プリンセストラヤ、グローブの革でサステナブルなバッグ
プリンセストラヤは今春、「ダコタ」の「タッチ」シリーズで革の端材を使ったバッグを発売する。使用するのは、スポーツメーカーのミズノが製作する野球用グローブの牛革。制作過程で出る大量の端材の処理に苦慮していたミズノから依頼を受け、取り組みをスタートした。色や形、状態が千差万別の革を生かしてデザインした、マチ付きトートバッグとバケツ型のショルダーバッグの2型が登場。カラーはそれぞれブラック、ベージュ、ブルーの3色で、価格は2万7500円と2万4200円となる。上質な革の価値を打ち出すサステナブルなシリーズとして展開する。
きっかけは約2年前、両社が仕入れを行う革問屋を介して、プリンセストラヤに話が持ち掛けられたことに遡る。グローブの製作には、1枚の革の中でも最も状態の良い部分のみを使用するため、大量の端材を生む。ミズノはこれを何か再利用できないかと考えていた。
プリンセストラヤの岡田卓也商品部マーケテイング課課長は「端材の扱いが非常に難しかった」と、製作を開始した当時の状況を振り返る。まず、段ボール箱に入った山の様な革の端切れから、使える状態のものを選別することから始まった。しかし最終的には少量の革しか残らず、バッグなどの商品をつくるには1枚分の量が圧倒的に足りない。
残ったわずかな革を、どう生かして商品化するか。社内で検討を重ねた末に辿り着いたのが、革をデザインに使用する方法だ。こうして昨年8月からバングラデシュでサンプル製作を行い、11月以降、現地で本格的な生産を開始した。細いパーツ状にカットした様々な色の革を、装飾的なパッチワークにして施し、カラフルでモダンな印象のバッグに仕上げた。
今後の取り組みについて、岡田課長は「革の端材を使用したものづくりのワークショップなどの開催や、ロイヤリティの問題はあるものの、ミズノのタグやロゴの使用もいずれは可能にしたい」と展望を語る。
シリーズの展開についても「グローブの片鱗が見えるようなデザインにできると、分かりやすく打ち出していけるのではと考えている。今は説明しないと分からないので、見れば(グローブの端材だと)分かるという企画に落とし込みたい」(岡田課長)と、意欲を込めた。
(中林桂子)