東武池袋の「ミキハウスタウン」が好調 品揃えと環境に支持
今年4月、東武百貨店池袋本店にミキハウスの総合型ショップ「ミキハウスタウン」が誕生した。従来の売場から1.4倍に面積を拡大し、ミキハウスの全ブランドを揃える。最高級ライン「ミキハウス ゴールドレーベル」(以下、ゴールドレーベル)の導入といった品揃えの拡充に加え、店装も大きく変え、妊娠中やベビーカー、子供連れの客も過ごしやすい環境を整えた。こうした要素が功を奏し、売上げは好調に推移している。
ミキハウスタウンは、東武池袋本店7階に構える。売場面積は約372㎡。以前から「ミキハウス」、「ミキハウス ダブルB」、「ミキハウス チエコサク」、「ミキハウス ホットビスケッツ」、の4ブランドを扱っており、そこにゴールドレーベルが加わった。ベビー、フォーマルも高価格帯を中心に品揃えを拡充した。
ゴールドレーベルは、海島綿をはじめとした世界最高峰の素材を使用する最高級ライン。肌着やシャツが2万~8万円前後、ダウンコートが22万円とかなりの高価格だが、品質の高さから、訪日客や外商顧客から支持を得ている。ゴールドレーベルの売上げがけん引し、国内客の売上げは改装以降、約1.3倍で推移している。
ミキハウスタウンでは品揃えだけでなく、環境の整備にも力を入れた。その1つが接客スペース「サロン」で、半個室の空間に机と椅子を2セット備える。「出産準備などはしっかりと時間をかけて接客し、買い物していただきたいが、普通の売場内では中々難しい。周囲や時間を気にせず話せる場として新設した」とミキハウスの担当者は説明する。実際に「安心して買い物ができる」と客から好評で、出産準備品の売上高と客数は改装前より上昇している。接客用の机と椅子はベビー売場にも2組、ブランド「ミキハウス」の売場にも2組置いている。
シューズの売場には、足のサイズを計測するための椅子を導入した。以前は子供用の小さな椅子に座って計測していたが、椅子とマットを運んでくる必要があったため、その時間と手間を省けるようになった。子供が母親に抱っこされて来店した時も、母親が隣に座れるのでスムーズに計測できる。
シューズの売場は改装を機に、ミキハウスタウンの中心部に移した。これはミキハウスのシューズが幅広い層から人気が高く、「ファーストシューズはミキハウス」という人も多いため、シューズを買いに来た客へ買い回りを促す狙いがある。
新たな試みとして、絵本コーナーとフォトスポットも設置した。絵本コーナーはミキハウスの絵本を置き、子供が読んで過ごせるほか、気に入れば購入もできる。フォトスポットはSNSに投稿したり、思い出として保管したりしてもらうために設けた。
特にフォトスポットは多くの客に利用され、インスタグラムなどに写真が投稿されている。「ミキハウス」や「東武池袋」のハッシュタグをつけた投稿も多く、宣伝の効果も生まれている。「お客様同士がSNSで知り合って『ミキハウスオフ会』を池袋で開き、記念としてこのフォトスポットで撮影された」(担当者)という事例もある。
そのほか、通路はベビーカーの客でも動きやすいような幅を確保する、買い物を短時間で済ませられるよう売場の近くに在庫のバックヤードを新設するなど、様々な部分に工夫を凝らした。「どれほど品揃えが豊富でも、買い物しづらい環境だと来店のハードルが高まる。逆に『ゆっくりと買い物ができた』、『店員さんが相談に乗って、一緒に遊んでくれた』と楽しい思い出ができれば、再来店につながる」と担当者は語る。
リニューアルオープンを記念して、6月25日にはキッズファッションショーを開催した。対象はミキハウス商品をセットアップで着用し来店できる子供(小学生まで)で、12組が参加した。参加枠はすぐ埋まってしまうほど人気で、「事前にショーで何を着るかをお客様と販売員で相談したりして、楽しんでいただけた上に関係性も深まった」と担当者は振り返る。当日は子供自身も積極的に楽しみ、それを見た親と祖父母が成長に感動するなど、心温まる雰囲気の中で行われたという。
こうしたリニューアルやファッションショーなどの取り組みは、無論、東武池袋本店側の意向もある。同店はストアビジョンである「地域・沿線顧客に支持されるマイストア」を実現するため、三世代から支持される店舗を目指している。ミキハウスの改装に併せて、おもちゃ、特に知育玩具を拡充し、イベントスペースを活用したフロアの活性化にも取り組んでいる。東武百貨店の担当者は「これほどの品揃えと規模感を実現したミキハウスタウンは、当店の大きな強み。ここをハブとして、様々な形で三世代のお客様が楽しめるフロアにしたい」と展望を述べた。
(都築いづみ)