ナイガイ、タビオと資本業務提携
ナイガイは1日、タビオと資本業務提携した。同日にタビオがナイガイの発行済み株式(自己株式を除く)の9.84%を取得。12月下旬までに追加で0.12%を取得し、合わせて81万5000株を保有するタビオがナイガイの筆頭株主となる予定だ。ナイガイもタビオの発行済み株式(同)の1.47%を取得した。ナイガイの高品質な靴下の企画開発力と、タビオの店舗展開力を相互で補完し、国内のレッグウエア産業全体の発展を目指す。
今回の業務提携について、両社は「国内の靴下生産量の漸減」を背景に挙げる。タビオの代表取締役社長の越智勝寛氏(以下、越智社長)は「低価格帯の靴下が多くなり、小売業界からも安価な商品を求められる。原料が高騰しているが価格交渉ができないという縮図がある」と説明する。
現状、靴下の国内市場は縮小基調にある。日本靴下協会の「靴下需要推移」では、国内販売数量が2010年度と比べて22年度は129億足と4分の3にスケールダウン。一方で海外からの輸入浸透率は、同年比で78%から89%と10%上昇し、国内の生産比率は減少している。国内の靴下の単価についても低下傾向だ。総務省統計局の「小売物価統計調査」による東京都の小売単価の推移では、男性用靴下が同年比で707円から535円、女性用靴下も428円から367円と下がっている。こうした状況と同時に、生産工場の廃業なども多くみられるようになったため、「これにストップを掛けたい。靴下業界を繁栄する業界に戻したい」(越智社長)として、今回の業務提携に至った。
ナイガイの代表取締役社長の今泉賢治氏は「ファッション、機能、健康と、色々な場面で付加価値性の高い、こだわりのある靴下をつくっていこう、という両社の想いは完全に一致している」と、力強く語る。また、以前からの深い親交もタッグを組むことにつながったという。
ナイガイは国内外に生産拠点を保有し、靴下生産における「調達」と「製造」の分野に特に強みを持つ。高い製造技術でライセンスブランドの商品を多数手掛け、百貨店や量販店などBtoBの販売チャネルで展開する。一方のタビオは、国内に多くの直営店とフランチャイズ店舗を持つ。BtoCで展開するタビオのダイレクトマーケティングのノウハウと販売力を補完することで、事業の強化を図る。
業務提携の内容は「靴下ブランド協業型OMO(オンラインとオフラインの融合)事業の開発」「ブランドのクロスセルによる販売強化」「中国製ジャパンクオリティ靴下による中国事業の拡大」「最高級ゴム糸『NDX』の利用・浸透拡大」「原材料統合によるコストダウン」「オフィスの共同利用による効率化」の6つの項目。両社それぞれの企画力、生産力、技術力を提供し合い、さらには同業他社の参入も視野に、「靴下の価値向上」の実現に向けてまい進する。
(中林桂子)