プリンセストラヤ、今秋冬は「自然」や「男女兼用」がカギ
プリンセストラヤの「ダコタ」は今秋冬、「自然」や「男女兼用」をキーワードにバッグ・財布を展開する。今季のコレクションテーマは「Very Natural -とっても自然-」。戦争や災害、円安や物価上昇が消費者心理に影を落とす中、「自然からの癒し」に着目し、動物や植物をモチーフにした商品を用意。加えて、昨今はメンズ・ウィメンズの区分にとらわれないファッションが浸透していることから、男女どちらでも使いやすい商品を揃える。
自然の意匠を色濃く取り入れたシリーズは、「カバロ」、「アーブル」、「ディクラッセ」などがある。今シーズンの目玉となるカバロシリーズは、軽やかに走る馬や馬蹄、星を型押しで表現した。型押しは表からと裏からの2回行うため、柄がくっきりと浮かび上がる。素材は上質なイタリアンレザーを採用した。
型は2wayハンドバッグ、ショルダーバッグ小、ショルダーバッグ大、長財布、2つ折り財布、パスケースの6種類を揃え、価格は8800円~3万800円。8月の発売以降は売上げが好調で、想定以上の数値を示している。客の反応も良く、公式インスタグラムのカバロの投稿は、『いいね!』数がほかの投稿と比べて圧倒的に多い。
この理由について、マーケティング課の岡田卓也氏は「ほかにあまりないキャッチ―さや、ダコタと馬モチーフの親和性の高さが要因では」と分析する。元々「ダコタ」というブランド名はアメリカの昔の州名に由来し、ブランドのスタート当初はウエスタンやレトロなモチーフを多く取り入れていた。長年のファンにとって親しみがあるテイストが、ヒットの秘訣のようだ。
アーブルは、天然木のブローチがアクセントの財布シリーズ(1万9250円~2万4200円)。ブローチは将棋駒の生産で知られる、山形県天童市で製作された。色はオレンジ、ブラウン、グリーン、ネイビーの4色で、それぞれ「夕焼」、「胡桃」、「鶯」、「瑠璃」の色彩を取り入れた。スマートな機能・デザインながらも、植物や空を連想させる色合いや天然木のブローチで、安心感やぬくもりを演出する。
同じく財布を展開するディクラッセシリーズ(1万9800円~2万4200円)は、花やクローバーのモチーフを細やかなパンチングで表現した。ふっくらとした質感とベーシックなデザインで、様々なシーンに対応しやすい。引手金具にブランドロゴが入るなど、細部にまでこだわった。色はピンク、オーク、グリーン、マスタードの4色を揃える。
2つ目のポイントである「男女兼用」は、「多様性に加えて、経済的な観点からカップルや夫婦、親子でバッグをシェアしたい人も多いのでは」(岡田氏)と考え、男女どちらも使いやすいサイズ、デザインの商品を考案した。例えば「パラフィンキャンバス」、「リーチ」は男性をメインターゲットとしたシリーズだが、中~小サイズのバッグは女性の使用も想定している。
とりわけ男女兼用として力を入れるのが、デイリーユース向けの「イオ」シリーズだ。これもメインターゲットは男性だが、2wayトートバッグ(29×34×17センチ)、ショルダーバッグ小(20×26×5センチ)、中(34×26×3センチ)、大(29×33×12センチ)と、全商品が女性でも使いやすいサイズとなっている。価格はショルダーバッグが3万800円~4万9500円、2wayトートバッグが5万3900円。
同社はこうした商品展開と並行して、皮革・革製品のサステナビリティを発信する事業「Thinking Leather Action(TLA)」にも取り組んでいる。TLAは一般社団法人日本皮革産業連合会が主導し、皮革・革製品に対する誤った認識を払拭することを目的とする。
一般的に革製品は食肉加工過程で出る皮を使用しており、革のために動物を殺すことはない。また、皮を活用しないと廃棄や焼却することになり、二酸化炭素が発生する。この事実を知らず、「動物がかわいそう」と考える人も少なくないため、誤解を解き、むしろエコでサステナブルな素材であることを発信していく。
プリンセストラヤではリーフレットを店頭で配布したり、TLAのホームページへリンクを貼ったりなどして啓蒙活動を進めている。「皮革へのネガティブなイメージを変えられるよう、お客様とのタッチポイントで発信していきたい」と岡田氏は力を込める。
(都築いづみ)