2024年11月24日

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東急、海外ブランドの卸売プラットフォーム「マケプレ」

東急 

商品の現物を確認できるオフラインの展示会も開催する

東急は、海外ファッションブランドのBtoB向けオンライン卸売プラットフォーム「マケプレ(makepre)」を開始する。ターゲットは国内のセレクトショップやECサイトのバイヤー。海外ブランドの仕入れは交渉や輸入手続きのハードルが高いため、同サービスによって海外ブランドと国内バイヤー双方のビジネスチャンスを広げる。実証実験の第1弾として、25日に韓国の約30ブランドの取り扱いを開始した。

同サービスは、東急の社内起業家育成制度の第9号案件に当たる。マケプレのプロジェクトリーダーである東急フューチャー・デザイン・ラボの荒川真梨氏は、入社以降商業施設のテナントリーシングを手掛けており、そこで海外ブランドの誘致がアナログかつ困難だと感じたという。

「ブランドと接点を持つ方法は、サイトやSNSを探す、現地の展示会を周る、詳しい人に紹介してもらうなどなどしかない。誘致のためには飛び込み営業や現地へ赴き交渉するなど、コストも掛かる。それでいて成功するとは限らない」と説明する。より簡単かつ手軽に海外ブランドと取引できる方法を考え、同サービスの企画に至った。

サイトイメージ図

マケプレは、バイヤーが審査と会員登録を経てサイトが利用でき、掲載されている商品の購入ができる。サイトでは各ブランドの世界観やコンセプトを載せ、各商品の最低ロット数や下代などの取引条件なども記載されている。バイヤーが必要数を発注し、ブランド側が受注可否を確認した後、正式受注となる。掲載ブランドはマケプレが日本で流行りそうなブランドに目星を付けて交渉し、ラインナップした。

輸入申告や税関審査といった煩雑な手続きはマケプレが代行する。バイヤー側は商品代金と物流費、関税、消費税などの諸経費を支払う。「ざっくりとしたイメージだが、下代の1.7倍程度をイメージしている」(荒川氏)。

会員登録は無料。料金体系は明瞭にすることで、バイヤーが安心して仕入れできるようにする。マケプレは出品ブランドの売上げの手数料を収益とする。

実証実験の第1弾として、「アナザーエー」「キモウイ」「デイリーミラ」「トリプルルーツ」など、韓国で注目を集めているブランドや、韓国の新興ブランドなどを誘致した。韓国ブランドの出店サポートを韓国の大手企業である新世界百貨店が、貿易輸出のサポートを韓国政府機関である大韓貿易投資振興公社(KOTRA)が行い、韓国のブランドも出品しやすい仕組みにした。

オフラインの展示会も定期的に開催し、バイヤーが現物を確認できる機会を設ける。第1弾は10月25~26日に行い、第2弾は来春頃に開催する。

この事業に取り組むことで、東急グループは3つの価値の創出を目指す。1つ目が、BtoB卸売りという新領域へのチャレンジによる、リテール分野における事業の拡大。2つ目が既存事業との相乗効果で、商品ラインナップや売上げの増大といった波及効果を見込む。3つ目は海外ファッション分野におけるリレーションの役割。東急グループ内の商社的立ち位置を目指し、海外との接点づくりに寄与する。

「ファッションブランドの卸売プラットフォームはすでに有力な存在がいるが、海外ブランドを扱うという点で差異化できる」と荒川氏は勝算を語る。海外ブランドへのヒアリングでは、日本でのポップアップや店頭展開を希望する声もあり、海外ブランドのコンサルティングやブランド開発も構想しているという。

(都築いづみ)