2024年3月 大手百貨店4社売上高
美術・宝飾・貴金属、化粧品の増勢が継続。インバウンドも好調
大手百貨店4社の3月売上高はいずれもプラスで、阪急阪神百貨店が19.9%増、高島屋が16.8%増、大丸松坂屋百貨店が14.3%増、三越伊勢丹が10.8%増となった。インバウンド需要も大きいラグジュアリーブランドの宝飾や時計などの高額品、化粧品が堅調だった。
高島屋(国内百貨店子会社含む)の売上高前年比は16.8%増となり、前月(10.6%増)を上回る伸び率となった。店頭に限ると20.0%増で、2019年比では14.6%増。免税を除いた店頭売上高は19年比8.4%増まで回復した。店舗別では13店舗のうち12店舗が増収で、大阪(36.2%増)、京都(27.6%増)、日本橋(23.6%増)、玉川店(20.6%増)の大型店がけん引した。またグループ百貨店の高崎(10.4%増)、岐阜(7.7%増)も増収だった。
主要5品目はすべてプラスで、身のまわり品(36.1%増)、雑貨(34.0%増)、衣料品(10.9%増)が2桁伸長を遂げた。品目別では美術・宝飾・貴金属(58.5%増)が前年を大きく超え、化粧品(31.2%増)、家具(30.0%増)も高伸。子供服・洋品(24.9%増)、婦人服・洋品(10.7%増)も2桁の伸びを示した。対国内客ではスカーフなどの春物雑貨やオケージョン対応の衣料品が堅調に推移した。インバウンドは、ラグジュアリーブランドを中心とする高額品が売上げを伸ばし、単月として過去最高額を更新した。
法人事業は大口受注の反動もあり18.4%減で、クロスメディア事業は売上高の計上方法変更の影響により21.3%減となった。
三越伊勢丹(国内グループ百貨店含む)の売上高前年比は10.8%増となり、15カ月連続でプラスとなった。首都圏5店舗は14.0%増で、前月と同様に三越銀座店(25.8%増)、伊勢丹新宿本店(15.9%増)、三越日本橋本店(9.0%増)の基幹店がけん引した。
主要5品目は家庭用品(3.8%減)を除いた4品目がプラス。雑貨(24.0%増)、身の回り品(21.0%増)が2桁増となり、衣料品(5.2%増)、食料品(1.4%増)も健闘した。カテゴリーではハンドバッグ、宝飾・時計、化粧品などが引き続き伸長した。ラグジュアリーブランドやデザイナーズブランドを中心に春夏物の新作に動きがあり、オケージョンニーズも見られた。食品ではギフトや手土産需要などで洋菓子、和菓子が好調だった。インバウンドは春節があった前月を超え、単月で最高額となった23年12月に次ぐ高水準を記録した。
大丸松坂屋百貨店(関係百貨店含む)の総額売上高は前年比14.3%増で、15カ月連続でプラスとなった。関係百貨店を除いた店計は14.4%増、入店客数の前年比も7.7%増だった。店舗別では心斎橋(42.7%増)、博多大丸(20.6%増)、京都(20.7%増)、札幌(18.4%増)が好成績だった。
商品別では主要5品目のうち、家庭用品(1.2%減)を除いた4品目がプラスで、雑貨(24.9%増)が好調だった。インバウンド需要の増加も寄与し、化粧品(38.8%増)、美術・宝飾・貴金属(17.8%増)が高伸長した。衣料品(18.2%増)も2桁の伸びを示した。婦人服・洋品(21.8%増)は、中旬までの気温低下に伴い春物衣料品の動きがやや鈍かったものの、ラグジュアリーブランドが売上げをけん引した。
阪急阪神百貨店の売上高前年比は19.9%増で、20カ月連続の増収となった。阪急本店(30.0%増)は好調が続く。支店も、前月(15.5%増)に続き増収(11.4%増)で、阪神・御影(25.7%増)、博多阪急(24.4%増)、神戸阪急(15.4%増)、阪急メンズ東京(14.2%増)が2桁増を遂げた。阪神・にしのみや(16.7%減)、大井食品館(3.5%減)、川西阪急(1.5%減)、都筑阪急(0.7%減)を除く全ての店舗がプラスとなった。
商品別では主要5品目は全てプラス。身の回り品(37.6%増)、雑貨(32.8%増)、家庭用品(32.1%増)は引き続き高い伸び率を維持した。