コーセー、「薬用 雪肌精」を初めてリニューアル
コーセーは、1985年5月16日に発売して以来の累計出荷個数が6700万本を超える化粧水「薬用 雪肌精」を初めて刷新する。約16年間に亘る研究の末に完成した、肌荒れの防止と美白の効能を有する甘草由来有効成分「W-グリチルレチン酸ステアリル」を配合。「薬用雪肌精 ブライトニング エッセンス ローション」の名称で、来年3月1日から全国の雪肌精取扱店やインターネット通販サイト「Maison KOSÉ」などで販売する。
「自信を持って勧められる。100年続くロングセラーにしたい」。12月7日に行われた発表会で、小林俊一社長は力を込めた。24年からグローバル市場に打って出るためのリニューアルでもあるという。コーセーの2代目社長で、父に当たる故小林禮次郎氏が開発に心血を注いだ「高機能商品」の代表格が雪肌精。思い入れは強く、「研究開始時に『歴史を変えるのではないか』と楽しみにしていた」(小林社長)甘草由来有効成分の完成までに約16年間を費やし、満を持して薬用雪肌精を一新した。
新生薬用雪肌精は①研究の進化②処方の進化③効果実感の進化――という「3つの進化」(塩島瞳戦略ブランド事業部クリーンブランド事業室商品企画課ブランドマネージャー)を遂げた。研究の進化としては、美白と肌荒れ防止の効能を持つ甘草由来有効成分を日本で初めて配合。薬用雪肌精が支持されてきた「みずみずしさ」や「浸透感(角層まで)」を踏襲しながら、保湿効果を向上させられたのは処方の進化だ。効果実感の進化は、透明感の進化とうるおいを持続させる効果のアップを指す。
塩島氏は「(薬用雪肌精は)多くの社員がバトンを受け継ぎ、守ってきたが、ようやくパワーアップする時が来た。16年かかったが、超えられるモノができた。国や地域、性別、年齢にとらわれず寄り添える」と自信を示した。
自信の象徴が、甘草由来有効成分のW-グリチルレチン酸ステアリルだ。甘草研究のリーディングカンパニーである丸善製薬との共同研究の末、「メラニンの生成を抑え、しみ・そばかすを防ぐ効能を有する美白有効成分」として厚生労働省の承認を取得した。
コーセー研究所皮膚・薬剤研究室の内山朋弥氏は「当社にとって悲願だった和漢植物由来の有効成分を開発できた」と述懐。長年に亘る肌の透明感や自然科学の研究の賜物という。その上で「しみや乾燥によるくすみが形成される最初の段階を強力にブロックする。12週間の試験によれば、肌が明るくなり、赤みは減少。しみは薄く、目立ちにくくなった。新次元の透明感だ」と薬用雪肌精の特長を強調した。
ただ、商品化までに多くの障壁を乗り越えなければならなかった。W-グリチルレチン酸ステアリルは固形の油で、化粧水に配合するのは難しい。コーセー研究所スキンケア製品研究室の早瀬はるな氏は「とても大きな挑戦だった。ポイントは①安定配合②唯一無二の感触を引き継ぐ③透明感を進化――で、社を挙げての一大プロジェクトだった」と振り返る。
まず、500以上の成分からW-グリチルレチン酸ステアリルを溶かし込める最適なオイルを厳選。次に、油と水が共存する牛乳に着目し、独自のリン脂質カプセル技術を駆使するとともに、高圧乳化処理によってカプセルを微細化させ、薬用雪肌精ならではの感触を引き継がせた。60以上の処方を検討したという。大量生産のハードルも高かったが、400を超える条件を検討して達成した。
薬用雪肌精 ブライトニング エッセンス ローションは200mLと350mLの2種類で、参考小売価格は200mLが3850円、350mLが5940円。
(野間智朗)