2024年11月22日

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<ストレポ12月号掲載>変わる・攻める・繋がる外商

※画像はイメージです

百貨店にとって本来の強みである外商(個人並びに法人)事業は、各社各様の中期経営計画で重点施策に位置付けられ、その存在価値がますます高まっている。コロナ禍で堅調だった富裕層の高額品需要に対してソリューションを提供できるのが個人外商(お得意様営業)であり、お得意様は百貨店顧客の屋台骨だ。ただ、対象顧客のニーズは多様化しており、新しい売り方やモノ・コト提案、顧客とのつながり方、働き方など、デジタルを駆使した改革・改善が問われている。コロナ禍により店頭の集客や営業活動が制約される中で、既存顧客の掘り起こしや新規顧客の開拓に向けた施策、オンライン接客、新たなマーケット開拓などへの動きが活発化している。

※この記事は、月刊ストアーズレポート2021年12月号に掲載する特集「変わる・攻める・繋がる外商」(全19ページ)の一部を抜粋して紹介します。購読される方は、こちらからご注文ください。(その他12月号の内容はこちらからご確認いただけます)

法人外商事業もそうだ。企業のソリューションニーズも多様化しており、そこには新しいマーケットが潜在しており、刻々と顕在化している。もちろんこれまでの提供メニューだけでは対応しきれない。グループ力の活用や、外部企業とのアライアンスによって、百貨店の枠を越えた新たなソリューション提供が不可欠だ。

 

【高島屋 法人事業部】

良好な関係づくりと店頭送客に向け、顧客企業内個人需要の開拓に注力

高島屋の法人事業部は、コロナ禍の臨時休業や営業時間短縮などによって百貨店事業が大幅な減収を強いられた中でも、堅調な実績を維持している。2020年度(21年2月期)の売上高は国内百貨店事業の前期比27・3%減に対し、法人事業部は6.5%減(317億円)にとどめ、次いで21年度上期(3~8月)は154億円、1.8%増のプラスに転じた。「コロナ禍で私どもと取引のある企業は総じて業績が伸び悩んでいるケースが多いものの、デジタル関連やネット通販など順調な企業もあり、さらにコロナ特需も加わって、新しい需要を取り込むことでマイナスをカバーできた」(執行役員法人事業部長牧野泉氏)。来年は「外商部」から「法人事業部」として独立して30周年を迎えるだけに、21年度は前年業績の維持と共に、持続的成長への道筋をつけたいところだ。

 

【三越伊勢丹 ビジネスソリューション事業部】

“百貨店ができなかったことに挑む” グループ連携をつなぐハブ機能担う

「百貨店が、できなかったことに挑みます。」

三越伊勢丹が法人事業部を呼称変更して今年4月より生まれ変わった「ビジネスソリューション事業部」の決意表明だ。6月23日にはBtoB向けのページを新たに開設した。そこには、「豊かな社会・未来を共に創り続けるサステナビリティ推進」、「三越伊勢丹グループ連邦(ネットワーク)プラットフォーム構築」、「百貨店の枠を超えたビジネスソリューション提供」を軸に、クライアントの企業価値を高めるために、ビジネスの課題を解決するだけでなく、社会課題の解決にも踏み込んでいく取り組みが記されている。

 

【そごう・西武 商事事業部】

学校に寄り添い教育ビジネスを創出、学生服の新設から施設運営に進展

そごう・西武の商事事業部では、数年かけて手掛けてきた新たなマーケット開拓が結実しつつある。その象徴が2020年の教育改革に呼応して活動を加速させている「教育ビジネス」である。それは18年下期から担当セールスが都内・城南エリアの学校を訪問してお困り事を聴く「ローラー作戦」から始まった。19年4月には西武渋谷店に学生服売場を新設し、翌年5月には西武池袋本店の学生服売場を改装した。加えて19年に渋谷区の教育施設「こども科学センター・ハチラボ」の事業運営を受託し、この実績が評価され、今年12月20日に移設オープン予定の世田谷区の「教育総合センター」の運営受託にもつながった。学校に寄り添いながらソリューションを提供し続けてきたことが、独自の教育ビジネスの創造に進展してきている。

 

【大丸松坂屋百貨店 お得意様営業】

「人間力」と「デジタル」を掛け合わせたビジネスモデルがコロナ禍で深化

大丸松坂屋百貨店のお得意様営業(個人外商)は、コロナ禍の消費環境の変化を追い風に、「人間力」と「デジタル」を掛け合わせた外商顧客戦略の深化が進んできた。デジタルを活用したオンライン接客や情報発信、外商顧客向けクローズドサイト「コネスリーニュ」を通じたコミュニケーション活動、顧客情報のデータ化などの取り組みが加速した。並行して業績回復のけん引役を果たしている。21年度上期(3~8月)は百貨店全体の売上高前期比27.7%増に対し、お得意様営業は34.4%増の伸長率だった。21年度から開始した中期3カ年経営計画の重点戦略である「リアル×デジタル戦略」と「プライムライフ戦略」に基づく外商顧客戦略に弾みがついている。

 

【東武百貨店】外販事業部

個人、法人、EC・通販の三位一体で「顧客とグループ」資産の最大化図る

東武百貨店は、昨年から今年にかけて組織再編を伴う外販営業の強化に取り組んでいる。20年5月に本店にお得意様外商部と法人外商部を管轄する外商事業部を新設し、次いで今年5月には外販営業体制の強化と業務の効率化を目的に、外商事業部を営業本部が直轄する体制に切り替えた。さらに9月にはEC事業部を外商事業部に委嘱し、「EC・通販部」に名称変更した。これを機に外商事業部は「外販事業部」として、お得意様(個人)外商、法人外商、EC・通販の営業体制による新たなスタートを切った。事業拡大に向けて営業活動や業務の改革にも着手している。コロナ禍での店舗売上げの頭打ち状態から脱却していくためには、お得意様外商による店頭送客策と、法人とEC・通販による外販ビジネス拡大策に注力している外販事業部の攻めの戦略が欠かせない。

 

【松屋】外商事業部

店舗外収益力向上の原動力に新たな販路開拓と商材開発積極化

今春の組織改正を機に新たな事業体制で船出した松屋の外商事業部が、早期回復を果たし、事業拡大に向けた施策を積極化させている。上期(3~8月)の売上高前期比は29%増となり、コロナ禍前の19年度比では1%のプラスに転じた。けん引したのは外商カード顧客で、高額品需要が活発で前期比1.5倍超を記録。高額品の拡充と共に、経験豊富なバイヤーを店頭から外商事業部に配置して商品力を強化した成果が表れ始めた。さらに外商顧客との関係性をより深めるために、購買額に応じたアテンド体制も再編しており、既存顧客のニーズの深掘りと新規開拓への取り組みも強めている。

 

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