高島屋、24年2月期は純利益が過去最高を更新
高島屋の2024年2月期連結決算は、当期純利益が前期比13.6%増の316億2000万円となり、過去最高を更新した。新型コロナウイルスが「5類」に移行した昨年5月以降、高額消費やインバウンドが好調に推移し、中核の国内百貨店業の営業利益が前期から倍増。好業績をけん引した。
売上高に当たる営業収益は前期比5.1%増の4661億3400万円(収益認識に関する会計基準を適用しない「総額営業収益」は前期比8.0%増の9522億円)、営業利益は同41.3%増の459億3700万円、経常利益は同42.5%増の491億9900万円。営業利益と経常利益も過去最高を更新した。
事業別では、百貨店業の営業収益が前期比5.4%増の3385億2100万円、営業利益が同61.1%増の296億5000万円。国内百貨店は高額消費やインバウンドが勢いを保ち、外出需要などで利益率が高いファッションも伸びた。免税売上高は687億円で、20年2月期の496億円を大幅に上回り、過去最高を記録。23年2月期から推進するコスト構造改革が奏功し、営業利益は前期から倍増した。海外は開店30周年を迎えたシンガポール高島屋が売上高と営業利益を大きく伸ばし、ホーチミン高島屋も増収増益。サイアム高島屋は赤字幅が縮小し、上海高島屋は増収減益だった。
商業開発業の営業収益は前期比9.3%増の519億4800万円、営業利益が同30.0%増の120億4200万円。国内と海外の両方が増収増益だった。国内では京都高島屋S.C.の専門店ゾーン「T8」の開業や立川高島屋S.C.のリニューアルなどを手掛け、海外ではトーシンディベロップメントシンガポールPTE.LTD.が堅調で、ベトナムでも事業基盤の拡大が進む。
金融業の営業収益は前期比1.3%増の174億3700万円、営業利益は同2.1%増の46億900万円。建装業の営業収益は前期比23.2%増の279億4500万円、営業損失が7億3100万円(前期は1600万円の黒字)、その他の事業は営業収益が同13.0%減の302億8100万円、営業利益が同5.1%増の302億8100万円だった。
高島屋の村田善郎社長は24年2月期の業績について「新型コロナウイルスの5類への移行、水際対策の緩和などに加え、円安も寄与した。91年2月期以来の最高益だが、25年2月期に本当の力が試される。もう1度引き締め直して、お客様の信頼に応えていく。一方で、コスト構造改革が着実に進み、トップラインが上がった時に利益が出やすい。筋肉質になってきた」と総括した。
25年2月期の連結業績予想は、営業収益が前期比6.6%増の4970億円(収益認識に関する会計基準を適用しない「総額営業収益」は前期比4.8%増の9980億円)、営業利益が同8.8%増の500億円、経常利益が同7.7%増の530億円、当期純利益が同7.5%増の340億円。営業利益、経常利益、当期純利益の全てで過去最高の更新を目指す。
(野間智朗)