2024年11月23日

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【連載】富裕層ビジネスの世界 豊洲を席巻!湾岸タワマンに「中国ニューリッチ」増殖

中国を脱出してきた富裕層が、東京湾を囲む湾岸エリアのタワーマンションで存在感を増している。

「そうしたニューリッチが多いエリアは東京・江東区の有明、豊洲、中央区の晴海、品川区の品川、港区の芝浦、港南などです」。自身も有明のタワマンに住む中国人不動産コンサルタントは、中国人が多く住むタワマンがあるエリアを名指しする。

東京都のデータで都内23区の在留中国人の人数をチェックすると、トップは有明・豊洲がある江東区だ。2018~23年の5年間で東京区部の中国人数は14.8%増だったが、江東区は17.9%増と伸び率も高い。タワマンが多い中央区、品川区、港区では揃って20%以上、文京区、中央区、千代田区は5割以上の伸びを示しており、東京では特に都心部で中国人の増加ぶりが鮮明だ。

  • 豊洲エリアが大人気

今、中国人に人気なのが江東区の豊洲エリア。中でも人気のあるのが「ブランズタワー豊洲」だ。地下1階~地上48階、総戸数1152戸。21年にできたばかりで、豊洲駅から歩いて4分と好立地。敷地内の外周は木々が生い茂り、心地良い空間を形成している。屋内は重厚なつくりで、廊下などは高級ホテルと見紛うほどの意匠を凝らしている。

4階のコモンスペースも立派だ。巨大なエントランスホールが広がり、壁には大理石や御影石が使われている。ビリヤードのあるレクリエーションルームや、作業ができるコワーキングルーム、さらには、フィットネスルームにパーティールームと至れり尽くせりだ。

事情に詳しい中国人男性によると、ここを選ぶ中国人は主に2種類に分けられる。第1にカップルの両方が日本または外資の大手企業で働いているパターン。そして2番目が自分で会社を経営しているパターンだ。中国人住民の主な年齢層は30代後半〜40代前半だそうだ。そのほとんどがここ数年で日本にやってきた「新移民」である。その中にはすでに永住権を取った人もいるという。

  • 北京より4割安い

そもそも、中国人ニューリッチはなぜ湾岸エリアを選ぶのか。最大の要因はコスパの良さだ。日本人不動産業者は「タワマンがまとまって建っているエリアは他にも港区の港南や芝浦などがありますが、同じグレードで安く住めるのが豊洲」と解説する。

また豊洲周辺のタワマンには、東京タワー、東京スカイツリー、レインボーブリッジなどを眺望できる部屋もある。これは中国人からすると間違いなくプラス材料だ。「中国人は広い所が好きだし、新しい環境が好きです」と前述の中国人男性は語る。

豊洲地区のタワマンは目の前が開けているのが特徴で、これは確かに都心部では珍しい。港区のタワマンと比べ、豊洲周辺には建物が密集していないので、窓の外の景色が開けているのだ。また、都内の他のエリアに比べて豊洲は道が格段に広い。北京の街並みを思い出させるほどだ。

中国の大都市では高層マンションに住むことが一般的なので、日本でもタワマンに住みたがる新移民がいることは自然なことだ。また中国人は新築を好む傾向が強い。ブランズタワー豊洲は中国人富裕層の海外脱出が本格化してきた21年後半に竣工したというタイミングも、人気の理由かもしれない。

前述の中国人男性は、「北京と比べるとコスパがいいです。北京で同じ地理的条件で同クラスのマンションを買うには1㎡10万元(約200万円)は必要です」と言う。ブランズタワー豊洲の売り出し価格が1㎡約120万円程度とされるので、単純計算で4割ほど安くなる計算だ。

  • 教育を重視する中国人にもってこい

ただ市場低迷の一因は、業界の自業自得と言えるかもしれない。というのも需要が急増し、インフレの急加速がコストを押し上げると、業界は「チャンス」とばかり値上げに飛びついた。ポンド安やユーロ安を補うという狙いもあった。

豊洲では日中、自転車で子どもを連れたママが行き来している。週末になると、付近にあるベイフロントの公園は子供連れでごった返す。都心近くでこれほど多くの子供を見ることはまずないと感じるほどだ。

「中学受験の4大塾(SAPIX、日能研、四谷大塚、早稲田アカデミー)の教室が全部このエリアには揃っています」。前出の中国人男性が解説してくれた。教育を格別に重視する中国人新移民にとってはもってこいである。

こうしてみると、中国人ニューリッチが豊洲エリアを中心とする湾岸のタワマンを選ぶのは必然に思える。そして、それは日中の都市生活者のライフスタイルが驚くほどに似通ってきたことの結果とも言えそうだ。

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