松屋、銀座店の5階に男女複合型の衣料品売場
松屋銀座店は3月1日、5階に男女複合型のアパレル売場をグランドオープンした。売場面積は約1100㎡で、フロア全体の約45%にあたる。5階は紳士服のフロアだったが、夫婦やカップルが一緒に買い物したり、ジェンダーレスに商品を選んだりできる売場へと生まれ変わった。先行オープンした区画は売上高が前年比150%超で推移するなど、上々な滑り出しをみせている。
同売場を開設した背景には、顧客のニーズの変化がある。1つ目が、ビジネスウエアのカジュアル化やリモートワークの浸透などによる、紳士のビジネスアイテムの需要の減少だ。「仕事帰りに1人で来る男性客が減った。他方で、週末に夫婦やカップルで来店し、買い物を楽しむお客様をよく見るようになった」とショップMD部MD三課課長の木村麻里氏は話す。
2つ目として、ジェンダーレスやエイジレス、シェアといったモノの選び方、使い方がある。女性がメンズアイテムを、または男性がレディースを着用するなどジェンダーレスに商品を選ぶ客が増加。1つのアイテムを夫婦や親子でシェアする客も増えたという。
こうした理由から、夫婦やカップルで一緒に買い物でき、ジェンダーレスに商品を選べるゾーンを計画した。複合化することで販売員を集中させるなど、運営の効率化も狙った。
今回の改装は、段階的に進めてきた。昨年9~12月に、「ブラックレーベル/ブルーレーベル クレストブリッジ」、「アールイー メイド イン トーキョー ジャパン」、「ポロ ラルフ ローレン」、「マッキントッシュ ロンドン」、「ブルックス ブラザーズ」でレディースやユニセックスを移設・導入した。
今年2月に「ポール・スチュアート」、「マーガレット・ハウエル」にレディースを移設、「ズッカ」にメンズを導入した。3月1日に「エヴァム エヴァ」、「ドレステリア」が新規オープンし、完成となった。既存の「サイコバニー」、ポップアップで展開する「PXG」と併せて12のショップが並ぶ。
先行オープンした区画は売上げが前年比5割超と好調で、女性客も増えている。ハウスカード会員の女性の売上高は前年比3割増で、カード会員の女性によるメンズアイテムの売上高も前年比8%増と伸長した。
2月10日にオープンしたポール・スチュアートでも、売上げは前年を超えて推移している。事業本部ポールスチュアート・スコッチハウスビジネス部ポールスチュアート全国店舗運営・本社販売課長の野村美寿氏は、「カップルや夫婦で来店された際、待っているお客様も自分に合う服を探せる。当ブランドのファンになって頂くチャンスが増える」と期待を寄せる。
目標は、前売場対比で7割増を目指す。木村氏は「5階の売上高はまだコロナ前に届いていないが、この改装を機に反転攻勢に出たい」と語った。
新売場へ客を呼び込むため、3月はイベントを連打する。18~19日にはパーソナル診断サービスを受けられる「あなたの似合うがわかる!ファッションスタイリング診断」を、25~26日には占いイベントを実施。24~26日には、フレグランスブランド「Dance」の香水オーダーも行う。
(都築いづみ)