2024年11月22日

パスワード

購読会員記事

第9回日本SC大賞は「新静岡セノバ」 働き方改革や地域貢献

(左)第9回日本SC大賞・金賞、経済産業省商務・サービス審議官賞「新静岡セノバ」。 (右)第7回地域貢献大賞(倉橋良雄賞)、国土交通省都市局長賞「SAKURA MACHI Kumamoto」

一般社団法人日本ショッピングセンター協会は、第9回日本SC大賞・金賞に「新静岡セノバ」を、第7回地域貢献大賞(倉橋良雄賞)に「SAKURA MACHI Kumamoto(サクラマチ クマモト)」を選定した。日本SC大賞・地域貢献大賞とも2年に1度開催しているが、今回は新型コロナウイルス感染拡大で実施していなかった3年間を含む4年間(18年7月~22年6月)の活動実績で審査されたもので、日本SC大賞の銀賞は「ELM(エルム)」、銅賞は「MARK IS みなとみらい」が受賞した。また、今回から新たに各支部で将来を見据えた模範となるSCを表彰する「支部特別賞」を設けた。

日本SC大賞・金賞と経済産業省商務・サービス審議官賞を併せて受賞した新静岡セノバ(静岡県静岡市/中部支部推薦)が選考された理由は、「トライ!はたらく時間 PROJECT」でSC業界の営業時間・休館日の見直しをリードし、働き方改革やES改革、不足する人員問題に一石を投じていること。地域支援においては、地元企業を発掘して育てる「起業のつばさプロジェクト」を実施。他SCに出店できるまで成長した企業も生まれている。また、コロナ禍に「ガンバロウ シズオカ!」を提案し、静岡名産の乾物店や苦しむ地域の飲食店に月替わりで区画を提供した。さらに地域産業支援として「茶祭」を計画。単なる販売支援でなく、新しいお茶のある暮らしを提案した。加えて、自衛消防隊が機能するように防災訓練を年に30回以上実施していることも評価された。

第9回日本SC大賞・銀賞「ELM」

銀賞を受賞したELM(青森県五所川原市/東北支部推薦)は、青森市や津軽地方全域、秋田県大館市など広域から集客しており、足元商圏は5.2万人と少ないが、年間800万人の利用がある。店舗の約半数が当該周辺地域への出店1号店。近隣には大手デベロッパーのSCが立地するなど商環境は厳しいが、出店テナントと一体となって運営してきた。「地方」、「人口減・高齢化」、「弱小」、「単館」という厳しい条件の中、「SCはマーケットに合わせるのでなく、お客様に夢を提供し、マーケットを創っていく」という強い思いが、地域住民に愛されるSCに成長した要因の1つとなった。

銅賞のMARK IS みなとみらい(神奈川県横浜市/関東・甲信越支部推薦)は、みなとみらい駅に直結し1415万人の年間来館者数があり、エリア集客の中心的役割を果たしている。地域との関わりでは、屋上果樹園・菜園「みんなの庭」において子供向け体験イベントを年100回ほど実施。幼児や小学生のSDGsの学びの場にもなっている。近接する横浜美術館との連携イベントやグランモール公園などを会場とした「GOOD DAY PARK」を開催し、エリアのブランドイメージを高める価値創造にも注力している。

第9回日本SC大賞・銅賞「MARK IS みなとみらい」

その他、日本SC大賞の各賞に入ったのは、ニューフェイス賞に「グランベリーパーク」(東京都町田市/関東・甲信越支部推薦)、リノベーション賞に「スマーク伊勢崎」(群馬県伊勢崎市/関東・甲信越支部推薦)、ES賞に「ピオレ姫路」(兵庫県姫路市/近畿支部推薦)、特別賞に「VISON(ヴィソン)」(三重県多気郡多気町/中部支部推薦)、50周年記念特別賞に「渋谷パルコ」(東京都渋谷区/関東・甲信越支部推薦)。

地域貢献大賞(倉橋良雄賞)と国土交通省都市局長賞を併せて受賞したサクラマチ クマモト(熊本県熊本市/九州・沖縄支部推薦)は、旧熊本交通センターと県民百貨店を建て替えて誕生した、ホール、ホテル、マンション、オフィス、結婚式場を備えた複合型商業施設で、バスターミナルも併設。飲食系店舗を約半数導入し、シネコンなども備えて幅広い年代層に対応。加えて地場企業を積極的にテナント誘致したほか、行政関連施設、医療施設、保育施設、旅行窓口など多様な生活サポート施設を備えている。建物は耐震性を強化。帰宅困難者対策として1万人規模の避難受入れ可能な食糧・飲料水を備蓄するなど、防災拠点として地域インフラの中心的役割を担っていることなどが評価を得た。

地域貢献賞に入ったのは、「イオンモール苫小牧」(北海道苫小牧市/北海道支部推薦)、「イオンモールいわき小名浜」(福島県いわき市/東北支部推薦)、「ビナウォーク」(神奈川県海老名市/関東・甲信越支部推薦)、「カラフルタウン岐阜」(岐阜県岐阜市/中部支部推薦)、「アリオ八尾」(大阪府八尾市/近畿支部推薦)、「イオンモール高知」(高知県高知市/中国・四国支部推薦)。

新たに設けられた支部特別賞には、北海道支部特別賞に「東武サウスヒルズ」(北海道標津郡中標津町)、東北支部特別賞に「キャッセン大船渡」(岩手県大船渡市)、関東・甲信越支部特別賞に「コクーンシティ」(埼玉県さいたま市)、中部支部特別賞に「イオンモール白山」(石川県白山市)、近畿支部特別賞に「京都ポルタ」、中国・四国支部特別賞に「さんすて岡山」(岡山県岡山市)、九州・沖縄支部特別賞に「JR博多シティ」(福岡県福岡市)が選ばれた。

(塚井明彦)