2024年11月25日

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アラ商事、生活提案やSDGsを強化

10月10~13日に開いた展示会は、キーワードごとに区分。取引先の担当者の要望を踏まえて案内しやすくした

アラ商事は、ライフスタイル提案やSDGsに対する取り組みを強化する。1年間に2回の展示会などを通じ、従来のアイテム別やブランド別でなく「ファッション」や「ラグジュアリー」「定番&オーダー」「リメイク」「アップサイクル」「ファブリック」「ギフト」といったキーワード別に、主力のネックウエアや雑貨などを取引先に紹介。取引先の要望に合わせた商品を供給する、あるいは取引先に新たな商機の発見を促す。

ネクタイの役割は変化しつつある。一部のビジネスシーンでは依然として重要視されるものの、ファッションの選択肢として捉える人が増加。アラ商事は「これからのネックウエアビジネスを成功させるためには、市場の変化に柔軟に対応し、お客様のニーズを満たす商品とサービスを提供しなければならない。そのための戦略として『ライフスタイルを彩る付加価値提案』を時代性とシーズン性を踏まえ、進めていく」方針だ。

10月10~13日に開いた2024年春夏企画の展示会も、ファッションやラグジュアリーといったキーワードごとに区分。主要販路の百貨店をはじめ、担当者が強化したいキーワードを踏まえてスムーズに案内できるよう工夫した。例えばファッションのゾーンでは、スーツに合わせたネクタイを訴求。特別な織機でつくり上げた通常の1.5倍の密度の経糸を用い、クラシックな装いにアクセントをもたらす硬さのネクタイを打ち出すとともに、ニーズが多いフレッシャーズ向けには逆に柔らかく、色柄で清涼感を出したネクタイや「ジャストフィットタイ」(=常に最適な長さで結べる機能を備えたネクタイ)を提案した。

オリジナルブランドの「アールダム」は、トレンドを踏まえつつ、スーツなどとのコーディネートを重視

また、結婚式やパーティーなど「ハレの日」の需要を見据えた蝶ネクタイやポケットチーフ、春夏のカジュアルニーズを取り込める小ぶりなスカーフ「ティーニー」なども揃えた。

アフターコロナで増加する結婚式やパーティーなど「ハレの日」の需要を見据え、蝶ネクタイやポケットチーフにも注力

ラグジュアリーのゾーンは、国産の最高級ネクタイを揃える「アレサンドロ」や日本の伝統的な柄を施す「エー・アール・エー」がメインで、インバウンドに照準を合わせる。

定番&オーダーのゾーンでは、「アールダム」や「アレサンドロブリティッシュ」、「カスタムオーダー」などをPR。アールダムは定番のジャカードのパターンが多彩で売れ行きが良く、来春夏企画では大剣と小剣のデザイン違いを、アレサンドロブリティッシュはトレンドカラーの「ブルーグリーン」を加え、購買意欲を喚起する。カスタムオーダーは目下、百貨店のイベントやアラ商事のインターネット通販サイトで展開するが、来春から百貨店などでの常設化も視野に入れる。

アップサイクルのゾーンでは、デッドストックのネクタイや生地をペンケース、小物入れ、クッション、カチューシャ、ヘアバンド、パソコンを使う時のリストレストなどに再生。取引先の関心は強く、今後はエコレザーと組み合わせるなど、より長く使ってもらえるように耐久性を上げ、持続可能なビジネスモデルとして確立する。

アップサイクルは社会的な関心事。ネクタイや生地の多彩なアップサイクルをアピールした

ファブリックのゾーンでは、群馬県桐生市に擁するグループ会社、アルファテックスの自社工場の強みを発信。シルク100%の起毛のマフラー「シルクスフレ」は、OEMの売上げが順調に伸びている。新たに取り扱いを始めた再生ポリエステルも、バッグや小物で注文が入った。自社工場だからこそ様々なニーズに応えられ、ネクタイ以外の注文を獲得している。

ファブリックでは、シルク100%の起毛マフラー「シルクスフレ」がOEMでも売上げを順調に伸ばしている

ギフトのゾーンは、代理購買に強いライセンスブランドがメイン。父の日商戦をはじめギフトニーズが多い春夏に向け、ギフトボックスやノベルティとセットでの販売を提案する。「ダックス」や「ポールスチュアート」では、小剣にワンポイントのデザインを施したネクタイの売れ行きが良く、「ピエールカルダン」では有名な「ブラタク糸」を使った商品が好評。「カルバンクライン」のギフトボックスも動いている。

ギフトニーズが多い春夏に向け、ギフトボックスやノベルティとセットでの販売を提案

一般的にメーカーの展示会では、各ブランドのシーズンテーマや型数、価格などを記した資料が配られる。しかし、アラ商事はキーワードごとにブランドを配し、その内容も物づくりのこだわりや狙いなどにフォーカスした。より“心に刺さる”ようにして、新たな商機を開拓する。

(野間智朗)