2023年8月 大手百貨店4社売上高
4社全て前年比2桁増、集いの手土産需要で食料品が好調
大手百貨店4社の8月売上高は、全て前年比2桁のプラスとなった。伸び率が高い順は阪急阪神百貨店が23.8%増、大丸松坂屋百貨店が18.6%増、三越伊勢丹が13.1%増、高島屋が12.1%増。引き続きラグジュアリーブランドなどの高額品が活況だったほか、旅行や帰省などの集いの機会の増加から手土産需要が高まり、和洋菓子や惣菜も好調に推移した。
三越伊勢丹は、法人外商事業やEC事業、小型店舗を含む伊勢丹新宿本店、同じく三越日本橋本店、三越銀座店、伊勢丹立川店、伊勢丹浦和店の合計が13.9%増、地域事業会社の合計が11.8%増、全体は13.1%増と8カ月連続で2桁増を記録した。両本店を中心にハンドバッグや財布などが、引き続き好調で売上げをけん引した。ラグジュアリーブランドやデザイナーズブランドを中心に軽衣料やバッグなど秋物も動き出しが良い。
店舗別では、全店プラス。三越銀座店(62.2%増)、伊勢丹立川店(13.5%増)、三越日本橋本店(10.5%増)は2桁増だった。
商品別では、サービス(79.7%減)と家庭用品(3.8%減)を除いた全てのカテゴリーがプラス。大半が2桁の伸び率で、特に食堂・喫茶(35.4%増)、その他雑貨(33.9%増)、化粧品(33.8%増)が目立った。
大丸松坂屋百貨店は、直営店の合計が21.5%増、法人・本社等が35.7%減、関係百貨店の博多大丸と高知大丸を含めた百貨店事業の合計が18.6%増と8カ月連続で2桁増となった。ラグジュアリーブランドが引き続き好調。猛暑の影響からパラソルやサングラスなど日除け対策の商品も売れている中、ニットやブラウス、カットソーなど秋物にも動きが出ている。
店舗別では、下関店(0.4%減)を除き全てプラス。心斎橋店(40.2%増)、東京店(38.3%増)、梅田店(34.1%増)、札幌店(21.4%増)、京都店(19.5%増)、上野店(15.3%増)、神戸店(12.3%増)、名古屋店(11.7%増)は2桁増だった。入店客数は百貨店事業合計で30.5%増。
商品別では、その他衣料品(0.9%減)、紳士服・洋品(3.2%減)、その他(25.5%減)、家電(31.7%減)を除いて全てプラス。中でも食堂・喫茶は人流の回復による利用客の増加が寄与し42.0%増と大幅に伸びた。紳士服・洋品はキャラクターブランドを中心に好調だったが、品番移管の影響によりマイナスとなった。雑貨(26.4%増)は、化粧品がインバウンドやUV関連商品などの好調から43.5%増と9カ月連続で2桁増。食料品(11.7%増)は夏休みの帰省や旅行での手土産需要の増加で菓子(19.9%増)や惣菜(10.5%増)が好調に推移した。
高島屋の7.5%増には法人事業(31.3%減)やクロスメディア事業(27.2%減)が含まれており、それらを除くと7.8%増。新たに全店で設けた休業日や台風の影響で関西店舗の臨時休業が下押ししたものの、免税売上げの押し上げによって前年を上回った。
店舗別では、堺店(3.6%減)を除いた店舗がプラス。中でも大阪店(25.6%増)、新宿店(18.2%増)、京都店(17.5%増)、日本橋店(12.9%増)は2桁増だった。免税売上高は166.8%増と依然として盛り上がり、コロナ禍前の19年比でも39.8%増と大きく上回った。免税を除いた店頭売上高は5.0%増、19年比は3.6%減とコロナ禍前の基準には届かなかった。店頭売上高の19年比は0.3%減で消費増税に伴う駆け込み需要の反動だ。入店客数は2.1%増だった。
商品別では主要5品目のうち食料品(7.9%減)を除いて全てプラス。食堂・喫茶(29.5%増)、身の回り品(15.1%増)、その他(11.5%増)は2桁増だった。衣料品では子供服・洋品(35.0%増)、家庭用品ではその他家庭用品(9.6%増)、雑貨では化粧品(25.4%増)が特に伸びている。
阪急阪神百貨店は、阪急うめだ本店が25.9%増、阪神梅田本店が33.5%増、支店の合計が18.4%増、全店合計は23.8%増と13カ月連続で2桁増。入店客数は全店計で21.4%増でどちらも共に2桁増だった。支店では、阪神・にしのみや(1.8%減)、都筑阪急(3.1%減)を除き全てプラス。中でも、高槻阪急(15.7%増)、宝塚阪急(18.1%増)、阪急メンズ東京(25.4%増)、博多阪急(31.9%増)が2桁増で、神戸阪急は33.8%増と大きな伸びで他店をけん引した。
商品別では、全てのカテゴリーが2桁増のプラス。中でも伸び率が高い順は、身の回り品(46.4%増)、サービス(45.6%増)、その他(38.3%増)、食堂・喫茶(36.1%増)だ。
(北田幹太)