博多阪急、ベビーカーを試せる坂道や改札が登場 経験者の声を反映
博多阪急に、子育て経験のあるママと販売員の意見を取り入れた“ベビーカー体験コース”が登場した。同店7階で開催中の「おして!おして!!ベビーカー!!!」は、駅の改札、スロープの傾斜、でこぼこ道などをイベントスペースで再現。様々な機種のベビーカーを押して試すことができる。経験者のリアルな意見を取り入れただけあり、「これ目当てで来店した」、「実際に試して合う機種を選べた」など好評を博している。期間は28日まで。
同イベントは、これからベビーカーを買う客の不安や悩みを解消するために企画された。ベビーカーはユーザーのライフスタイルによって最適な商品が異なり、流行やインフルエンサーの発信、友人の感想を参考にすると、自身のライフスタイルに合わないというケースが発生する。
企画担当者が「売場の床を走らせるだけで、お客様の不安は本当に解消されるのか?」と疑問を抱きリサーチしたところ、「お店の床はつるつるで、押してみてもピンとこない」、「改札なども試してみたいが難しい」、「相談できる人が周りにいない」、「中立な立場の人に勧めてほしい」などの意見が上がった。中には、メーカーの販売員が配属されている量販店で特定のメーカーについてばかり接客され、押し負けてしまった——という苦い体験談もあったという。
こうした先輩ママの経験談を参考に、イベントを計画した。会場には改札や点字ブロック、スロープ、でこぼこ道など様々なコースを用意。使用シーンをよりリアルにイメージできるよう、改札と点字ブロックは実際の寸法と同じになるよう製作した。
ベビーカーのサンプルも充実させた。同店が運営するベビー用品売場「マム&ベビーセレクト」では通常8ブランド、約10台を揃えているが、今回は期間限定で「エアバギー」の双子用「ココダブルEX フロムバース」も用意。さらに「サイベックス」の「オルフェオ」、「メリオ カーボン」を各1台追加した。多様なベビーカーを擁し、百貨店所属のスタッフが接客することで、要望の多かった「中立的な立場による接客販売」も叶えられる。
こうして始まった同イベントは、マム&ベビーセレクトのインスタグラム投稿やウェブ広告、16日の夕方に放送されたテレビ番組報道の効果もあり、売場は盛況だ。「試せて良かった」と喜ぶ客や、購入を決めていた機種を試した結果、違う機種に変更した客もみられた。イベント担当者は、「よりご家族の暮らしにあったものを見つけられるお手伝いができ、うれしく思う」と語る。
今回のイベントで客からのニーズを実感したため、「可能な限り、半期に一度など継続して行っていきたい」(担当者)。加えてマタニティウエアや抱っこ紐なども、購入決定までに相談できる環境づくりを検討しているという。出産や子育ては「詳しい人に相談したい」という需要が高く、百貨店の強みを発揮しやすい。じっくりと相談や検討ができる環境づくりは、勝機が大きそうだ。
(都築いづみ)