2024年11月22日

パスワード

新ベースメイク「アルビオン スタジオ」、望む美しさを素早く簡単に

5品種からなる「アルビオン スタジオ」。プロにスタジオでメイクしてもらったかのような仕上がりを、誰でも堪能できる

アルビオンがベースメイクで新たな挑戦に乗り出した。これまでファンデーションを軸に開発技術を磨き上げてきたが、あえてそれ以外をメインとするシリーズ「アルビオン スタジオ」を8月18日に発売。新型コロナウイルス禍を機に、化粧品市場でファンデーションの売上げが大きく落ち込んだ上、近年はベースメイクの手順や方法が多様化しており、ファンデーションを用いない人も取り込めるように品揃えの幅を広げて客層を拡大する。同社はベースメイクにおいて、単品の個性を際立たせて同業他社と差異化する戦略を採ってきたため、そのシリーズ化も新たな挑戦だ。さらに「アルビオン」の名を冠した意味、役割も重い。発売前のトライアルでは、社員や客の反応は上々。自信を持ってアルビオン スタジオを送り出した。

新型コロナウイルス禍が転機、戦略を練り直し今秋から攻勢

シリーズ化は没個性とイコールではない。一つ一つが特別な商品をアルビオン スタジオの名の下で打ち出した。その背景と狙いを後藤健太商品開発部商品開発グループ課長が説明する。

「ベースメイクは約10年間に亘りスキンケアと切り離し、個性を重視した単独のアイテム群として展開してきた。『小顔(に仕上がる)ファンデーション』、『美容オイルベースのファンデーション』、『パウダレスなファンデーション』などだ。いわゆる『ベストコスメ』を受賞するなど話題を集めてきたが、振り返るとアルビオンはスキンケアのイメージが強く、ベースメイクの認知度は比して低い。集合体としての統一されたイメージがなく、カテゴリーとしての存在感を発揮できていない。2年ほど前から戦略を練り直し、今秋を皮切りに独自の魅力と世界観をまとわせたシリーズを展開していく」

商品開発部商品開発グループの後藤健太課長(右)と原田彩絵子氏

シリーズ化に際しては、ラインナップも見直した。コロナ禍ではファンデーションの落ち込みが大きかったからだ。化粧下地とフェイスパウダーの組み合わせで仕上げる人が増えるなど、ベースメイクの手順や方法が多様化。10年以上前からBBクリームなど多機能クリームの台頭もあり、ファンデーション離れの影響は少しずつ受けていたが、コロナ禍で拍車がかかったという。同社は激変する市場を捉え、「ファンデーションを大事にして技術を磨いてきたが、あえてそれ以外を中心に据えてチャレンジする」(後藤氏)方針を固めた。

そしてその嚆矢が、アルビオン スタジオだ。美容液でありメイクアップベースでありフェイスカラーでもある「リングライト エフェクター」(3850円)、パウダーファンデーション「ビューティアス ファンデーション」(5500円、レフィルは4400円、マット付きケースは1100円)、リキッドタイプのハイライト「ピンキーシマーフォーカス」(3300円)、フェイスパウダー「オパルセント オーラ」(6050円、レフィルは4400円、ブラッシュ付きケースは1650円)、スティック状の部分用ファンデーション「イージータップ」(2色、各3300円)で構成する。アルビオン スタジオの“スタジオ”は、プロにスタジオでメイクしてもらったかのような仕上がりを、誰でも堪能できる簡便性にちなむ。

コンセプトは「Define allure」。直訳は「魅力を際立たせる」だが、ニュアンスでは「それだけで美しさは高まる」。アルビオン スタジオを手掛けた商品開発部商品開発グループの原田彩絵子氏は「使うと簡単に雰囲気を変えられるとともに、5品のそれぞれに魅力を高める効果があるので、全てを使わなくても美しさを一気に高められる。しかも、難しいテクニックは要らない」と特長を強調する。コストパフォーマンスやタイムパフォーマンスが求められる昨今に最適なシリーズだ。

原田氏が「新しいアルビオンのベースメイクの代表に」と期待を寄せるのが、リングライト エフェクター。2種類のパウダーと保湿成分を組み合わせた「モイストライティングヴェール」が肌の影やくすみを瞬時に消し去り、明るく滑らかな美肌を演出する。「補正効果が高く、これ1本でもファンデーションの下にも使える。いわゆる『白塗り感』もなく、むしろ透明感が漂う。変化を感じられるだけでなく、自然な仕上がりで、その案配もポイント。全ての人に勧めたい」と、原田氏は力を込める。

美容液でありメイクアップベースでありフェイスカラーでもある「リングライト エフェクター」。360 度から光を当てることで瞬時に美肌に見せる“リングライト”から着想した

中核を担うのはリングライト エフェクターだが、ファンデーションを軽視するわけではない。ビューティアス ファンデーションには「調光パウダー」を配合。肌にフィットするコーティングを施した、ウニのような形状の微細なパウダーが光の量をコントロールし、塗るだけで陰影を際立たせて肌にメリハリと立体感をもたらす。パウダーファンデーションにこだわってきたアルビオンならではの技術だ。原田氏は「感触と仕上がりは共に今までにないレベル。肌の上を滑らせるだけで、すぐにキレイになる。パウダーファンデーションに対して『粉っぽく、お面のようにのっぺりしてしまう』とネガティブなイメージを抱く人にも好きになってもらえるのではないか」と自負する。

塗るだけで陰影を際立たせて肌にメリハリと立体感をもたらす「ビューティアス ファンデーション」

ピンキーシマーフォーカスは、肌なじみの良いピンク色のベースと、輝きと大きさが異なる3種類のパールが、表情を一瞬で明るい印象に変える。「部分的に使うアイテムだが、プラスオンするだけで顔の印象が華やぐ。こだわりとしては、チップが硬くて細かく、ピンポイントで付けられる。世の中に白色のハイライトが多い中、ベースにピンク色を選んだのもこだわりで、どんな肌色でも浮かずにキレイな質感に整えられ、クマも目立たせずしっかりとカバーできる」(原田氏)。夕方の化粧直しにも便利という。

「ピンキーシマーフォーカス」は、表情を一瞬で明るい印象に変える。夕方の化粧直しにも便利という

オパルセント オーラは、青みを帯びた複雑な色合いの「オパルセントヴェール」が、内側から発光するような明るさと、透き通るように美しくキメ細かい肌へ導く。「びっくりする人もいるくらい青さが印象的だが、肌に付けてみると透明感が上がる。どんな肌色でも、だ。当社では珍しい専用のブラシをセットにしたが、ブラシだからこそバサッと肌に付かない。ブラシは相性を考慮して毛量や形状にこだわった。ブラシを用いると、テクニックレスで使える感動をより感じてもらえる」(原田氏)。リングライト エフェクターに重ねると、さらに効果的という。

「オパルセント オーラ」は、透き通るように美しくキメ細かい肌へ導く

イージータップは、極薄の化粧膜が肌にしっかりと密着し、シミやクマ、ニキビの跡など部分的な悩みから頬の赤みをはじめとする広範囲の悩みまでマルチにカバー。ベースメイクのシリーズではニッチな存在だが、多様なニーズに適う〝万能選手〟だ。

スティック状の部分用ファンデーション「イージータップ」は部分的から広範囲まで様々な悩みをカバーする

「全て使うとフルメイク、チョイスするとライトなメイク―と、幅広いメイクを提案できる。今までよりも、お客様が求める仕上がりに応えられる」。原田氏は胸を張る。過信ではない。完成に至るまでの艱難辛苦と、それを乗り越えてきた日々が背中を押すからだ。例えば、ビューティアス ファンデーション。一般的に新しい化粧品は、まず研究所で作り、次いで工場で大量生産するが、研究所は順調に通過したものの、工場で大苦戦。クオリティが一定しないどころか、形にすらならない時もあった。しかも、原因は不明。一時は発売を断念するかどうかの瀬戸際まで追い込まれた。しかし、何度も何度もサンプルを作り直し、原田さんは肌を酷使して確認を繰り返すなど、研究所、開発担当、工場らが一丸で執念を燃やし、完成にこぎ着けた。「通常は研究所での処方開発に最も時間がかかる。過去にない体験」と原田氏は振り返る。

こうしたバックボーンも、アルビオン スタジオの真価を引き上げた。発売前のトライアルでは、どの商品も社員や客から好評。機能だけでなくデザインも支持されている。「『かわいい』や『オシャレ』、『スタイリッシュ』、『高級感がある』など個々に感じ方が違うが、だからこそ幅広い人に好かれる。『手に取りたくなる』を目指してデザインを出してもらい、60くらいのパターンから厳選した。色も相当な数を試し、赤みのあるグレーでクールになり過ぎないかわいらしさを表現した」(原田氏)。デザインや色も妥協を許さないからこそ、客の心をガッチリと掴む。

「アルビオン スタジオ」は、今後も品揃えを増やしていき、屋台骨となるベースメイクシリーズに育成する

発売はゴールでなくスタート、ラインナップを段階的に拡充

アルビオン スタジオは、8月18日にデビュー。7月上旬にはティザーサイトを立ち上げ、8月1日に本サイトを開いた。このサイトやSNSを中心に情報を発信していくほか、店頭ではサンプルの数を十分に確保してタッチアップを積極化。ベースメイクは使ってこそ価値が分かるだけに、タッチアップとカウンセリングを通じて拡販していく。

「この5品で終わりではなく、新商品を今も開発中。これからもっともっと(シリーズとしての魅力などを)育成して、お客様との出会いを拡大していく。楽しみに待っていてほしい」と後藤氏。アルビオン スタジオは、まだ産声を上げたばかり。「モノづくりのヒントは化粧品以外にある。時短やコスパ、タイパ、オールインワンなどが重視される世の中だが、不便を利益に感じるモノやコトもある。翻って、手をかけるからこそのキレイもあるのではないか。それを魅力として伝えられたら、新しい化粧品が誕生する」と語る原田氏の下で品揃えを拡充し、アルビオンの屋台骨となるベースメイクシリーズへと成長させる。

(野間智朗)