2023年9月 大手百貨店4社売上高
4社全て前年比2桁増、化粧品が秋物コスメで国内外共に好調
大手百貨店4社の9月売上高は、前月に続き各社全て前年比2桁のプラスとなった。伸び率が高い順は阪急阪神百貨店が26.3%増、大丸松坂屋百貨店が17.7%増、三越伊勢丹が16.8%増、高島屋が11.5%増。ラグジュアリーブランドなどの高額品が引き続き好調だったほか、残暑の影響で動きが鈍かった秋物衣料も徐々に売れ行きが良くなってきた。
三越伊勢丹は、法人外商事業やEC事業、小型店舗を含む伊勢丹新宿本店、同じく三越日本橋本店、三越銀座店、伊勢丹立川店、伊勢丹浦和店の合計が20.1%増、地域事業会社の合計が10.7%増、全体は16.8%増と9カ月連続で2桁台に到達した。両本店は外商顧客向けのイベントや外国展が大きく売上げを伸ばす要因となった。ラグジュアリーブランドやデザイナーズブランドを中心に秋物軽衣料やハンドバッグなどへの関心の高さも続いている。
店舗別では、全てプラス。三越銀座店(41.1%増)、伊勢丹新宿店(21.4%増)、三越日本橋本店(14.9%増)は2桁増だった。
商品別では、呉服寝具他(5.3%減)を除いた全てのカテゴリーがプラス。中でも雑貨(20.6%増)のカテゴリーは全ての項目が2桁の伸び率で、特に身の回り品(28.9%増)の伸長が目立った。
大丸松坂屋百貨店は、直営店の合計が19.0%増、法人・本社等が11.9%減、関係百貨店の博多大丸と高知大丸を含めた百貨店事業の合計が17.7%増と9カ月連続で2桁増となった。残暑の影響で秋物衣料の売れ行きは鈍かったが、ラグジュアリーブランドが引き続き好調で大きく売上げを伸ばした。
店舗別では、芦屋店(1.2%減)を除き全てプラス。東京店(26.6%増)、京都店(18.2%増)、梅田店(16.5%増)、札幌店(13.7%増)、神戸店(12.7%増)、上野店(10.3%増)は2桁増だった。中でも心斎橋店は54.4%増と大きな伸びで他店をけん引した。入店客数は百貨店事業合計で22.9%増。
商品別では、その他衣料品(0.3%減)、その他食料品(5.6%減)、その他(7.7%減)、紳士服・洋品(17.3%減)を除いて全てプラス。特に、化粧品はインバウンドや秋物新作コスメが好調に推移したことにより28.7%増と10カ月連続で2桁増だった。紳士服・洋品はジャケットやパンツ、ポロシャツなどが売れていたが、品番移管の影響によりマイナスとなった。身の回り品は(15.9%増)はアクセサリーや旅行用品が勢いを持続。食料品(8.8%増)は菓子が14.0%増、惣菜が10.7%増と共に好調に推移した。
高島屋の4.2%増には法人事業(57.1%減)やクロスメディア事業(24.2%減)が含まれており、それらを除くと3.8%増。国内外共に好調で前年と18年を上回った。19年は消費増税前の駆け込み需要が多く、同年比はマイナス。
店舗別では、泉北店(0.7%減)、大宮店(0.7%減)、堺店(0.8%減)、柏店(35%減)を除いた店舗がプラス。中でも大阪店(28.5%増)、京都店(18.2%増)、新宿店(15.7%増)、日本橋店(14.3%増)は2桁増だった。免税売上高は239.0%増と勢いを増して、コロナ禍前の19年比でも55.3%増、18年比では53.6%増とどちらも大きく上回った。免税を除いた店頭売上高は3.5%増、19年比は20.7%減。店頭売上高は11.5%増、19年比は16.5%減、入店客数は1.1%増だった。
商品別では主要5品目のうち食料品(18.3%減)を除いて全てプラス。身の回り品(17.3%増)、衣料品(12.3%増)、サービス(11.2%増)、その他(10.5%増)は2桁増だった。衣料品では婦人服・洋品(15.3%増)、家庭用品では家電(15.8%増)、雑貨では化粧品(19.9%増)の伸びが目立つ。
阪急阪神百貨店は、阪急うめだ本店が26.1%増、阪神梅田本店が58.3%増、支店の合計が16.3%増、全店合計は26.3%増と14カ月連続で2桁増。入店客数は全店計で24.5%増だった。支店では、大井食品館(1.6%減)、都筑阪急(2.2%減)を除き全てプラス。中でも、宝塚阪急(22.3%増)、阪神・にしのみや(20.3%増)、神戸阪急(15.1%増)、阪神・御影(13.4%増)、阪急メンズ東京(10.7%増)が2桁増で、博多阪急は34.4%増と大きな増収を遂げた。
商品別では、全てのカテゴリーが2桁増。中でも伸び率が高い順は、その他衣料(61.0%増)、身の回り品(46.9%増)、サービス(46.6%増)、食堂・喫茶(33.8%増)、その他(24.0%増)だ。
(北田幹太)