2024年11月22日

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高額品と春物が牽引、前月を上回る増収率

大手百貨店4社の3月売上高はいずれも前月の伸長率を上回る好業績を遂げた。まん延防止等重点措置の解除に伴い外出機会の増加、前年の時短営業の反動増に加え、高額品と春物が活発に動いた結果、多くの店舗で増収を遂げ、前月に続き大都市の基幹店が牽引した。

髙島屋(国内百貨店子会社含む)の売上高前年比は8.1%増となり、前月(4.3%増)を上回る伸長率で、6カ月連続の増収。店頭に限ると6.0%増となり、コロナ禍前の2019年比では13.4%減。免税売上高を除く19年比は6.8%減まで回復した。店舗別では14店舗のうち11店舗が増収で、前月(6店舗)より増えた。前月同様に大阪(6.3%増、2月7.9%増)、横浜(6.7%増、同4.5%増)、新宿(16.4%増、同10.4%増)、日本橋(11.8%増、同4.3%増)の大型店が牽引した。2桁伸長した日本橋と新宿は入店客数も前年実績を上回った。また地方都市の岡山(0.8%増)、岐阜(6.2%増)、高崎(7.1%増)がいずれも増収。品目別では前月に続き身のまわり品(12.9%増、2月17.9%増)と食料品(12.9%増、同12.9%増)が2桁伸長した。食料品では菓子(17.4%増、同17.0%増)と惣菜(17.3%増、同17.8%増)が前月に続き2桁伸長した。家庭用品も健闘し(6.6%増)、家具(19.9%増)と家電(42.2%増)が牽引した。また、法人事業は大口案件が寄与し、38.1%増となり、前月(19.2%増)を大幅に上回る伸長率。クロスメディア事業は2.1%増で、前月(1.7%増)に続き堅調だった。

三越伊勢丹(国内百貨店含む)の売上高前年比は7.5%増となり、前月の減収(0.1%減)からプラスに転じた。既存店ベースでは前月も増収(1.2%増)で、6カ月連続の増収。三越伊勢丹(首都圏5店舗)では10.9%増となり、前月の伸長率(4.1%増)を上回った。前月と同様に新宿(13.8%増、2月7.7%増)と銀座(20.4%増、同14.9%増)の基幹店が牽引。日本橋も4.3%増となり、首都圏基幹3店舗合計で12.1%増。3店舗の主要5品目では、前月に続き身のまわり品(17.9%増、同20.4%増)と雑貨(22.8%増、同15.5%増)が2桁伸長し、加えて衣料品(9.0%増、同4.9%増)も健闘した。時計、宝飾、ラグジュアリーブランドなどの高額品が好調で、オケージョンニーズの回復などを背景に、春夏物の新作を中心にハンドバッグや婦人靴なども好調だった。一方のグループ店は2.5%増となり、前月(6.7%減)のマイナスからプラスに転じた。10社のうち7社が増収。グループ店の21年度計(昨年4月~3月)は8.1%増で推移した。

大丸松坂屋百貨店(関係百貨店含む)の総額売上高前年比は5.8%増で、前月(1.7%増)を上回る伸長率となり、既存店では6.8%増。入店客数の前年比も6.5%増だった。店舗別では心斎橋(11.0%増、2月9.8%増)、東京(19.7%増、同10.4%増)、神戸(11.2%増、同4.5%増)、名古屋(6.5%増、同5.5%増)が前月に続き好実績を遂げた。商品別では衣料品が2桁伸長(12.3%増)し、特に婦人服(14.2%増)が牽引。婦人服では好調が持続したラグジュアリーブランドに加え、ジャケットやブラウスなど春物の通勤・お出かけスタイルのアイテムが好調だった。雑貨も前月(8.0%増)に続き健闘(4.7%増)。雑貨では前月同様に宝飾品が2桁増、化粧品も堅調(4.7%増)で、スキンケア商品が牽引した。

阪急阪神百貨店の売上高前年比は4.5%増となり、前月(1.0%増)を上回る伸長率で、6カ月連続の増収。阪急うめだ本店(6.9%増)と阪神梅田本店(34.5%増)が牽引した。阪神梅田本店は前年2月に開催していた大型催事が3月に変更した効果が大きい。阪急うめだ本店は春夏の新作物の好調と春のモチベーション需要の回復によって婦人・紳士ファッション全般が2桁伸長した。引き続きラグジュアリーブランドのバッグや宝飾品が高伸し、100万円以上の高額品の売上高は約3割増だった。一方、支店は前月(5.1%減)に続き減収(3.3%減)。ただ博多阪急(2.2%増、2月5.3%増)と阪急メンズ東京(8.3%増、同4.4%増)が前月に続き健闘し、加えて宝塚阪急(3.6%増)、西宮阪急(1.5%増)、あまがさき阪神(3.1%増)が増収に転じた。