アルビオン、23年12月期は増収2桁の営業増益
アルビオンの2023年12月期連結決算は、営業利益が前の期に比べて15.0%増の39億700万円だった。「イグニス」や「エレガンス」の動きが良く、店頭消化実績は上期に同4.8%増、下期に同13.0%増を記録。こうした国内販売の堅調に加え、販管費の抑制も奏功した。純利益は同6.4%増の30億9700万円。
売上高は前期比3.7%増の542億9800万円。部門別では営業本部が同8.3%増、国際事業本部が同10.4%減(うち国内は同8.2%減)だった。営業本部では「インフィオレ」を含む「アルビオン」が同1.5%減と苦戦したが、イグニスは同7.1%増、エレガンスは同30.1%と伸ばして全体を押し上げた。販路別では専門店が同2.2%増、百貨店が同17.9%増。専門店では「アルビオン フィロソフィ」に勢いがあり、坂本一裕業態開発事業部部長によれば「オープンから約3年半で売上高が1億5000万円を突破した」という。百貨店は平均客単価が同0.6%減だったものの、総購買客数が同18.6%増と伸びた。
商品カテゴリー別の売上げでは、構成比が52.2%に上るスキンケアは同3.9%減と振るわなかったが、同じく38.5%のベースメイクは同30.0%増、同じく6.0%のポイントメイクは同9.9%増とプラス。ベースメイクは過去最高の売上高だった。
国際事業本部では「アナスイ」が同32.5%増(国内は同32.7%増)と好調だったが、「ポール&ジョー」が同16.8%減、「アルビオン/エレガンス」が同9.2%減と不振。合計では前期を下回った。小林勇介専務取締役国際本部本部長は「アナスイは新商品が好調。ポール&ジョーはプライマー(化粧下地)が上期に苦戦し、アルビオンは韓国や中国が大幅なマイナスだった」と総括した。
アルビオンは3月5日にオンライン配信形式で23年12月期の業績を発表したが、小林章一社長は「20年12月期は新型コロナウイルス禍で会員(顧客)が1割減り、初の営業赤字(16億円)を喫した。21年12月期~23年12月期でも会員を取り戻せておらず、販管費を大幅に削減し、美容部員も20年12月期に比べて400人少ない状態だ。埼玉県熊谷市の工場も19年12月期の450人に対して360人にとどまる。厳しい、苦しい時期を過ごしており、インバウンドなどを除けば今も年間で数億円の赤字だ」と説明。その上で、復活に向けて「壊す」と宣言した。
続けて「昨年11月に麻布台ヒルズがオープンしたが、恐らく開発に20~30年はかかっているはずだ。本当に良いものをつくるためには、長い時間がかかる。高級化粧品の商品開発では、過去の成功を壊すことが大事。市場にないもの、業界の常識ではできないとされるものをつくる。他社が真似したくなる、アルビオンにしかできない、アルビオンだからできるものづくりを目指す」と真意を述べた。
24年12月期は、ロングセラーの化粧水「スキンコンディショナー」が50周年を迎える。その新商品や限定品を発売したり、記念のロゴやキャラクターを打ち出したり、イベントを開いたりするほか、「アンフィネス」や「エクシア」、イグニス、エレガンスなどのブランドでも新商品を積極的に投入。百貨店などに構える「アルビオンコーナー」のリニューアルも推し進める。1年間を通じて攻勢を強め、コロナ禍で陥った苦境からの“完全復活”を果たす。
(野間智朗)