根強さを立証した格好だ。今後は部分的な改装や歳時記に応じたフェアなども予定し、売場の魅力と利便性を高めていく。

(都築いづみ)