2024年11月22日

パスワード

購読会員記事

高島屋、銀行と百貨店の融合型アプリを配信

6月8日には、報道陣に説明会を実施。高島屋の平野泰範執行役員金融事業推進プロジェクトリーダーが経緯や概要、狙いなどを明かした

高島屋は8日、銀行と百貨店の機能を兼ね備えるアプリ「高島屋ネオバンク」の配信を始めた。住信SBIネット銀行が手掛けるBaaS(=Banking as a Service、サービスとしての銀行)「NEOBANK(ネオバンク)」を活用。預金や決済、融資から、高島屋のインターネット通販サイトでの買い物、「友の会」のように12カ月間に亘り一定金額を積み立てて1カ月分のボーナスを得られる「スゴ積み」まで、1つのアプリで利用できる。利便性を強みに、百貨店業界にとって次世代顧客に当たる20代後半~40代後半を取り込む。初年度に2万7000口座の開設を目指す。

6月8日に配信を開始した「高島屋ネオバンク」。初年度に2万7000口座の獲得を目指す

高島屋ネオバンクは、App StoreやGoogle Playでダウンロードが可能。口座の申し込みの対象者は満15歳以上の日本在住者で、開設されるとアプリで銀行の機能やスゴ積みなどが利用できる。例えば銀行の機能では、月に5回まで全国のセブン銀行やローソン銀行のATMの利用が無料で、SBI証券との連携も容易だ。

高島屋が提供するスゴ積みは、友の会のデジタル版だ。12カ月に亘り一定の金額を積み立てると、1カ月分のボーナスを加算した「お買物残高」がアプリにチャージされ、高島屋の国内店舗やネット通販サイトで買い物に使える。提携するホテルやレストランでも優待される。積み立ての状況はカレンダーの形式で表示され、分かりやすい。金額は5000円、1万円、3万円、5万円、10万円の5種類から選べる。

高島屋は金融業を百貨店業、商業開発業に次ぐ第3の柱と位置付ける。2020年からは、資産の形成や承継などをサポートする「ファイナンシャルカウンター」を日本橋店や大阪店、横浜店に展開。利用者は多く、住宅ローンの相談や「クレジットカードは不安。デビットカードを使いたい」などの声も増えてきた。そうした中で、高島屋の平野泰範執行役員金融事業推進プロジェクトリーダーは「銀行の機能を提供したかった」という。

住信SBIネット銀行をパートナーに選んだ理由について、平野氏は「先進的であり、(自社で銀行を立ち上げるよりも)投資コストを下げられ、スピーディーにサービスを実現できる」と説明した。今後も銀行の機能は拡充し、利便性を高めていく方針だ。

(野間智朗)