2024年11月24日

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【連載】富裕層ビジネスの世界 コロナ禍で損をしない確定申告(3)推計課税、反面調査、重加算税…知らないと損する「税務調査」対策

3回に渡って解説した「コロナ禍で損をしない確定申告の裏技」。最終回の今回は、確定申告におけるありがちなミスと、犯してはならない鉄則、さらには知られざる税務調査の中身と損をしない対応策について税理士の市川琢也氏に解説してもらった。


──一般の人にとっては恐ろしいイメージのある「税務調査」ですが、どんな人が狙われるのでしょうか。

市川 最近の例で言えば、一部の人気ユーチューバーの方を見ていて「危ないなあ」と感じます。動画の中で札束を積んでみたり、自ら購入した高額商品を自慢してみたり。そうした行動は、「税務署さん、どうぞ来てください」と言っているようなものだからです。

仮に真っ当な申告をしていたとしても、「つつけば何か出てくる」と、調査対象にリストアップされる可能性が高まります。実際、真面目にやっていると思っていても、税務署が本気で調査すれば、何らかのミスは必ず出てくるものです。税務調査が入れば「ゼロ回答」はまずありえず、何らかの修正やペナルティが課されてしまうので、目立つ行動にはくれぐれも注意が必要です。

──税務調査に入られないために気をつけたほうがいいポイントを教えてください。

市川 基本的に所得が大きいほど狙われやすいと言えます。法人の場合、毎年、真面目に確定申告をしていても、通常4〜5年に1度は調査が入りますが、個人の方の場合、よほど不自然な申告書でも提出していなければ、めったに調査が入ることはありません。

ただ、コロナ禍で前回解説した仮想通貨などで高額な所得を得た人は、少しでも不明瞭な点があれば狙われる可能性が高くなっているので注意が必要です。いつ調査が入っても反論できるように、領収書などの「証拠」は必ず保管しておいてください。

──個人の方で、よくありがちなミスを教えてください。

市川 以前は白色申告の場合、帳簿をつけて保存する義務はなかったのですが、ルールが改正され、2014年分以降は白色であっても義務になりました。それを知らずに帳簿の保存を怠っていると、仮に税務調査が入った場合、申告内容の正当性を主張する証拠がなくなり、ペナルティを課される可能性が高まります。

とはいえ実際の現場では帳簿がなくても、領収書や出入金のメモが残っていれば認められることも多いので、架空計上など悪質なことをしていなければ、過度に心配する必要はありません。ただ、いざという時のために、最低限、家計簿程度でも簡易な帳簿は保存しておくべきです。

──ペナルティとは具体的にどのようなものが課されるのでしょうか。

市川 正当性を証明する証拠がないと、最悪の場合、「推計課税」によって修正申告をさせられることになります。これは税務当局の「伝家の宝刀」のようなもので、通帳などの動きからおおよその収入額を特定し、「あなたの業種業態からすると、一般的に経費はこのくらいだから、利益(所得)はこれくらいになるはずだ」として、税務署サイドが言うがままの税金が課されてしまうことになり、大きな損をする可能性が出てきます。

──絶対にやってはいけない「鉄則」のようなものはありますか。

市川 バレないだろうなどと思って「申告自体しない」人がけっこういますが、これが一番問題です。なぜなら、国税は調査となったら個人・法人全ての通帳を銀行に提出させることができ、「反面調査」といって領収書を発行した会社にまで問い合わせに行ける権限があります。つまり、税務当局が本気で動いたら、すべてを隠すことは不可能に近いというわけです。

また、「無申告加算税」という申告していないことに対するペナルティや、場合によっては「重加算税」というペナルティを課されてしまい、本来払わなくてよかった税金まで払うことになるというリスクが生じてしまいます。したがって、目先の利益だけにとらわれて申告しないという選択をすることは、自らの首を絞めてしまうことになりますからやめたほうがいいでしょう。

──そのほか、気をつけるべき点はありますか。

市川 細かい点ですが、収支内訳書の経費の欄に「雑費」という項目がありますが、これは要注意です。税務署は、何に使ったかわからない雑費を嫌がる傾向にあるからです。雑費に計上した金額があまりに高額だと疑念を抱かれる可能性があるので、なるべく雑費には計上せず、接待交際費などほかの項目に振り分けたほうが安全です。

また、昨年度はコロナ禍によって、予定されていた税務調査が延期や中止になるケースが多かったようです。つまり税務署にとっては「取るべきところから取れなかった」わけです。これからコロナが収束に向かえば、当然のことながら税務署は厳しい調査を行ってくる可能性が高いと言われています。そのため、今年はいつも以上に気を使って来年の確定申告に備えるべきでしょう。

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