2024年11月24日

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2023年 メーカー首脳 年頭所感

<掲載企業>

■資生堂

■コーセー

■アルビオン

■オンワード

■西川

■キリンビール

■三陽商会

■川辺

■花王

■カネボウ


新体制、「お客様起点」で攻勢へ

資生堂 社長 魚谷 雅彦


昨年、当社は創業150周年という節目の年を迎え、まさに次の150年に向かって新たなスタートを切りました。

当社は、「世界で勝てる日本発のグローバルビューティーカンパニー」を目指し、中長期経営戦略「WIN 2023 and Beyond」のもと、スキンビューティーカンパニーとしての基盤を構築して高収益構造へ転換していくため、事業ポートフォリオの再構築や、資生堂ならではの“メイドバイジャパン”の製品をグローバルに安定的に提供する研究開発力の拡充、生産体制の整備などを力強く進めてきました。

さらに、新型コロナウイルス感染症や不安定な世界情勢など不透明な状況が続く中でも、中長期の成長を確実なものにするため、ブランド価値と人財資本に戦略的追加投資を行っています。インナービューティーやホリスティック領域など、変化するお客様を捉えたイノベーションも強化し、2030年に向けたビジョン「PERSONAL BEAUTY WELLNESS COMPANY(パーソナルビューティーウェルネスカンパニー)」に向けて、美の力を通じて「人々が幸福を実感できる」サステナブルな社会の実現を目指して参ります。

23年は、当社にとって大きな事業基盤である日本市場の回復が不可欠です。全社員が「お客様起点」に徹底的に立ち返り、お店と一緒にお客様満足を生むイノベーションを起こし続けると同時に、ブランド育成や店頭活動に必要なマーケティング投資を強化して参ります。

特に専門店事業において、23年は「チェインストア制度100周年」を迎えます。これまで化粧品業界を一緒に支え合い、歩みを共にさせていただいてきた専門店に心より感謝申し上げるとともに、皆様とより強固に手を取り合い、明るい未来を創り上げる1年にしたいと考えております。

本年は、“新たな始まり”151年目のスタートです。「守り」から「攻め」に転じる躍動の年としていきます。企業使命「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD」のもと、私たちの本業を通じてより良い世界を実現したいという強い信念を胸に、それに向かって努力し、挑み続けます。

23年1月1日付で、私が代表取締役会長CEO(Chief Executive Officer)、昨年まで中国地域本社の責任者をしていた藤原憲太郎が社長COO(Chief Operating Officer)に就任しました。今後2年間、2人3脚で併走することにより、経営体制を一層強化します。新体制のもと、全社員がさらに一丸となって、世界中のお客様、得意先、株主などすべてのステークホルダーの期待に応えていきます。


多様性に応える化粧文化を創造

コーセー 社長 小林 一俊

旧年はコロナ禍の影響を受ける日々が続きましたが、ようやく化粧品の需要も回復しつつあり、アフターコロナへの期待が高まっています。

コーセーはこれまでも、「今までの延長線上にない新たな価値の創造」をテーマにモノづくりと、お客様との関係づくりに力を注いできました。お陰様で高い評価をいただき、コーセーを選んでくださるお客様も着実に増えてきています。

今後は、お客様づくりの拡大領域として、グローバルに、ジェンダー、ジェネレーションを加え、その頭文字である『3G』をキーワードに取り組んでいきます。「グローバル」は、すでに多様な人種や地域に対象を広げ、モノづくりやサービスの提供を進めています。さらに「ジェンダー」では、性差を超えて、多様な価値観に応える新たな化粧文化を創造し、「ジェネレーション」では、従来の化粧品を使う年齢層という固定概念にとらわれず、全ての年代を対象に、化粧品市場の拡大を図っていきます。

創業者の小林孝三郎は「製・販・需の共存共栄」を重視し、メーカーやサプライヤー、販売店、そしてお客様の三者それぞれが幸せになることを願い、品質にこだわり、理想的な販売網を創るという信念を持って創業しました。この信念は現在も受け継がれ、その三者に加え、投資家、協業先・同業他社、行政・環境・地域社会など、コーセーを取り巻く様々なパートナーとお互いを高め合う関係性、つまり「ビューティ パートナーシップ」を構築し、新しい価値を創造することで明るい未来を築いていきます。


店頭でのリアル接客を徹底追求

アルビオン 社長 小林 章一

2023年度は“活動ありき”。アルビオンは、店頭活動に注力して参ります。当社の強みであるリアル接客にとことんこだわり、商品の効果を、魅力を、お客様にきちんとご理解いただく活動の推進こそが、今年度の要であると思っております。

店頭での活動が非常に重要です。感染防止に配慮した万全な環境の下、お客様の肌に触れる活動を徹底し、お客様の肌でしっかりご実感いただいて、真なるファンづくり、真なるお客様づくりに努めて参ります。活動を通して接客の場を充実させ、お客様の満足を高め、強い絆を育んでゆけるよう全力で取り組んで参ります。

また、取引先との生涯顧客づくりの一環として、ロイヤルカスタマー、外商顧客へのアプローチを模索し、よりきめ細かな対応と商品を提供して参ります。新しいお客様と出会う機会の創出にも積極的に努め、取引先の独自の情報発信ツールなどとの連携も進めて参りたいと思っております。

ものづくりにおきましては、さらなる独自性を追求して参ります。我々が本気で惚れ込む、熱い気持ちで語りたくなる、伝えたくなる“圧倒的な魅力ある商品”を提供できるよう、力を注いで参ります。安心・安全な化粧品原料の実現をはじめ、アルビオンならではのスキルと感性に磨きをかけ、唯一無二のものづくりを深化させて参ります。

それから、プロジェクトの立ち上げから5年目を迎える“アルビオンらしさの推進”では、これまで洗い出した課題に対し、より具体的な目標を掲げ、全社を挙げて取り組んで参ります。ペーパーレス化、CO2削減、個の尊重など、メンバー一人一人が自分事として捉え、向き合い、考えながら、積極的に進めて参ります。人として、企業として、正しくあることを常に意識し忘れずに、社会貢献できるよう努力して参ります。

最後に今一度、今年は“活動ありき”。この活動を通して、皆様と共に大きな夢を描き、共に歩んで参りたいと思っております。


グループ一丸で新しい価値共創

オンワードHD 社長 保元 道宣

昨年は、新型コロナウイルス感染症やウクライナ情勢が依然として世界中で生活や事業活動に影響を残したものの、オリンピック・パラリンピックやサッカーワールドカップなどの国際的な大型スポーツイベントが開催されるなど、多くの人々へ夢と感動を与える明るいニュースもありました。

本年は、2021年4月に発表したオンワードグループ中長期経営ビジョン「ONWARD VISION 2030」において3年目を迎える節目の年と位置付けています。ウィズコロナに対応したビジネスモデルの改革から、ポストコロナを見据えた翌年以降の本格的な成長戦略推進へのシフトに向けて、目指す姿である「社員の多様な個性を生かしたお客様中心の経営」への進化を実現して参ります。

ミッションステートメントとして定める「ヒトと地球(ホシ)に潤いと彩りを」の理念のもと、お客様と社員のコミュニケーションを進化させ、新しい価値を共創するべくグループ一丸となって取り組んで参ります。


スリープテック全方位で具現化

西川 社長 西川 八一行

昨年は急激な為替変動やウクライナの情勢など、大きな環境の変化に見舞われた年でした。原料コストの高騰や消費意欲の減退など、寝具業界には逆風が吹いています。一方で、健康、美容、睡眠といったウェルビーイングに関する分野への関心は高まっており、プラスの要素も見受けられます。さらに消費の動向として、その人にとって必要であればお金は出すし、そうでなければ出さないという、お金の使い方の二極化が進んできました。

そこで昨年は、単純にモノを提供するのではなく、睡眠のソリューションを提供するという方針を鮮明化。マテリアルへのこだわり、高付加価値で独自性のある商品の開発、デザインの改革、デジタルでのプロモーションの強化などに取り組んで参りました。

オフィスの空間構築に関する事業は、当社オフィスで実際に体感していただくなど営業活動を積極的に実施。採用してくださる企業が増え、設備だけでなく、社員の睡眠状態のデータを取って健康経営に生かすというソリューションにも注目が集まりました。また12月には、アメリカ・ロサンゼルスに「エアー」の店舗をオープンしました。睡眠は世界の誰にとっても大事な関心事のため、これを機にアメリカの他地域、ヨーロッパなど、世界的な展開も考えていきたい所存です。

我々は、「睡眠の先へ」という意の「ビヨンドスリープ」を1つのテーマに掲げています。本年はその中でも、デジタルデバイスの技術を組み込んだマットレスを発売し、それを活用した他業種との連携を計画しています。そのためにも、店舗の枠を超えたCRMを推進していきます。

これは当社とお客様、百貨店や専門店などの小売店、全てにメリットのある「三方良し」を目指しています。お客様は買い物のたびに説明や登録する手間が省け、店頭の接客の精度も自ずと上がります。お客様一人一人の好みや課題を把握し、類型化できるのも大きな強みです。

さらに将来的には、睡眠のデータを分析し、体調や気分に合わせて欲しいものや必要なものを提案できるスキームを構想しています。例えば百貨店などの小売店が、お客様のその日のコンディションに適した美容や服、食品などを提案するのをサポートするような仕組みです。人の消費はモノが少なかった頃の「十把一絡げ」から、個人の好みに合わせる「十人十色」へと変わりましたが、我々はさらにその先の「一人十色」の時代へと照準を合わせています。

スリープテックは自宅の寝室を超えてリビング、オフィス、飛行機や車など、全方位で活用が可能です。それを具現化することで、「寝具の西川」から「睡眠ソリューションの西川」へと変革して参ります。


弛まぬ挑戦で酒類市場を魅力化

キリンビール 社長 堀口 英樹

昨年は、3月以降、長期化する新型コロナウイルスとの共存を目指す「ウィズコロナ」社会への移行が模索されました。人流やインバウンド需要の回復に向けた政策も背景に、コロナ禍で長期に亘って多大な影響を受けた第3次産業をはじめ、経済・社会全般に少しずつ明るさが戻り始めています。

しかし、コロナ禍の解消はまだ遠く、個人や企業においては依然としてさまざまな環境変化に対峙しそれを乗り越えていく努力が求められています。また、海外での地政学的リスクの顕在化や急激な円安進行を受けて、国内経済は原材料費や物流費、エネルギーなど諸コストの上昇に直面しており、酒類業界も含めたあらゆる産業の商品・サービスの値上げが実施されました。このような物価上昇傾向を受けた家計防衛による消費マインドの低下も大いに懸念されるところです。

回復傾向を見せつつも、依然環境変化への対応が求められる市場環境の中、当社は「お客様のことを一番考え、お客様に寄り添う」という一貫した指針の下、「強固なブランド体系の構築」、「新たな成長エンジンの育成」という現行の中期経営計画で掲げる2つの戦略軸に基づいた活動を着実に展開しました。

現行の中期経営計画が2年目を迎える本年も、「ブランドと人財を磨き上げて実行力を高め、結果を出す」という基本方針に基づき、「正しい戦略とマインドの掛け算」で臨みたいと考えています。「正しい戦略」とは、昨年同様に「既存事業領域における強固なブランド体系の構築」と「将来を見据えた新たな成長エンジンの育成」、そして「マインド」は「お客様のことを一番考えて、常にお客様に寄り添いながら、お客様の要望や社会の課題解決に果敢に取り組む」という一貫した姿勢です。

本年は「ウィズコロナ」の経済・社会への移行が加速されるほか、引き続き不安定な海外情勢や経済状況、そして様々な局面におけるコストアップ・価格上昇に直面し、環境変化への即応・柔軟な対応の重要性がますます高まってくると思われます。また、ビール業界では、今秋に2026年に向けた第2弾のビール類税率改定も予定されます。

そのような環境の中、当社は「人と人がつながる喜びを届けることで、お客様とあたたかな絆を育み続ける会社」になることを目指して、常に挑戦を続けていきたいと思います。弛まずに、お客様が求める新たな価値を提案し、ビール類を始めとした酒類市場全体をさらに魅力あるものにすることで、酒類総需要の拡大、そして将来に向けた酒類業界の発展にまい進していく所存ですので、皆様からの一層のご支援を賜りますようお願い申し上げます。


80周年、総力結集して捲土重来

三陽商会 社長 大江 伸治

ご高承の通り、今2月期は、昨年4月に公表致しました「中期経営計画」の初年度に当たっており、前2年に亘る「再生プラン」で実行してきた事業構造改革の成果を踏まえ、然るべき売上げトップラインを確保することにより営業黒字化を実現する、併せて、これまでの守勢から攻勢に転じ、会社を成長軌道に乗せるための足掛かりをつくることを目標として、社員一丸となってその達成に向け取り組んで参りました。

その今期もあと2カ月を残すのみとなりました。今期は前2年に引き続き新型コロナウイルス感染症の影響を受けたものの、緊急事態宣言といった行動制限につながる規制が実施されなかったことや、ウィズコロナを前提とする社会環境が整ってきたことにより市場回復が進んだこと、さらには、成長戦略の一環としてスタートしたマッキントッシュ フィロソフィーとシービー・クレストブリッジのディフュージョン展開や、全社横断プロジェクトである「商品開発委員会」を通じて開発した新商材投入の寄与などもあり、順調に推移しております。残り2カ月、引き続き万全の体制で商戦対応に当たることにより、所期の目標必達を期したいと考えております。

三陽商会は今年で設立80周年を迎えます。この80周年の年が、たまたま3カ年の「中期経営計画」2年目に当たることに大きな意義があると考えており、これを1つの節目として、80年の歴史を振り返り、当社本来のミッションを原点に立って改めて見つめ直す機会にすると同時に、80周年記念商品開発などの記念事業を、「中期経営計画」達成に向けた補完事業と位置付け、同計画の中に組み入れその一環として実施したいと考えております。

新しい年を迎えて、社員一同今一度気持ちを新たにし、「捲土重来」を期し、全社の総力を結集して目標達成に邁進する所存ですので、本年も皆様の一層のご支援を賜りますようお願い申し上げます。


100周年は顧客第一主義に回帰

川辺 社長 岡野 将之

2023年は当社にとって大きな節目、2月に創業100周年を迎えることとなります。1923年に手ぬぐい、ハンカチの製造卸からスタートし、今ではハンカチはもちろんのこと、スカーフ洋品、タオル、雑貨、フレグランスと幅広いアイテムを扱い、製造から小売業まで行う企業へと発展して参りました。これもひとえに皆様方のご支援の賜物だと感謝申し上げます。ありがとうございます。

そうした意味で、当社にとっても明るい年にしたいのですが、現在の世の中はというと未だ終息の見えないコロナ、歴史的な円安、ロシアウクライナ問題など様々なことが重なり、その変化や状況に対応していかなければならない、少なくとも当社のみならず皆様もそういう状況だと思います。

その状況下で100周年を迎えることに不安を感じていましたが、次の100年に向け、それがアクセルとなり、知恵を出し合える良いきっかけとなりました。全てを変えて新しいことにチャレンジすることも重要ですが、これまで当社が大事にしてきたことを再認識することも重要だと感じ、改めて気付かされたことがありました。

それは「顧客(お客様)第一主義、顧客志向、顧客視点」を再度大事にすることです。デジタル化が進み、簡単にスピーディーに買い物ができるようになり、デジタルの良さが際立つようになりましたが、一方で多くの情報が混乱を招き、マイナスに捉える消費者も多くいると聞きます。お客様にとって何が重要かを考えることが大事になります。

デジタル発信のみならず、リアル店舗でのお客様との関わり方も同じです。お客様が当社と関わりを持った時に体感する情報提供、接客対応、店の雰囲気、商品センスなどが、お客様にとって「価値」、「値打ち」に変えられることが重要であると考えます。それを変えられるのは人の「心」だと思います。

良い仕組みや良い商品や良いサービスをつくっても「心」がないと結果が変わってきます。100周年のスローガンは「ありがとう これからも ずっと」です。当社の経営理念である「顧客第一主義」を心から理解し、そしてその事業に関わる皆様へ「ありがとう」と心から言える1年にしていきたいと思います。

その精神を具現化したオリジナルハンカチ「言葉を贈る 心を贈る ハンカチ」が2月にデビューします。お客様との関りを深く、そして誰かの喜びやお役目になる活動ができるのではないかとワクワクしております。


発展する循環型モデルを構築

花王 社長 長谷部 佳宏

当社は「豊かな共生世界の実現」をパーパスに定め、中期経営計画「K25」において「未来のいのちを守る」をビジョンに掲げました。そして、既存事業の再生を目指すReborn Kaoと、新事業の創成を目指すAnother Kao、両輪による改革を推進しています。

Reborn Kaoは、現在、モノづくりとマーケティングの改革を進めています。最小限の消費で最大限の価値(Maximum Value with Minimum Waste)を実現するための「ESG視点でのよきモノづくり」を加速し、カテゴリーリーディングブランドを強化するためのメリハリある投資を実行するとともに、お客様との絆を重視するロイヤリティ・マーケティングにシフトしています。

新事業モデルを目指すAnother Kaoは、今までの花王がやらなかったこと、やれなかったことをテーマにしており、昨年から「プレシジョン・ライフケア」において、具体的な取り組みが始動しました。対象の状態を精確に同定するモニタリング技術を駆使し、原因を的確に解決するソリューションを提供するビジネスモデルです。同時に、相関関係を推定することで多様なニーズに汎用的に応える「仮想人体生成モデル」の実用化もスタートさせました。

当社は、「もったいないを、ほっとけない。」のPRメッセージを軸に、循環型社会に貢献するESG視点でのよきモノづくりに根差したイノベーションや企業姿勢を伝えるESG企業PRを行っています。私たちのモノづくりの本質は、社会への貢献を第一に考えることにあります。環境の問題を真摯に受け止め、便利で自然と調和した生活を提案し、環境的にも経済的にも役に立てることを、これまでもお伝えしてきました。

昨年より、それをさらに広く伝えるために、ESGを体現した言葉として多くの人たちが慣れ親しんだ「もったいない」という言葉に、花王がどうしたいのかを示す「ほっとけない」という言葉をつなげ発信していくことにしました。現在、当社内で、この「もったいないを、ほっとけない。」の活動が広がっています。まずは、社員からその精神が広がることが大切です。そして、多くのステークホルダーの皆様と、この精神が共有できれば、より大きな社会貢献につながると考えています。

花王は、消費を前提としたモノづくりから、資源を循環させるモノづくりへと変革していきます。「数」と「量」の線形型経済から、「質」と「絆」の循環型経済への移行です。そのために、発展する循環型のビジネスモデルの構築を目指します。2023年度も、厳しい環境の中での事業改革となると予測されます。しかし、この混沌を意識改革の好機と捉え、花王グループ社員の活力を最大化し、強くてしなやかな新生花王への変貌を進めて参ります。


世界でオンリーワンの事業体へ

カネボウ化粧品 社長 前澤 洋介

花王化粧品事業は、2022年をコロナ禍からの回復の年と位置付け、3つの着眼点で事業活動を進めてきました。

1つ目は、最も重要な「ブランド磨きの継続~パーパスドリブンブランディング」の取り組みです。一昨年から、ブランドの集合体を「Kao Beauty Brands」と位置付け、事業パーパスに「Celebration of Individuality」を掲げて、多様性を尊重した個性豊かなブランド群でお客様に寄り添うことを目指しております。

その活動が実を結び始め、昨年は美容誌のベストコスメを過去最高数受賞するなど、高い評価をいただくことができました。中でも大きな成果を上げたのが、ヒット商品を多数生んだ「KANEBO」、マーケティングを高く評価いただいた「KATE」です。また、フェムテック分野での活動を充実させた「TWANY」も、取り組みに対する共感の声を多数頂戴致しました。

2つ目は「ESG視点の事業運営の深化」です。一昨年、コーセーと化粧品事業のサステナビリティ領域において包括的に協働していくことに合意し、以降、積極的に取り組みを進めて参りました。昨年2月には、その第1弾として、花王が推進する「化粧品プラスチックボトル水平リサイクルへの取り組み」と、コーセーが協力してきた「絵具などへの化粧品再生利用の取り組み」における協働を開始しました。昨年11月には絵具に引き続き、化粧品の「インキの色材への再利用」についても実現に向けた検証を進めています。

3つ目の「DX推進によるデジタルコミュニケーションの加速とUX創造」においては、ECビジネスの基盤として、22年で全てのプレステージブランドの直営ECサイトを立ち上げました。

また、花王が昨年12月15日に開設した、生活者と直接つながる双方向デジタルプラットフォーム「My Kao」内に、お客様一人一人の異なる悩みや興味、ライフスタイルに寄り添うビューティーコミュニティーサイト「Kao Beauty Brands Play Park」をオープンしております。お客様とブランドや商品との“素敵な偶然の出会い”を創出し、さらに双方向でのコミュニケーションを図ることで、商品やサービスをお客様と共創する場にしていきたいと考えます。

さらに、23年1月より、美容部員の総称を「ブランド エバンジェリスト」に変更しました。あらゆる場面でお客様とブランドをつなぐ伝道師として、25年までには店頭とオンラインの両輪で活躍できるよう、スキル習得を目指した研修をスタートさせます。

23年は、ウィズコロナの市場回復も見据え、「パーパスドリブンブランディングの加速」、「欧州新運営体制をスタート」、「双方向コミュニティサイト“Kao Beauty Brands Play Park”の本格稼働」に取り組みます。

この1月から化粧品の欧州新運営体制をスタートし、海外事業の拡大を推進して参ります。そして、30年までに国内市場、海外市場で、G11の全ブランドをカテゴリーナンバーワンに成長させ、世界でオンリーワンの事業体にしていきたいと考えております。

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