2024年11月23日

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オムロン、飲料検査機大手のキリンテクノシステムを子会社化

オムロン執行役員常務兼インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー社長の辻永順太氏。18日に説明会を行った

オムロンは18日、キリングループの検査機メーカー・キリンテクノシステム(以下、KTS)の子会社化を発表した。キリンビールの完全子会社で、同社が保有する株式の60%をオムロンに譲渡する。金額は非公開。オムロンが持つ制御技術や販路を生かし、事業の成長を目指す。

オムロンは制御機器事業を主力とし、今期にスタートした長期ビジョン「Shaping the Future 2030(SF2030)」(~31年3月期)では「医療」、「物流」、「食品&日用品」、「環境モビリティ」、「デジタル」の5つの成長業界を注力領域に設定している。

22~24年度の中期経営計画「SF 1st Stage」では、24年度の事業全体の年平均成長率(CAGR)目標を7%としているのに対し、これら5業界は12%を目指し、そのエンジンの1つとする。世界の飲料市場は21~24年で32兆円増加する見込みで、それに伴い飲料検査装置市場も130億円の成長が期待できる。

KTSの強みである、高度な検査技術や製造現場のノウハウを熟知したソリューションに、オムロンの持つ制御技術やグローバルな販路を組み合せ、より高度な技術の開発や市場シェアの拡大を狙う。

具体的には、検査データをAIが解析し、前後の工程へ自動的に反映して不良品を削減する「ゼロディフェクト」、ラインの突発的な停止を防ぐ「ラインイベントゼロ」、個体データを管理する「高度品質トレーサビリティ」などの開発を予定する。オムロン執行役員常務の辻本順太氏は、「『ゼロディフェクト』の、検査データを分析し、前後の工程にフィードバックする技術は業界で初となる。より生産性を高め、地球環境の保全にも貢献できる」と語った。

販路は国内外を対象に、中でも成長マーケットであるアジアを重視する。株式取得時期は未定。取締役や監査役にオムロンから数名を派遣し、社名は「オムロンキリンテクノシステム」へと変更する。

(都築いづみ)