日清オイリオ、産学連携プロジェクト参画で油糧資源開発へ
日清オイリオグループは、微細藻類から得られる食用油脂などの有用物質の生産や、食品用途に向けた開発・機能評価の研究を開始する。国立開発研究法人の科学技術振興機構が運営する「共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)」の、「共創分野(本格型)」に採択されている産学連携プロジェクト「Bio-Digital Transformation(バイオDX)産学共創拠点」に参画。持続可能な食の未来につながる新たな油糧資源・機能素材の獲得とともに、「“生きるエネルギー”をすべての人に届ける」という同社のグループビジョンの実現に向けて推進する。
同社が掲げる長期経営計画「日清オイリオグループビジョン2030」は、「すべての人の健康」、「おいしさ、美のある豊かな生活」、「地球環境」、「食のバリューチェーンへの貢献」、「信頼でつながるサプライチェーン」、「人材マネジメント」の6つを重点領域に設定。今回のプロジェクトへの参画は「全ての重点領域の課題解決につながる取り組みである」としている。
「共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)」は、国連の持続可能な開発目標(SDGs)に基づくありたい社会像を「拠点ビジョン」に掲げ、その実現に向けて大学などが中心となり企業や地方自治体らと研究開発を行う取り組み。食料確保の困難化、医薬品の需要増、深刻化する環境問題などが近年顕在化してきており、こうした社会課題の解決が急務となっている。ポストコロナ時代の新しい社会像を世界中が模索する中、「生物のポテンシャル」を引き出し、生物機能を付与する「バイオDX」の発想がより重要視されている。
プログラムのうち、バイオDX産学共創拠点は、「バイオDXで持続可能な発展を導くバイオエコノミー社会を実現」することをビジョンに据える。広島大学を中心としたバイオDX産学共創拠点を構築し、SDGsに基づくあるべき将来像の構想として、3つのターゲットと、それらに対する4つの課題が設けられた。
同社が参画する研究グループは、ターゲットの3つのうち「食料問題を解決するフード&アグリテック」と、「カーボンゼロを推進するバイオものづくり」の2つに、課題は「微細藻類および植物による有用物質生産プラットフォームの開発」に取り組む。同社は、微細藻類から獲得できる食用油脂などの有用物質の抽出・精製技術の確立および、食品用途に向けた開発・機能評価における役割を担う。研究課題開発リーダーである東京工業大学の太田啓之名誉教授の下、いくつかの大学や企業、行政や団体などと共にチームを組み、産学官で連携する。
日清オイリオグループは、コーポレートステートメントである「植物のチカラ」のもと、植物資源の可能性を追求し提案してきた。これまで培ってきた油脂研究における強みを結集し、さらなる「社会との共有価値創造」を目指す。