2024年11月23日

パスワード

購読会員記事

2022年上期は19のSCが開業

22年4月28日に開業した「KAMEIDO CLOCK」(カメクロ横丁)

一般社団法人日本ショッピングセンター協会は先頃、2022年上期(1~6月)は19のショッピングセンター(以下、SC)が開業したと発表した。その特徴は「多世代交流・地域共生」、「環境配慮」、「エンターテインメント施設の強化」という。下期(7~12月)は18のSCのオープンを想定する。

上期にオープンしたSCを都道府県別でみると、愛知が4で最多。千葉と福岡がそれぞれ3、埼玉が2だった。東京は20年上期に6、21年上期に3だったが、22年上期は1にとどまった。例年は東京や大阪、名古屋などの大都市圏中心だったが、地方都市でのオープンが目立ったのも特徴だ。立地別では中心地域が6、周辺地域が13。1SC当たりの店舗面積は1万7566㎡、同じくテナント数は49だった。

上期にオープンしたSCの特徴として、多世代交流・地域共生については、行政や企業、団体などと連携し、街づくりの核として多世代が交流する拠点の構築、地域の魅力向上などに取り組むSCがみられた。その代表が「イオンタウン旭」や「KAMEIDO CLOCK」などで、イオンタウン旭は旭市とイオンタウンを代表事業者とする事業者グループが官民連携で整備を進める「生涯活躍のまち・みらいあさひ」の商業機能として開業した。

2階には、世代を超えて人々がつながり、支え合い、共に育む場となる公共施設「おひさまテラス」を配置。23年度には隣接地に特別養護老人ホームが開き、以降も高齢者住宅や移住者住宅などの開発が計画されている。

KAMEIDO CLOCKは地域の課題を解決し、多様なコミュニティの形成や地域の未来を見据えた価値創出を目指す“地域共生”をテーマにした街づくりを推進。具体的には、東西南北の通り抜けが可能な導線軸、商業施設からマンション、増設する小学校まで開発敷地全体での開かれた街づくりだ。

環境配慮については、再生可能エネルギーの積極的活用、環境に負荷の少ない建材の利用など、脱炭素社会、環境型社会の実現に取り組むSCが目立つ。愛知県刈谷市にオープンした「ルビットタウン刈谷」は、内装資材における低環境負荷資材の使用、地域文化保全の連携、リサイクル品の回収など、SDGsの取り組みに主眼を置いた。

施設がパナソニックが推進するサスティナブル・スマートタウン「SuitaSST」に立地する「オアシスタウン吹田SST」は、街全体で実現を目指す「再エネ100タウン」に加わり、再生可能エネルギー100%を実現する。

エンターテインメント施設の強化では、スポーツ施設、アミューズメント施設、ミュージアムなど体験型エンターテインメント施設を、大規模で導入するSCが多い。「三井ショッピングパーク ららぽーと福岡」は9つの多彩なパーク(広場)を配置したほか、職業・社会体験施設、木育ミュージアム、ガンダムの複合エンターテインメント施設などを導入。約27万㎡の敷地がある「THE OUTLETS KITAKYUSHU」も科学館、大型アミューズメントパーク、スポーツ施設など“学び”をテーマにしたエンターテインメント施設を充実させている。

丸栄店舗跡にオープンした「マルエイガレリア」

一方で、上期の既存SCの売上げは、行動規制緩和による来館者の増加に伴い、回復傾向を辿った。1月は前年に緊急事態宣言下で売上げが大きく落ち込んだ反動で11%のプラス(19年比18%減)。2月は36都道府県がまん延防止等重点措置下での営業を強いられ4.4%のマイナス(同18.8%減)。3月から回復傾向に入り、前半に多くの都道府県で「まん防」があったものの、22日に解除されてから好転し、2.3%増(同15.9%減)。4月は3年ぶりに全ての都道府県で緊急事態宣言などが発出されておらず、12.6%のプラスとなった(同13.6%減)。

5月は29.9%増(19年比11.3%減)。前年は東京、京都、大阪、兵庫の4都府県が月を通じて緊急事態宣言下にあったほか、全国的に大都市を中心にまん防の発出により休業や時短営業の影響が大きかったが、今年は全国的に行動規制が緩和され、外出機会が増加。通常営業に戻したSCも多く、来館者や売上げの増加につながった。

6月は全国的に感染状況に落ち着きがみられ、来館者が増加するSCが多く10.6%のプラス(同13.4%減)。7月も5.5%のプラス(同10.7%減)で、5カ月連続でプラスを維持した。

10月20日にオープンする三菱地所・サイモンの「ふかや花園プレミアム・アウトレット」

11月開業予定の「三井ショッピングパーク ららぽーと堺」

なお、下期にオープンするSCは、8月までに横浜市保土ヶ谷区に「ライズモール常盤台」(店舗面積2364㎡)、宇都宮市に「Utsunomiya Terrace」(同6633㎡)、大阪市西区に「フレスポ阿波座」(同4079㎡)が、10月7日には岐阜県土岐市に「イオンモール土岐」(同3万4763㎡)が、10月20日には深谷市に「ふかや花園プレミアム・アウトレット」(同2万7500㎡)が、11月8日には堺市美原区に「三井ショッピングパーク ららぽーと堺」(同5万6200㎡)が計画されている。

参考:22年上期のオープンSC一覧